リフォームすると固定資産税が上がるって本当? 逆に減税対象になるリフォーム対象は?

家が老朽化したとき、一般的に建て替えよりもリフォームのほうが安く済む傾向があります。費用を節約しつつきれいで住みやすくできるため、大規模なリフォームを検討している人もいるのではないでしょうか。しかし、大規模リフォームを行うと、以前よりも固定資産税が上がってしまう可能性があります。

リフォームとは

リフォームとは、老朽化や故障をした家の修繕をし、もとに戻すことをいいます。具体的には、経年劣化で黄ばんだ壁紙や傷がついた床を張り替える、老朽化し使いにくくなったお風呂やトイレを新しいものに交換する、といったものです。イメージとしては、家のマイナス部分を修理し、新築の状態に戻すようなものといえます。

リノベーションとの違い
リフォームと似た言葉にリノベーションがあります。リノベーションは修理や工事により、家に新たな価値を加えるときに使われる言葉です。新築当時よりも性能を高めた状態にするため、マイナスからゼロに戻すだけではなくプラスにするようなイメージです。リノベーションは家全体に手を加える大規模リフォームともいえます。

リフォームをすると固定資産税に影響する

家の老朽化や故障を修繕するリフォームですが、リフォームを行うと固定資産税が上がる可能性があります。

固定資産税とは、家屋や償却資産などの固定資産に対して課税される税金のことです。一般的に、所有する家や土地に対する固定資産税を支払っている人は多いでしょうが、この税額は家や土地の価値に応じて決められます。

そのため、リフォームを行い、以前よりも家の価値が上がれば、それに応じて支払うべき固定資産税も上がる可能性があります。

ただし、固定資産税が上がるのは建築確認申請(※)が必要になるくらいの規模のリフォームで、壁紙交換程度のリフォームでは固定資産税には影響しません。

次章では、具体的にどのようなリフォームが固定資産税に影響するのか解説します。

(※)建築確認申請とは、建築物の建築や大規模な修繕の際に都道府県の自治体などに必要書類を提出し、建築確認の手続きを申し込むこと

固定資産税が上がるリフォーム

固定資産税は所有する固定資産の価値に応じて、税額が決められます。そこで、家屋の価値が上がるとされるリフォームがどのようなものか、その代表的なものを紹介します。

床面積が大きくなる
リフォームにより床面積を大きくすると、その床面積の大きさにかかわらず増築部分も固定資産税の課税対象となります。床面積が増えるとそのぶん建物の価値も上がるため、おのずと固定資産税も増加します。ちなみに、家の床面積が増える増築の際には建築確認申請が必要となるため、増築による固定資産税増税は免れません。

また、外気分断性・土地定着性・用途性の3点を満たせば、増築したサンルームも固定資産税の課税対象となります。

1.外気分断性:屋根や壁等により外気を分断し得る構造になっている
2.土地定着性:物理的に土地に固着して容易に移動し得ない
3.用途性: 天井の高さが1.5m以上で、目的とする用途に供し得る利用空間がある

引用元:宇治市公式ホームページ「家屋とは

固定資産税が発生する条件については、「ユニットハウスにも固定資産税は必要?ユニットハウス建築に必要なことを解説」の記事を参考にしてください。

大規模なリフォーム
床面積が増えないときでも、大規模リフォームやリノベーションを行うと固定資産税の増加につながる可能性があります。固定資産税評価の見直しになるかどうかの判断基準は、リフォームやリノベーションのために壁をなくし、骨組みだけにしたかどうかです。

固定資産税対象となる家屋かどうかの要件に外気分断性・土地定着性・用途性の3点がありますが、これらのどれかをなくした場合は一旦解体された建物として再評価が必要となります。

また、リフォームやリノベーションにより、家自体の耐久性が上がり価値が増加すると、その分固定資産税が上がる可能性もあります。

事業用の建物にリフォームする
今まで住宅目的として使用していた家屋を、店舗や事務所、営業所など事業用の建物にリフォームすると、固定資産税は上がります。

この場合、固定資産税が上がるのは土地のほうです。住宅用の土地は事業用の土地よりも評価が低くなります。しかし、建物が事業用として利用されるようになると、土地の評価が高くなり、おのずと支払う固定資産税の額も上がります。

固定資産税の減税対象になるリフォーム

反対に、固定資産税の減税対象となるリフォームもあります。固定資産税の負担が減るリフォームとはどのようなものなのか解説します。今回紹介するものは、2022年3月末で募集は終わっていますが、今後また同じような減税が行われるかもしれません。リフォームをする際は行政や自治体の制度を調べてみましょう。

省エネリフォーム
条件に合った省エネリフォームをした場合、翌年の固定資産税(120平方メートル相当分まで)が3分の1減額されます。ただし、期間は限定されていて、令和4年3月31日までに省エネリフォームを完了し、かつリフォーム完了日から3ヶ月以内に申請したものに限ります。

対象となる家屋の条件は以下のとおりです。

・賃貸住宅ではない
・工事後の家屋の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下である
・平成20年1月1日以前からある住宅である
・工事後の家屋の床面積のうち、2分の1以上が居住用である

また、対象となる省エネ改修工事は、以下のすべての条件を満たす必要があります。

・窓の改修工事(必須)、または窓の改修工事にあわせて行う床、天井、壁の断熱工事をする
・改修部位において国土交通省が告示した平成25年省エネ基準に適合している
・改修工事にかかった費用が、補助金などを除いて(平成28年4月1日以降)50万円を超えている

耐震リフォーム
令和4年3月末までの期間限定の制度です。現行の耐震基準に適合する耐震改修工事を行った場合、翌年の固定資産税(120平方メートル相当分まで)が1年間の間半額になります。条件は、昭和57年1月1日以前から所在する住宅で、耐震改修工事費用が50万円を超えるという2点です。

手続きは、省エネリフォームと同じく改修工事完了後3ヶ月以内の申請が必要になります。

バリアフリーリフォーム
バリアフリーリフォームの固定資産税減税制度も、令和4年3月末までに改修工事を行う必要があります。条件に適合したバリアフリーリフォームを行った場合、翌年1年分の固定資産税(100平方メートル相当分まで)が、3分の1減額されます。

該当する家屋の条件は以下のとおりです。

・賃貸住宅でない
・以下のいずれかに該当する居住者がいる
(1)65歳以上
(2)要介護または要支援の認定を受けている
(3)障がい者
・新築された日から10年以上を経過した住宅である
・工事後の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下である
・工事後の家屋の床面積のうち、2分の1以上が居住用である
・改修工事にかかった費用が、補助金などを除いて50万円を超えている

まとめ

リフォームとは、新築の状態まで家を回復させる工事のことをいいますが、なかでも価値や機能をさらに追加する大規模なものはリノベーションと呼ぶこともあります。

家屋の価値が上がれば、おのずと上がるのは固定資産税。増築や耐久性向上のリフォームを行えば、固定資産税も上がる可能性があります。一度骨組みだけになるまで家を解体する場合は、固定資産税の増額に気をつけましょう。

~こんな記事も読まれています~