空き巣による「マーキング」をご存知でしょうか。空き巣は、実際に侵入する前に、家族構成や留守の時間帯などをチェックします。その際に、調査結果を玄関先にマーキングすることがあるそうです。つまり、マーキングは空き巣の前兆ともいえます。
空き巣被害にはなるべく遭いたくないものですよね。そこで今回は、マーキングとはどのようなものか、空き巣対策はどのようにすればよいかなどについて解説します。
空き巣のマーキングとは
警察庁のデータ「侵入窃盗認知件数の推移」によると、オートロックマンションやホームセキュリティシステムの普及の影響もあり、空き巣を含む侵入窃盗の犯罪は平成15年(2003年)をピークに全国で減少傾向にあります。
しかし、それでも令和2年(2020年)には2万1,030件もの被害が報告されています。1日あたり約60件の侵入犯罪が発生していることを思えば、必ずしも安心とはいえないでしょう。空き巣などの侵入犯罪はこれほどまでに身近な犯罪であるため、しっかりと対策しておきたいものです。
空き巣が行った下見の記録として、その家の玄関先等に「マーキング」を残すことがあります。マーキングとは、空き巣の対象となる住宅の家族構成や、住人が不在となる時間などを現地に記録しておくことです。
ただし、このマーキングは訪問販売員や新聞勧誘員が付けることもあり、すべて空き巣が行うものとは限りません。
参照元:警察庁住まいる防犯110番
空き巣がマーキングをする目的とは
空き巣は、事前に犯行予定の家を下見してから、実際に侵入するといわれています。その際、住人が留守になる時間帯、家族構成など、侵入しやすいかどうかが分かる情報をマーキングしておくことがあります。このようにマーキングしておけば、何度も同じ家をチェックしなくて済むからです。また、単独犯でない場合は、仲間に知らせる目的もあるでしょう。
空き巣のマーキングの種類
マーキングの方法は、自分だけにわかるしるしを付ける、仲間に知らせるための隠語を使用するなど、さまざまです。どのような方法があるか、主な事例を解説します。
テープやシール
空き巣のマーキングとして、小さな色付きのシールを貼る方法があります。たとえば、赤のシールは在宅時間が短い家、青のシールは日中いない、黒のシールは侵入不可といったように、貼るシールの色によって意味をもたせています。
もし、今までに見たことのないシールやテープが貼られていれば、空き巣が下見した際のマーキングの可能性があるため、すぐに剥がすようにしてください。
マジックペンでの書き込み
油性マジックやチョークのようなものでマーキングされることもあります。侵入しやすい家なら「○」、常に家人が在宅していて侵入不可な場合は「×」、住人が女性なら「W」、男性なら「M」、家族で住んでいれば「F」など。また、たとえば通勤や通学で家族が10時から16時まで完全に不在になる場合は、「R10-16」というものもあります。
このように、文字や数字を組み合わせて多くの具体的な情報を残すこともあれば、簡単な記号だけのマーキングもあります。見慣れない文字や記号があったときは警戒するようにしましょう。
傷
住人が気づきにくいマーキングの方法として、キリなどの鋭利な道具で傷を残すケースもあります。玄関ドア付近に身に覚えのない傷があり、隣近所に確認したところ、数軒に同様の傷が確認された、という事例もあるようです。単に傷をつけただけものや、線の本数や形で情報を残すものもあります。
傷は自然にできたものかどうか見分けにくいため、日々のチェックが重要となるでしょう。
空き巣がマーキングする場所
空き巣がマーキングする場所は、玄関や郵便受け、インターホンやドアチャイムなどの玄関周辺が一般的です。ただし、昨今は空き巣のマーキングの手口が世間に広まっていて、玄関付近にマーキングをしても、すぐに消されてしまうようになってきました。そのため、マーキングする場所は、一目見てもわからないような場所にされるようになっています。
たとえば、郵便受けの裏側や配管、電気メーターやガスメーターのボックスなど、普段は見ないような部分にマーキングされることもあります。
空き巣のマーキングを見つけたときの対策法
