2022年4月から住宅ローン控除(減税)制度が変更となります。入居に係る適用期限が4年間延長されるほか、控除率が1%から0.7%に引き下げられるなど、マイホームを検討している人には気になる年度替わりを迎えています。そんな中での2022年4月の【フラット35】金利はどうなったのでしょうか。動向をお伝えします。
2022年4月の【フラット35】金利
今月の全期間固定金利型住宅ローン【フラット35】(買取型)の金利(最低金利)は融資率9割以下、返済期間21~35年、機構団信加入で1.44%となり3月から0.01ポイント引き上げに。一方、融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.31%と、前月から据え置きとなりました。
ARUHI住宅ローンの実行金利一覧
建設費または購入価額(以下、物件価格)の1割~5割の頭金があれば、従来のARUHIフラット35よりさらに低金利で利用できる、ARUHIスーパーフラットの各種商品の金利は以下の通りです。
物件価格の5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット5」(※団信込み)は1.23%。
物件価格の4割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット6」(※団信込み)は1.27%。
物件価格の3.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット6.5」(※団信込み)は1.28%。
物件価格の3割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット7」(※団信込み)は1.29%。
物件価額の2.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット7.5」(※団信込み)は1.30%。
物件価格の2割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット8」(※団信込み)は1.31%。
物件価格の1.5割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHIスーパーフラット8.5」(※団信込み)は1.36%となっています。
物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHIスーパーフラット9」(※団信込み)は1.39%となっています。
最新の住宅ローン金利はこちら→【ARUHIフラット35】
まとめ
最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。
米国の大幅利上げ観測で2022年4月の【フラット35】金利は上昇
ロシアのウクライナ侵攻による地政学リスクの高まりと経済制裁から一時的に長期金利は低下したものの、米政策金利の利上げとその後のパウエル議長の発言によって再び長期金利は上昇し、2022年4月の【フラット35】(買取型)の金利は上昇しました。
機構債発表日前日の長期金利は0.01ポイント下がり、これを反映して機構債の表面利率は0.46%と前月から0.02ポイント下がりました。しかし、【フラット35】(買取型)の金利は0.01ポイントの上昇となっています。【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み(※)からすると調達金利が下がったにもかかわらず、住宅ローンの金利を上昇させたということになります。
これには2022年1月から2月にかけての、急激な金利の上昇を緩和させたことが関係しています。調達金利となる機構債の表面利率は0.32%から0.40%へ0.08ポイント上昇しましたが、【フラット35】(買取型)の金利は1.30%から1.35%に0.05ポイントの上昇であったため、住宅金融支援機構が意識的に0.03ポイントの金利上昇を抑えたのです。これは、住宅金融支援機構が0.03ポイントの損を被ってわたしたちに住宅ローンを貸しているということになります。
住宅金融支援機構は国の出先機関ですから、そこが損を被るということは【フラット35】で住宅ローンを借りる人のために、あえて国民の税金が投入されることを意味します。【フラット35】は長期金利の動向をダイレクトに反映しやすいのですが、一方で公的融資であることから、急激な金利上昇の影響を緩和する傾向があります。しかしそれには国民の税金が投入されることになるので、公平の観点からどこかで取り戻さなければなりません。
2022年1月の機構債の表面利率0.32%と【フラット35】1.30%の金利差は0.98ポイントです。これに対して2022年4月の機構債の表面利率0.46%と【フラット35】1.44%の金利差も0.98ポイントで同じになっています。つまり、1月から2月にかけての急激な上昇を抑えた分の帳尻を、この4月で合わせているのです。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は3月21日の講演で「政策金利の引き上げ幅を0.25%より大きくし、より積極的に動くことが適切であると判断した場合にはそうする」と述べており、次回の会合では0.5%の大幅利上げの可能性が示唆されています。そうなれば日本の長期金利もさらに上昇していくことが予想されます。住宅ローンの実行までは金利の動向に目を配っておき、複数の金利タイプで審査を通しておくことをお勧めします。
※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み
住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。
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