【FP解説】教育費の負担が軽くなる仕組み、どんなものがある?

子どもを高校、大学や専門学校などに行かせてあげたいけれど、新型コロナによる収入の減少や勤務先の業績が悪くてボーナスが減ってしまい、今の家計の状況では進学させてあげるのは難しい、というケースもあるかと思います。今回は、国が実施している教育支援制度についてご紹介します。

国では、子どもたちの教育を受ける機会が妨げられることのないよう、都道府県・市区町村や関係機関と連携しながら色々な支援策に取り組んでいます。

教育支援制度にはどんなものがある?

主なものをまとめてみましたので参考にしてみてください。この他にも、地方公共団体や各大学等が独自に行っている制度もあるので、どのような支援が受けられるか、学校や住まいの自治体のホームページなどでチェックしてはいかがでしょうか?

主な教育に関する支援制度
※世帯年収は目安で家族構成によって年収基準は変動 文部科学省ホームページより 2022年

今回はこのうちの就学援助、高等学校等就学支援金、高校生等奨学給付金、高等教育の修学支援新制度についてみてみます。

小学校・中学校の就学援助とは?

世帯全体の所得が限度額以下(生活保護世帯もしくはそれに準ずる世帯)など、経済的な理由により子どもを就学させることが難しい家庭が受けられる制度です。公立の小中学校の授業料は無料ですが、通学に必要なランドセル、通学カバンやその他の学用品の準備や、給食費や遠足などの費用かかりますよね。

こういった学用品費、通学用品費、遠足などの校外活動費、修学旅行費、学校給食費などの支援が受けられます。「入学準備金」として小中学校に入学する前に準備するための援助も受けられるので安心ですね。なお、支援の内容は自治体によって変わるので、是非、お住まいの自治体のホームページで確認してみてください。

この援助を受けるには、学校で配布されている「就学援助制度のお知らせ」に添付されている「就学援助申請書」に必要事項を記入し、証明書等を添付して、通学している学校へ申請します。

なお、就学援助は、原則、前年中の所得を基に審査されますが、新型コロナウイルスの影響等により家計が急変した場合には、2022年1月から直近の月まで世帯収入状況で審査してくれます。自分の場合にはどうなのか、不明な場合には役所の窓口に相談してみると良いでしょう。

高等学校等就学支援金・高校生等奨学給付金ってどんなもの?

高校生が受けられる教育支援制度は2つあります。1つは、高等学校等就学支援金で国の授業料支援の仕組みです。年収約910万円未満の世帯が対象となっています。高等学校、特別支援学校(高等部)、高等専門学校(1~3年生)、専修学校(高等課程)などに就学する際の授業料の一部を援助してもらえます。支給額は世帯年収と国公立・私立の種類によって異なり、約12万円もしくは約40万円です。

もう1つは、授業料以外の教科書費・教材費などの援助を受けられる高校生等奨学給付金です。こちらの対象は、生活保護世帯、年収約270万円未満の住民税所得割非課税の世帯が対象となっており、高等学校等就学支援金の対象校に加えて高校の専攻科も対象となっています。金額は収入、家族構成や学校の種類によって異なり、例えば、住民税非課税世帯では、子ども1人世帯で全日制の高校に通学している場合、国公立114,100円、私立134,600円、生活保護世帯で子ども1人、全日制に通う場合、国公立32,300円、私立52,600円です。

この2つの制度は併用することができるので、生活保護世帯、年収約270万円未満の住民税所得割非課税であれば、授業料も授業料以外の支援も受けられるということです(下表赤枠部分)。

申込方法ですが、高等学校等就学支援金は入学時の4月など手続きが必要な時期に学校から案内があるので、学校を通して手続きします。一方、高校生等奨学給付金は、原則、毎年7月ごろに学校または住んでいる都道府県へ申請します。

いずれの支援制度も返還が不要な制度なので、活用できる方は積極的に活用したいですね。

保護者等の年収目安と支給額
※1 私立高校(通信制)は29万7,000円、国公立の高等専門学校(1~3年)は23万4600円が支給上限額
※2 両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合の目安

なお、新型コロナウイルスの影響によって収入が減少した等、家計が急変した場合には、住んでいる都道府県の授業料軽減等の支援を受けることができます。

高等教育の修学支援制度ってどんなもの?

この制度は、2020年4月からスタートしている新しい制度で、大学・短期大学・高等専門学校(4年・5年)、専門学校で学びたいけれど経済的に難しい家庭を支援する仕組みです。

具体的には、
• 授業料・入学金の免除または減額(授業料等減免)
• 給付型奨学金の支給(生活費として支給)
の2つの支援をセットで受けることができます。

対象者は(1)世帯収入や資産の要件を満たしていること(例えば、4人世帯(両親、子2人)の場合、年収約380万円まで)、(2)学ぶ意欲がある学生であること、の2つの要件を満たしていれば学生全員、支援を受けられます。

支援を受けられる金額は、世帯の収入がどのくらいか、進学先の学校の種類(大学か、短期大学か、高等専門学校か、専門学校か)、自宅から通うか、一人暮らしか、などによって異なります。

授業料・入学金の給付額
※文部科学省ホームページより 2022年
※住民税非課税世帯に準ずる世帯の場合には、上記の金額の2/3もしくは1/3
給付型奨学金の支給額
※生活保護世帯で自宅から通学する人及び児童養護施設等から通学する人は、カッコ内の金額

給付型奨学金は安心して学生生活を送るために支給される生活支援金なので、原則、月額で支給されます。もちろん、この金額で食費や下宿した場合の住居費等のすべてが賄えるわけではありませんが、アルバイトなども含めて考えれば心強い制度と言えます。

具体的に、自分は対象となるのか、給付金額がいくらになるのか知りたい人は日本学生支援機構のホームページでシミュレーションすることができるので、是非、確認してみてください。なお、入学後3ヶ月を経過してしまうと「入学金」の支援は受けられないので要注意です。

手続きについては、給付型奨学金は、進学する前年の4月下旬から、高校などを通じて日本学生支援機構(JASSO)へ申し込むことができ、授業料等減免は、入学時に、進学先の大学等に申し込みます。合わせて確認しておきたいですね。

今回は国が支援する制度を中心に見てきましたが、教育に関する支援は以前に比べるとかなり充実しており、その他各自治体単位、学校単位で運営されているものも多くあります。どこにどんな制度があるのか、自身は支給の対象になるのか、調査したうえで、教育プランを立てることも重要ですね。

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