毎年新年度が近くなると、労働組合による賃上げの労使交渉「春闘」のニュースを目にする機会が増えてきます。その際、「ベースアップ」という言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
「ベースアップ」とは? 「昇給」とは違うの?
ベースアップとは「給与のベース」、つまり基本給の部分を会社の業績や景気などに応じて一律で引き上げることを意味し、省略して「ベア」とも言われます。例えば、ベースアップが3%と決まれば、会社の全従業員の基本給が3%アップするということです。
「定期昇給」と混同しがちですが、こちらは年齢や勤続年数といった従業員個人の勤続状況に応じた昇給機会であり、全従業員が一律の底上げとなるベースアップとは異なります。
賃上げが話題となる際は、一般的に「ベースアップ」と「定期昇給」を合わせた賃上げ率を指します。
ベースアップを実施している企業の割合と引き上げ額・引き上げ率は?
どのくらいの企業が「ベースアップ」を実施しているのでしょうか。経団連が2022年1月に発表した、2021年1~6月実施分「昇給・ベースアップ実施状況調査結果」によると、2021年に昇給・ベースアップをともに実施した企業は30.9%でした。2014年から2019年まで、5割以上の企業でベースアップを実施していましたが、2020年に39.2%まで減少。2021年はさらに減少した形です。ただし、ベースアップは実施していないものの昇給のみ実施した企業は、2014年から2019年は30~40%台でしたが、2020年には60.8%まで増加。2021年はさらに増加し、69.1%となっています。
なお、2021年の月例賃金の引き上げ額は5,887円、引き上げ率は1.93%でした。そのうち、昇給による引き上げ額が5,672 円(引き上げ率1.84%)、ベースアップによる引き上げ額は366円(引き上げ率0.12%)でした。
ベースアップが実施されるということは、基本給が上がるため、それに基づく残業代や、社会保険料の負担なども増えるということです。勤務先がベースアップを実施しているのか、そのタイミングはいつなのか、一度確認をしてみてはいかがでしょうか。