子どもの習い事はどのようなものが人気なのでしょうか。また、世間では子どもの習い事にどの程度の費用をかけているのか気になりませんか。今回は、幼稚園児、小学生、中学生、高校生に分けて、人気のある習い事の種類や、習い事にかかる費用などを紹介します。また、子どもに習い事をさせるときの注意点などもあわせて解説します。
子どもの習い事にかける平均費用は?
2019年発表の文部科学省の調査データによると、保護者が1年間に支出した子ども一人あたりの学校外活動費は、公立学校に通う小学生で平均21万4,451円、中学生が30万6,491円となっています。
学校外活動費とは、学習塾や家庭教師などの補助学習を含む、体験活動や習い事に支払う費用のことです。月額に換算すると、公立小学生は約1万8,000円、公立中学生なら月に約2万6,000円が目安といえます。
どのような習い事をしているの?
習い事にかける費用の内訳は、どのようになっているのでしょうか。文部科学省の資料では、習い事の費用を学校外活動費として、その内訳を紹介しています。ここでは、資料をもとに幼稚園、小学校、中学校、高等学校に分けて解説します。
なお、資料では学校外活動費を次のように分類しています。
・補助学習費(学習塾や家庭教師に支払う授業料、教材費、模擬テスト代などのほか、学習机、図書、パソコンなどの購入費)
・体験活動・地域活動(ボーイスカウト、キャンプ、ボランティアなど)
・芸術文化活動(ピアノなどの楽器、絵画、舞踊などの習い事や鑑賞)
・スポーツ・レクリエーション活動(水泳、サッカー、武道、体操などの経費やイベントへの参加費)
・教養・その他(習字、そろばん、英会話など)
幼稚園児
下の表より、幼稚園児の習い事は、公立、私立ともにスポーツやレクリエーション活動、補助学習費の割合が大きいことがわかります。幼いうちは、体の健康保持や増進、基礎的な運動能力を身に着けさせたい親が多いと考えられます。スポーツやレクリエーション以外では、幼児向けの音楽教室や英語教室などのレッスンに通い始める子もいます。
小学生
小学生では公立、私立ともに補助学習費が多くなっています。特に私立では、公立の4倍超の費用をかけており、大きな差があることがわかります。補助学習費には、学習塾の入会金や授業料、教材費、テスト代、施設維持費(冷暖房費や衛生管理費など)、交通費なども含まれます。
小学校から私立に通う子は、名門私立中学校を目指す傾向があり、低学年のうちから合格率の高い学習塾に在籍することも多いようです。
中学生
中学生の習い事は、公立、私立ともに補助学習費が多いことがわかります。公立に通う中学生のほうが、補助学習費にかける費用が高くなっているのが特徴です。私立は中高一貫校が増え、公立中学校で高校受験を控える子どもよりは、学習面で若干余裕があるのかもしれません。
公立、私立にかかわらず、部活動を頑張っていた子のなかには、3年生の夏から本格的に学習に専念する傾向もあります。学習塾の夏期講習や冬期講習、合宿などに参加したり、家庭教師をつけたりするケースもみられます。
高校生
高校生になると、公立、私立ともに中学生よりも習い事にかける費用が全般的に減っています。そのなかでも、公立、私立ともに補助学習費の金額は減少しているものの、全体に占める割合が高いのは、
中学生の頃より通学時間も長くなる子が多く、部活動やアルバイト等で、習い事に使える時間が減るせいもあるかもしれません。
また、大学進学以外に、専門学校や就職などの進路があるのも、補助学習費が減っている要因のひとつといえるでしょう。一方で、大学進学を希望する場合でも、学校の補習授業や市販の教材などを活用し、自主的に学習を進める子も増えてきます。
【2021年】小学生に人気の習い事と平均的な費用
学研教育総合研究所が2021年8月に調べた「小学生の日常生活・学習に関する調査」によると、小学生の習い事で最も多かったのが水泳で、続いて塾や通信教育、英会話教室などが続きます。ここでは、ランキング上位の習い事の平均的な費用について解説します。
※出典:小学生の日常生活・学習に関する調査|学研教育総合研究所
1位:水泳
小学生の習い事のなかで最も人気なのが、近年連続して首位をとっている水泳です。特に小学生男子の低学年に多い結果となりました。また、女子も3年生までは他のどの習い事よりも水泳人気が高く、低~中学年の男女ともおよそ3人に1人が水泳に通っていることがわかります。
入会費や月会費は地域や年齢、コース、頻度などによっても異なりますが、入会費は3,000円、週1回のレッスンで月会費は6,000~8,000円くらいが相場です。そのほか、水着や帽子、ゴーグル、スイミングバッグ、バスタオルなどの購入費がかかります。
2位:塾
学習塾の費用は、通塾日数や学習内容によって異なります。小学生の場合、私立中学受験を目的としたコースと、学校授業の補習を目的としたコースとでは大きな差があります。
中学受験向けの内容の場合、年間40~70万円ほどの費用がかかるのが一般的です。さらに、6年生になると夏期講習や冬期講習、志望校別の特別講座などがあり、総額で90~120万円ほどになります。
一方、補習のための塾は年間10~20万円程度です。ただし、通塾回数や特別講座の受講の有無などによっては、もっと費用がかかる可能性もあるでしょう。
3位:通信教育
小学生向けの通信教育は、塾やほかの習い事に比べて費用が安い傾向があります。自分のペースで空いた時間に学習できるため、他の習い事と併行して利用するケースもあるでしょう。
月額料金は、最も安い講座で2,000円台から。一般的に3,000円〜5,000円前後の講座が多いようです。印刷したテキストを教材とする通信教育よりも、タブレットやパソコンを活用した通信教育のほうが安い傾向があります。
4位:英語塾・英会話教室
小学生向けの英語塾や英会話教室の相場は、教室の形式やレッスンの参加人数によって変わってきます。6人以上のグループレッスンなら月8,000~1万円程度、2~5人の少人数制なら月1万5,000円程度、個人レッスンなら月2万5,000円程度が目安です。また月会費以外に、入会費や施設費、教材費などがかかります。
5位:音楽教室
音楽教室の費用は、習う楽器や年齢、レベルによって大きく変わってきます。たとえば、小学生に人気のピアノ教室の月謝の相場は、大手音楽教室で約8,000円、個人の教室で約5,000円が目安です。レベルによっては月2万円程度かかる場合もあります。
そのほか、楽器の購入費や教材費、発表会参加費や衣装代、ビデオ撮影費などもかかります。また、教室や講師によっては、検定試験受験料やコンクールの参加費、それらに付随する特別レッスン料なども別途必要となります。
子どもに習い事をさせるときの注意点
習い事にかかる費用は、入会金や月会費だけではありません。教材費や施設費、交通費などさまざまな費用がかかるものです。
また、レッスン中の待ち時間や送り迎えなどで、親の時間的な負担が増える可能性も考慮しなければなりません。習い事はトータルの費用や、付き添いの親の負担も考えて決める必要があるでしょう。
まとめ
幼稚園児から高校生までの子どもの習い事の費用は、ひと月あたり約7,000円~5万4,000円が目安となっています。習い事をさせるときは、毎月かかる授業料や月謝のほかに、教材費や交通費などさまざまな費用も含めて考える必要があります。
特に、子どもが小さいうちは、送迎や付き添いが必要になることも多いものです。習い事は子どもの向き不向きとともに、保護者の時間的負担も考慮して決めることが大切です。