昨今、地方移住の熱が高まっていることはご存知ですか。テレワーク導入企業が増えたことも追い風となって、都会を離れて田舎で一人暮らしをしてみたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
今回は、田舎で一人暮らしをするメリットやデメリット、田舎へ移住する際のコツを紹介します。単身で田舎へ移住したいと考えている人はぜひ参考にしてください。
田舎で一人暮らしをするメリット
田舎暮らしや地方移住を希望する人たちは、どのようなところに魅力を感じているのでしょうか。実際に移住した人や、移住を希望している人の多くが感じているメリットについて、代表的な事例を紹介します。
家賃が安い
田舎に住むメリットの筆頭に挙がるのが「家賃の安さ」でしょう。特に、都市部に住んだ経験のある人にとって、家賃が安いことは大きな魅力です。たとえば、神奈川県横浜市中区でワンルームマンションを借りる場合、家賃は月6万円台(※)が相場です。しかし、隣県の静岡県へ移住した場合、同程度のワンルームマンションの家賃は月3~5万円台(※)に抑えられます。(※2022年3月時点の家賃相場)
さらに、移住者の受け入れに力を入れている地方自治体では、家賃補助や転居費用助成などの支援制度を充実させています。空き家や広い古民家を格安で借りられるケースもあります。これらを活用すれば、引越し費用や家賃をかなり安く抑えられる可能性があるでしょう。
自然環境が豊か
そもそも田舎への移住を希望する人のなかには、自然豊かな環境でのんびり暮らしたいと考える人も多いものです。都会の喧騒を離れて自然体でスローライフを満喫したいという憧れを持つ人は、老若男女に関わらず増えています。
人や車が少ない田舎でなら、静かな環境で落ち着いた暮らしができるでしょう。雄大な自然の中、登山やスキー、キャンプやダイビングなど、近場で各種のアウトドア・アクティビティが楽しめるのもメリットです。
新鮮な食材が手に入る
農業や漁業が盛んな地方へ移住すれば、地元で採れた新鮮な食材が安く手に入るでしょう。コミュニティが小さい地方では、近所の人同士で育てた野菜を物々交換することも多いものです。
移住を推進している地域では、町ぐるみで転入者を歓迎してくれる風潮があり、近所の人が自分で育てた野菜をお裾分けしてくれることもあります。また、広い庭を活かして家庭菜園を作り、自分で育てた野菜を新鮮なうちに収穫して食べるのも田舎暮らしの醍醐味です。
田舎で一人暮らしをするデメリット
田舎でのびのびと一人暮らしを楽しむ反面、田舎ならではのデメリットが生じることもあるものです。どのような点がデメリットと感じやすいか、主な例を解説します。
利便性が悪い
都市部では、生活圏に必要な施設のほとんどが集中しているので、あまり不便を感じたことがないという人もいるでしょう。しかし、田舎ではそういうわけにはいきません。地方によっては駅やスーパー、病院や銀行など必要な施設が少なく、利便性が悪いこともあります。
駅はあっても電車の本数が少ない、深夜まで営業しているスーパーがない、専門の医療を受けられる病院がないなど、充実したサービスが期待できないでしょう。住む場所によっては最寄りの駅やバス停までが遠く、公共交通機関が使えないエリアでは車が生活必需品になります。
生活費が意外とかかる
自然環境や地域の物価などでも異なりますが、田舎では住居費は抑えられるものの、生活費は意外と安くないという声も聞かれます。寒い地域へ移住する場合は秋から春先までの暖房費が高くなるため、雪の少ない都市部から引っ越した人は驚くでしょう。気密性のあるワンルームならまだしも、広い古民家などでは暖房費も高くなりやすいものです。
新たな暖房器具や防寒着、防寒設備などの購入費もかかります。交通手段が車しかない場合は、車の購入費のほか燃料費や自動車保険、車検代などの維持費も加わります。寒い地域なら雪の時期のスノータイヤも必需品です。
