住民税を少しでも減らしたいと考えている場合、その方法が気になるのではないでしょうか。そこで今回は、住民税を減らす方法として、所得控除や税額控除、個人型確定拠出年金(iDeCo)などを紹介します。そのほか、個人事業主や会社経営者が住民税を減らす方法についても解説していきます。すぐに実践できる方法もあるので、ぜひ参考にしてください。
住民税を減らす方法はあるの?
まずは住民税がどのように課税されるのか、その仕組みを知ることが大切です。住民税には、所得割と均等割の二種類の課税方法があります。所得割は前年の課税所得に税率(一律10%)をかけ、さらに税額控除を引いて算出されます。課税所得とは、所得から所得控除を引いた金額のことです。
所得割は次の算式で求められます。
一方、均等割は所得に関係なく一律に課税されます。均等割の算式は次のとおりです。
つまり、住民税を減らすには、所得金額を減らす、または所得控除や税額控除を増やすことがポイントになります。
所得控除や税額控除で住民税を減らすには?
所得控除や税額控除が適用になれば、住民税を減らすことができます。ただし、今年の課税所得が翌年の住民税額に適用されるため、控除を受けたい場合は本年中に対策をする必要があります。控除には配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除などがあるので、まだ活用していない控除枠がないかどうかを確認してみましょう。
配偶者控除や配偶者特別控除を受ける
納税者本人の所得が1,000万円以下で配偶者の所得が48万円以下などの条件を満たせば、配偶者控除が適用になります。また、配偶者の所得が48万円を超えて配偶者控除を受けられない場合でも、133万円以下であれば配偶者特別控除が適用されます。
配偶者控除額は最大33万円(老人控除対象配偶者は38万円)、配偶者特別控除額も最大33万円です。適用要件に当てはまる場合は、年末調整や確定申告で申告すれば課税所得が抑えられます。
扶養控除を受ける
子や親など、生計を一にする親族(年間の合計所得金額が48万円以下)を扶養している場合は扶養控除が適用されます。控除額は対象になる扶養親族によって異なります。
扶養控除額は次のとおりです。
生命保険料控除を受ける
生命保険料控除とは、納税者が生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に適用される所得控除のことです。1年間に払い込んだ保険料の総額が対象となりますが、余剰金や割戻金を受け取った場合は保険料から差し引かれます。
生命保険料控除額の上限は旧契約35,000円、新契約28,000円で、生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料3つ合わせた控除限度額は70,000円です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)に入る
個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、任意で加入する私的年金制度の一つです。自身で掛金の拠出と運用を行い、拠出金額の合計や運用益に応じた年金を60歳以降に受給します。iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となるため、所得税や住民税を抑えることが可能です。ただし、人によって拠出限度額が異なる点には注意が必要です。
具体的な拠出限度額は次のとおりです。
ふるさと納税をする
ふるさと納税とは、応援したい都道府県や市町村に寄附ができる制度です。ふるさと納税を行った場合、寄附金から2,000円を差し引いた金額が所得税や住民税から控除されます。ただし、全額控除の対象となる金額には、収入や家族構成によって年間上限額があるので注意しましょう。
住民税として納めるはずだった分をふるさと納税として納めるため、実質納める金額は変わりませんが、返礼品を受け取れるという点でお得な制度です。
住宅ローン控除を受ける
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して居住用の住宅を購入した場合に、住宅ローンの年末時点での残高×控除率(1%※)が所得税や住民税から控除される制度です。適用要件として、新築または取得の日から6ヶ月以内の居住、住宅ローンの返済期間10年以上、控除を受ける年度の合計所得が3,000万円以下などを満たすことで利用できます。
控除期間は10年間です。ただし、住宅の取得時期によっては3年延長され、計13年間になります。住宅ローンの控除額が所得税額を超える場合は、住民税からも控除されます。
※2022年の入居から0.7%に引き下げとなります。
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個人事業主や会社経営者が住民税を減らす方法
住民税を減らせるのは給与所得者に限りません。個人事業主や会社経営者が住民税を減らす方法として、必要経費の計上や小規模企業共済への加入があるので紹介します。
必要経費を計上する
個人事業主や経営者の場合、必要経費を漏れなく計上することで住民税を減らすことができます。たとえば、自宅で仕事をしている場合は家賃や更新料、水道光熱費、火災保険料、携帯電話代金といった経費の一部(業務用割合)、プロバイダ料金などを計上することが可能です。
そのほか、交通費や消耗品などの購入費、事業用車両の減価償却費、事業税なども経費計上が可能なので、忘れずに計上しましょう。
小規模企業共済に加入する
小規模企業共済とは、中小機構が運営する個人事業主や経営者向けの積み立てによる退職金制度です。廃業をした際に「一括」「分割」「一括と分割の併用」のいずれかの方法で共済金を受け取ることができます。
掛金は全額が所得控除の対象となるため、高い節税効果が見込めるでしょう。毎月の掛金は1,000から70,000円まで500円単位で自由に設定できますし、加入後の増額・減額も可能です。
まとめ
配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除などの所得控除や税額控除を受けることで、住民税を減らせる可能性があります。来年控除を受けたい場合は本年中に対策を行いましょう。
また、個人事業主や経営者の場合は、必要経費を漏れなく計上するだけでなく、小規模企業共済への加入をしても節税ができるので検討してみてはどうでしょうか。
(最終更新日:2024.04.19)