【種類別】奨学金は主に3種類、申請基準や金額は何が違ってくる?

日本学生支援機構(JASSO)の「令和2年度学生生活調査」によると、日本の大学生(昼間部)のうち約半数は何らかの奨学金を利用しています。さらに、そのうちの約85%は日本学生支援機構の奨学金を利用しています。奨学金を受ける学生の割合は年々増加していますが、日本にはどのような種類の奨学金があるのでしょうか。この記事では、奨学金の種類や申請基準、金額、申込方法、注意点などについて詳しく解説していきます。

奨学金の種類

奨学金には大きく分けて、返済の必要がない給付型(もらう奨学金)と、返済の必要がある貸与型(借りる奨学金)、そして新聞奨学生をはじめとした稼ぐ奨学金があります。まずは、種類ごとの概要を見ていきましょう。

給付型奨学金

最初に給付型の奨学金について解説します。給付型の奨学金は、返済する必要のない奨学金のこと。給付型奨学金の一例をまとめると次の通りです。

給付型奨学金

日本学生支援機構の奨学金がポピュラーですが、取り上げたものの他にも財団や企業による奨学金が多数設けられています。また、学校や自治体が給付する奨学金もあるので、詳しくは進学先の大学や専門学校、居住する自治体に問い合わせるとよいでしょう。

貸与型奨学金

貸与型奨学金の場合、奨学金を受ける学生本人が原則卒業後に返済する必要があります。日本学生支援機構が提供する貸与型奨学金には、第一種奨学金、第二種奨学金、入学時特別増額貸与奨学金、海外留学のための貸与奨学金などがあります。

貸与型奨学金

稼ぐ奨学金

稼ぐ奨学金の代表格が、新聞各社が提供する新聞奨学金制度です。新聞社の販売店で働いて学費を借りつつ、学生生活を送りながら給与を受け取ることができます。在学期間中に返済を終わらせるのが原則のため、卒業後に借金が残ることはありません。主な新聞奨学金制度としては次のようなものが挙げられます。

稼ぐ奨学金

 

奨学金の申請基準

各奨学金制度において、その奨学金を受け取るためには具体的にどのような条件を満たしている必要があるのでしょうか。ここでは進学先が対象校であることを前提として、利用者の多い日本学生支援機構の申請基準を中心に解説していきます。

家計基準

日本学生支援機構の奨学金に申し込む場合、家計を支える人に所得制限が設けられています。返済の必要がない給付型の所得制限が最も厳しく、続いて第一種、第二種の順に条件が厳しく設定されています。

給付型は住民税非課税世帯(第1区分)およびそれに準ずる世帯(第2区分、第3区分)が対象となっており、区分に応じて支援を受けられる額が変わります。また、給付型では、学生本人と生計維持者の申込日時点での資産額が合計2,000万円未満(生計維持者が1人の場合は1,250万円未満)という資産基準が設けられている点も要注意です。

第一種奨学金・第二種奨学金については、生計維持者が給与所得者である4人世帯の場合で見ていきましょう。第一種奨学金であれば給与所得の上限金額の目安は年額747万円、第二種奨学金であれば給与所得の上限金額の目安は年額1,100万円です。こうして見ると、同じ貸与型であっても無利子の第一種のほうが、家計基準は厳しいことがわかります。

学力基準

日本学生支援機構の奨学金では学力基準も設定されており、学生本人が進学前、進学後に一定の学力基準を満たしていなければなりません。

給付型および第一種奨学金については、高校等における全履修科目の評定平均値が5段階評価で原則3.5以上であることが求められます。第一種奨学金の場合、特定の分野において特に優れた学習成績を修める見込みのある人や、学修に意欲があって進学先で優れた成績を修める見込みのある人も対象とされています。第二種奨学金については、高校等での学業成績が平均水準以上であればよくなど、他の2つに比べると基準は低めです。

奨学生は進学後も勉学に励むことが求められ、給付型では学年末に学業等の適格認定が行われます。第一種・第二種の奨学生も、奨学金を継続して受け取るには年1回「奨学金継続願」の提出が必須。いずれも学力が水準を満たさないと判断された場合、奨学金が廃止・停止になってしまう可能性があります。

奨学金の申込方法は?

日本学生支援機構の奨学金は「予約採用」と「在学採用」に分けられます。予約採用は、進学前に在学する高校等から必要書類を受け取りインターネットで申し込み手続きをする方法です。「採用候補者決定通知」も在学する高校等から受け取ります。在学採用の場合は、進学後に進学先の大学等から必要書類を受け取り、奨学金の申し込みを行います。

予約採用の募集時期は高校3年生の5〜6月ごろ、決定通知が届くのは10月下旬ごろというのが一般的。在学採用は大学によって時期が異なりますが、おおむね毎年4〜5月ごろに募集が行われ、選考に通ると7月ごろに初回振り込みとなります。

自治体の奨学金は、提供する自治体によって申込方法や募集時期が異なるため、詳しくは住んでいる自治体の制度をチェックしましょう。一例として東京都港区の在学者への奨学金
(進学予定者は年1回12月ごろ)
の場合は、毎年5月ごろ・8月ごろの2回募集が行われています。

新聞社の奨学金は各新聞社のWebページなどから資料請求をして、申込書や健康診断書を送付し手続きを行います。志望校に合格後、速やかに各新聞社の奨学会に連絡をし、問題なければ採用という流れです。多くの会社で2月ごろから研修などがスタートするため、進学先の合格が決まってから応募をしても定員に達している可能性があります。志望校が決まったらすぐに応募し、内定を得ている状態で受験をするとよいでしょう。

奨学金を利用する場合の注意点

奨学金を利用するにあたっては、次の2点に注意が必要です。

1つ目は、初回の奨学金が振り込まれるまで時間を要するため、入学金や受験料等の振り込みには間に合わないということ。これらの費用は別途準備する必要があり、不足する場合には教育ローンの活用を検討したほうがよいでしょう。

2つ目は、奨学金の予約採用の募集時期が高校3年の5〜6月あたりと、かなり早めであること。この時期を逃すと二次募集や進学先の在学採用となり、奨学金の振込時期が後ろ倒しになってしまう可能性があります。奨学金の利用を検討しているのであれば、大学入学まで時間があるからと油断せず、高校生のうちから事前に下調べをして早めに動くのが大切です。

まとめ

奨学金と一口に言っても、大きく分けて「もらう奨学金」「借りる奨学金」「稼ぐ奨学金」という3種類があります。奨学金を受けられる基準は提供する団体によって異なりますが、多くの奨学金で学力基準と家計基準が定められています。

まずは、自身が奨学金の基準に当てはまっているのか確認するのが重要です。また、奨学金といえば日本学生支援機構が有名ですが、他にもさまざまな種類の奨学金があるということを理解し、自身の条件に合う奨学金を選ぶようにしましょう。

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