収入が減る可能性がある
都会での仕事を辞めて地方で再就職する場合、収入が少なくなる可能性があります。厚生労働省が公表している令和3年度地域別最低賃金改定状況によると、東京の最低賃金は1,041円、神奈川では1,040円で、それ以外の地域では1,000円台のところはありません。全国のほとんどの地域では、最低賃金が800~900円台となっています。
また、転職情報サイトDODAが開示した登録者データの平均年収で見ても、東京の周辺では400万円を超えていますが、関東エリア以外の地域では300万円台となっています。
出典:平均年収ランキング(47都道府県・地方別の年収情報)【最新版】|DODA
田舎へ移住して一人暮らしを始めるコツ
都会から田舎への一人暮らしを実現するには、ある程度の下調べや準備が必要不可欠です。田舎暮らしへの憧れだけの軽い気持ちで行動して、失敗するケースもあるためです。ここでは、田舎の一人暮らしを始めるコツを解説します。
地方移住支援制度を活用する
田舎暮らしを希望する人が増えているのは、公的な地方移住支援制度のスタートに大きく起因しているでしょう。地方移住支援制度とは、国や地方自治体が、都市部の一極集中を分散させ、地方産業の後継育成を目的として地方移住を奨励する制度です。
国の地方創生政策として、東京圏から地方へ移住する単身者は、移住支援金が最大60万円受け取れます。そのほか、地方公共団体では、地域の課題解決に向けた取り組みを事業として起業する際、起業支援金を交付しています。
また、地域の中小企業への就職や、移住前の業務をテレワークで継続する場合、地域で起業する場合など、適用条件に当てはまれば支援金や補助金を受け取ることも可能です。空き家の改修費の補助や就労支援をしている自治体もあるため、せっかくなら手厚い支援制度を活用することをおすすめします。
移住先での仕事を見つける
実際に田舎で一人暮らしを始める前に、移住先で何の仕事をして収入を得るのか考えておく必要があります。現在の仕事を辞めて移住先での転職を考えている場合、自分の希望する職種の求人があるのか調べておくことが重要です。
起業や就農を考えている場合は、支援制度を利用するためにも具体的な事業計画を考えておかなければなりません。リモートワークやフリーランスなど場所を選ばない働き方なら、現在の仕事を続けられるケースも多いでしょう。
おためし移住体験をしてみる
漠然と田舎暮らしを夢見ても、土地によって自然や生活環境が大きく異なるため、実際に住み始めてからイメージと違ったと感じる人もいます。住む場所を決めかねている人や、どのような暮らしを求めているのか確かめたいという人は、事前に実際の暮らしをシミュレーションできるおためし移住体験がおすすめです。
家電や家具などが付いた宿泊施設を用意して、移住生活体験を実施している自治体もあるので利用してみるとよいでしょう。最短1日から最長1ヶ月まで、格安で利用できる施設が多く、なかには水道光熱費なども含め無料で利用できる施設もあります。
田舎の一人暮らしを本気で考えている人は、ぜひ利用を申し込んでみてはいかがでしょうか。移住前に地域の人との触れ合いを通して、実際の生活がイメージできるでしょう。
まとめ
田舎へ移住して一人暮らしを希望する人は、多くのメリットを感じていても、一部にデメリットもあることを把握しておきましょう。ただし、デメリットと感じるかどうかは人によって異なりますし、住んでいるうちに気にならなくなることもあるものです。
移住前には、転居費用や利用できる支援制度、移住後の仕事をどうするかなど、よく検討する必要があります。「百聞は一見に如かず」ですので、まずは実際にお試し移住体験を利用して、短期間移住してみるのもおすすめです。地域のスーパーや人が集まる施設などに出向いて、人の様子や地域の雰囲気などを知った上で結論を出せば、失敗したと感じることも少ないでしょう。