【文例つき】コロナ禍での「引っ越し挨拶」、インターホン越しの挨拶で気を付けたいこととは?

引っ越しをする時、ご近所への挨拶はどうしたらいいのでしょうか。コロナ禍で初対面のお宅を訪問することは気が引けるものの、長く居住することを考えれば、最初にきちんと挨拶をしておきたいものですよね。そこで今回は、引っ越し挨拶のニューノーマルについて、マナー講師の武冨美惠子(たけとみ みえこ)さんが解説します。

コロナ禍でも引っ越し挨拶は必要?

コロナ禍でも引っ越し挨拶は必要?
今後の長い付き合いを考え、コロナ禍でも引っ越しの挨拶はしておきたい(画像素材:AdobeStock)

コロナ禍でも、引っ越しの挨拶は必要です。「遠くの親戚より近くの他人」ということわざがある通り、いざという時は、遠くにいる血縁者より、近所の人が頼りになるもの。特に災害や犯罪、病気、けがなどの緊急時には、ご近所同士の助け合いはとても大切です。

また、第一印象を良くしておくことが、後々のトラブル回避につながる可能性もあります。例えば、子どもの泣き声やペットの鳴き声のほか、さまざまな生活音が多少響いてしまった時、全然知らない人にはクレームがつけやすいかもしれませんが、相手がこちらを良く思っていたり、仲良くしていたりすれば、大目に見てもらえることもあるでしょう。

直接訪問しなくてもいい? 直接訪問する際の注意点は?

直接訪問する際の注意点は?
インターホン越しのやり取りでも、マスク着用、好印象を与える服装を心掛けて(画像素材:AdobeStock)

コロナ禍では、訪問はしますが、インターホン越しのやり取りのみにとどめて、対面は避けるのが賢明です。

ポイントは、こちらから「face to face」の対面を無理強いしないこと。「相手を思いやって、感染防止に努めている」という姿勢を感じてもらえるよう心掛けましょう。中には、相手が玄関先に出てくることがあるかもしれませんが、それを拒否する必要はありません。その際は、少し距離をとるようにして挨拶し、例え相手が話し好きな場合も手短に切り上げます。

服装は、よれよれのTシャツなどだらしない印象を与えるファッションは避けること。清潔感のある服装や丁寧な言葉遣いで臨みましょう。もちろん、インターホン越しの挨拶のみの場合も、マスクの着用は必須です。

また、インターホン越しでも忘れたくないのが「お辞儀」です。カメラに写っている場合は、最初と最後にきちんとお辞儀をすると、相手に安心感を与えられます。音声だけの場合も、誰に見られているか分からないので、手を抜かないようご注意を。細かなことですが、今後のご近所づきあいのためにも好印象を持ってもらうことが大切です。

インターホン越しの挨拶に“手紙”と“手土産”をプラスするのがおすすめ

手紙も用意するのがおすすめ
コロナ禍では、インターホンでの挨拶と同時に手紙も用意するのがおすすめ(画像素材:PIXTA)

コロナ禍の引っ越し挨拶は、どのように進めればいいのか、今どきのマナーに沿った“ニューノーマル”な対応を具体的に紹介します。

手紙だけでいい?

コロナ禍では、インターホン越しの挨拶に、“手紙”と“手土産”をプラスするのがおすすめです。
留守の場合は、2、3回は訪問してみましょう。それでも不在であれば、用意しておいた手紙に次のようなひと言を添えて、手土産と一緒にポストに入れるだけで構いません。

ご不在のため、インターホン越しのご挨拶が叶いませんでした。
ポストに入れさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

具体的な流れとインターホンでのおすすめのフレーズ

ケースバイケースですが、まず、手紙と手土産はインターホンを押す前に、郵便受けに投函しておくとスムーズです。
インターホンを押し、相手が出たら、以下のように伝えます。

今日、〇〇〇号室に越して参りました○○(名字のみでOK)です。
引っ越しの際には、ご不便をおかけしました。
こういう時ですので、手紙にてご挨拶をと思い、気持ちだけですが、ささやかなご挨拶の品と一緒に郵便受けに入れさせていただきました。
よろしくお願いいたします

大抵の場合は、「そうですか。こちらこそよろしく」のような内容で終わりますが、相手が「出ていきます」と返してくれた場合は、対面で距離をとりつつ、「こんにちは、〇〇と申します。こちらの郵便受けに入れさせていただきましたので、よろしくお願いいたします」と伝えましょう。主導権を相手に委ねるのが得策ですが、感染対策を重視して、失礼のない範囲で会話はなるべく短く切り上げましょう。

手紙の内容は?