もし家にマーキングをされていたら空き巣の前兆かもしれません。そのため、マーキングを見つけたときはそのまま放置してはいけません。次は、マーキングされたときの対処法を解説します。
見つけ次第すぐに消す
マーキングを発見したら、なるべく早く消しましょう。残しておくと、マーキングの情報をもとに空き巣が侵入してくる可能性があります。ペンで書かれた文字はアルコールなどでふき取り、シールは剥がします。傷がついている場合は、ヤスリなどで削って塗装しましょう。
何か起きたときの証拠として残しておきたいという考え方もありますが、写真に残すだけで十分です。すぐにマーキングへの対処をしないと、防犯意識が低い家と判断されるかもしれません。十分に注意してください。
警察に相談する
マーキングを消しても、また空き巣が下見に来るかもしれません。一度でも自宅が狙われたかもしれないと思うと、今後も不安でしょう。そのため、マーキングを見つけた場合は速やかに警察に相談することをおすすめします。
マーキングをつけた人が空き巣とは限りませんし、事件性がない限りはすぐ捜査にはならないでしょう。しかし、相談しておくと周辺のパトロールを強化するなどの対策を行ってくれる可能性があります。
警察に通報するときは、警察相談専用電話「#9110」、もしくは管轄の警察署に電話しましょう。しかし、空き巣に入られた痕跡があるなど、事件性がある場合は迷わず「110」に電話してください。
防犯対策を行う
マーキングがあるということは空き巣の前兆かもしれません。そのため、マーキングを見つけたときは、より一層家の防犯対策を強化しましょう。
防犯対策の一つとして、監視カメラの設置が挙げられます。ダミーの監視カメラだとしても、防犯していることを視覚的にアピールできます。また、玄関前や敷地内の死角になる場所に、人感センサーライトを取り付けるのもよいでしょう。
そのほか、敷地内のドアや窓などの開口部周辺に防犯砂利を敷けば、人が踏むと大きな音が出るため侵入に気づきやすくなります。
侵入されにくい家にするためには、窓や玄関に防犯対策を行います。窓ガラスに防犯フィルムを貼るとガラスが割れなくなるため、侵入防止として効果的です。また、窓やドアに鍵が2つあると解錠までに時間がかかり、空き巣が侵入をさけるといわれています。
家に空き巣のマーキングがあったときの注意点
自宅のマーキングを発見したときは「うちにもあった!」と驚き、冷静な行動をとれなくなってしまうかもしれません。しかし、空き巣被害から自分を守るためには、以下のような注意点を守るようにしてください。
SNSに投稿しない
マーキングされたことを迂闊にSNSに投稿するのは止めましょう。どこにどのようなマーキングされたのか投稿すると、空き巣にマーキングした家とSNSのアカウントを紐づけられてしまいます。
そのSNSアカウントで、旅行へ行く、帰省するなどの情報を発信すれば、空き巣に不在にする日時を教えてしまうことになります。
もし、マーキングされたことをSNSに投稿したいのであれば、画像の投稿は控え、自分の家だとわからないように工夫しましょう。
前の住民に対するマーキングの可能性がある
引っ越しした直後の家にマーキングがあるとすると、そのマーキングは前の入居者の情報である可能性もあります。この場合、空き巣による窃盗被害だけではなく、自分の命にまで危険が及ぶかもしれません。
なぜなら、前の住人と自分の生活リズムが違えば、不在時間を狙って侵入した空き巣と鉢合わせてしまう可能性があるからです。不在だと思って侵入した空き巣が、住人の存在に驚き攻撃をしてくるかもしれません。
引っ越し後は、まず玄関先の不審なシール、書き込み、傷などをチェックしておきましょう。
まとめ
空き巣は下見でマーキングして、住民の情報を記録しておくことがあります。空き巣はマーキングの情報をもとに家に侵入してくるかもしれないため、マーキングを残したままでは危険です。
仮に、空き巣がマーキングしてないとしても、「防犯対策が杜撰である家=侵入しやすい家」と思われるかもしれません。マーキングは見つけ次第、すぐに消しておき、防犯対策を教科するようにしましょう。