手紙は、手書きでも、パソコンで作成してもかまいません。
ポイントは、トラブルのもとになりそうな内容を盛り込んでおくこと。「小さな子どもがいる」「ペットを飼っている」「仕事の都合で早朝や深夜に出入りすることがある」など、さらりと触れておくといいでしょう。

文面の一例は以下の通り。

引っ越しのご挨拶(タイトルとして、大きめの文字)
はじめまして
〇月〇日に 〇〇〇号室に引っ越してまいりました○○(名字のみでOK)と申します。
引っ越し当日は、ご不便やご迷惑をおかけいたしました。
コロナ禍につき、直接お会いしてのご挨拶は控えさせていただきますが、こちらの手紙にてご挨拶に代えさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
小さな子供が〇人おり、騒がしく、ご迷惑をお掛けするかもしれませんが、気を付けてまいりますので、よろしくお願いいたします。
ささやかではございますが、
ご挨拶のしるしに心ばかりの品をお受け取りいただけたら、幸いでございます。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
(文中で名乗っているので、必ずしも末尾には氏名は書かなくても構いません)

手紙は、やむを得ず、ポストに入れるだけになる可能性もあります。白い封筒などに入れてしまうと、ダイレクトメールなどと間違えられることもあるので、表を外にして折り、透明の封筒に入れたり、クリアファイルに挟んだりして、文面が見えるような工夫をしておくといいでしょう。

手土産はどんなものが理想的?

手土産はどんなものが理想的?
郵便受けに入るサイズのものを用意し、外のしを掛けるのがポイント(画像素材:AdobeStock)

手土産は、郵便受けに入るサイズのものを用意します。包装紙の上に「御挨拶」と書いた紅白の蝶結びののし(掛け紙)をかけ、下部に名字を明記しましょう。外のしにすることで、ぱっと見て挨拶の品と分かるようにしておきます。
タオルやハンカチ、ふきんといった定番アイテムのほか、最近では除菌シートなどもよく使われているようです。価格は500円~1,000円を目安に選びましょう。

渡す範囲、時期は?

マンションやアパートといった集合住宅の場合は、上下と左右のお宅に加え、管理人さんにもご挨拶をしておくといいでしょう。

一戸建てでは、向かいの3軒と両隣、裏のお宅の計6軒に渡すのがおすすめです。

また、借家の場合は大家さんに、関係性によっては町内会長さんにもご挨拶をしておくといい場合もあります。分からない時は、住まいを世話してくれた不動産屋さんや住宅会社の担当者にアドバイスを求めるのもおすすめです。

渡すタイミングは、引っ越し作業の前が理想ですが、それが難しいなら、引っ越しの当日か翌日に訪問しましょう。ただし、訪問は、早朝や食事時間、夜間は避け、明るい日中にするのがマナーです。遅くても、越してきて2、3日のうちには済ませるようにしてください。

まとめ

コロナ禍とはいえ、引っ越しの挨拶をきちんとしておくことにより、お互いに安心して良好な近所づきあいができるでしょう。その際には、感染防止に配慮していることや、「よろしくお願いします」という気持ちが伝わる工夫が必要です。好印象を持ってもらうことで、新たな住まいでの暮らしがより快適になるでしょう。

<取材先>
ライフサポーターDre-am主宰
武冨美惠子さん
マナー講師、姿勢教育アドバイザー。岡山県内の企業での研修をはじめ、公的機関やカルチャーセンターなど、多数の講座やセミナーを開催し、講師を務めています。主なレッスンとして、「姿勢と立ち居振る舞いでイメージアップ!活き活きマナーレッスン」、山陽新聞「リビングガイド」マナー講座監修(2017~2020年)があります。
https://happytsubaki777.jimdofree.com/

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