空き巣がピッキングを行う割合は? 空き巣の実態に合わせた防犯対策を行おう

特殊な工具を使って鍵を解錠し、建物に侵入するピッキング。留守中に空き巣に狙われないためには、防犯対策としてピッキングの対策をしておけばいいと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、実はピッキングの割合は年々減ってきています。その理由や現在の主な空き巣の手口、必要な防犯対策について解説します。

ピッキングとは

ピッキングとは空き巣の手口の一つで、シリンダーと呼ばれるいわゆる鍵穴に針金のような工具を差し込んで、建物の鍵を不正に解錠することです。

最近ではほとんど見かけなくなりましたが、過去に普及していたシリンダーが非常にピッキングに弱いもので、それを狙った空き巣が増えていました。主に2000年から2002年に急増した手口です。このことから、対策としてピッキング法が制定され、業務以外でピッキング用具の所持や携帯をすることが禁止されました。

空き巣がピッキングを行う割合は?

ピッキング騒動が一つの社会問題になったことから、空き巣の多くがピッキングで侵入するものだと思っている人も多いかもしれません。しかし、2020年に発生した空き巣の手口のなかでピッキングの割合は、なんと「0」。ピッキングで建物に侵入する空き巣はいませんでした。

その大きな理由は、鍵の性能が向上していてピッキングでは侵入できなくなっているためです。空き巣は解錠に5分以上かかると侵入を諦めるといわれています。ピッキングを完全に防ぐことはできませんが、時間がかかることで空き巣に侵入を諦めさせることができるのです。

ただ、ピッキングの件数は0でしたが空き巣の件数が減っているわけではありません。2020年では、全国で2万1,030件もの侵入犯罪が発生しており、これは1日当たり約60件も侵入犯罪が発生している計算になります。空き巣の被害にあわないためにも、ピッキング以外の空き巣対策を考える必要があります。

参考:警察庁「住まいる防犯110番」
参考:警察庁「令和2年の犯罪」

現在の空き巣の主な手口

犯罪 男 不審者
意外にも鍵をこじ開ける空き巣の被害は少ない(画像素材:PIXTA)

ほとんどの空き巣の手口がピッキングではないとすると、いったいどのような方法で侵入するのでしょうか。空き巣の手口として多いのは「無締り」。つまり、鍵や窓を施錠せずに外出した結果、空き巣に入られてしまったというケースです。共同住宅では無締りによる空き巣被害が最も多く、戸建てでも2番目に多い手口となっています。

次に多い手口が、ガラス破りや合鍵での被害です。ガラス破りとは、鍵周辺の窓ガラスに穴を開け、その穴から手や工具を入れて直接鍵を解錠して侵入する手口です。バールやドライバーなどで打ち破る方法もありますが、それほど大きな破壊音がしない焼き破りという方法も増えています。

このことから、意外にも鍵をこじ開ける空き巣(侵入窃盗)の被害は少ないことがわかります。出かけるときには確実に施錠をするなど、日頃の注意で防ぐことができるのです。

空き巣の主な侵入口は住居形態によって異なる

空き巣が侵入する経路には住居の形態によって違いがあります。そこで、住居形態別の侵入経路について解説します。自宅ではどんな場所が狙われやすいのか考えてみましょう。

参考:警察庁「住まいる防犯110番」

戸建て

戸建ての場合、窓からの侵入が圧倒的に多いです。戸建ては高くても3階程度の高さであり、足場があればベランダからの侵入も可能です。鍵をかけ忘れている窓が狙われることはもちろん、周囲に気づかれずに破れそうな窓も狙われやすくなります。少しの間の外出でも確実に鍵を施錠し、窓を隠すような植栽は切ってしまうことも考えましょう。

3階建て以下の共同住宅

マンションやアパートなど3階建て以下の共同住宅の場合は、戸建てと同様に窓からの侵入が最も多いです。戸建てのように、比較的手が届きやすい範囲に窓があり、ベランダからの侵入も容易なためです。高層階だと窓からの侵入を諦めることもありますが、3階建て以下のマンション・アパートの場合は戸建てと同じような危険性があることを覚えておきましょう。

4階建て以上の共同住宅

4階建て以上の共同住宅の場合は、侵入経路が変わってきます。出入り口からの侵入が多く、無施錠の場合に多く発生しています。

高層階だから窓からの侵入はないと思うかもしれませんが、非常階段やベランダを通って侵入するケースもあります。マンションなどの共同住宅では、周囲の視線を遮るためにベランダが死角になることも多いため、出入り口だけではなく窓の施錠も確実に行いましょう。

空き巣に有効な防犯対策とは

扉をロックする
玄関だけではなく窓の戸締りにも注意(画像素材:PIXTA)

空き巣の被害にあわないためにはどんなことに気をつけるべきなのでしょうか。空き巣の手口や侵入経路から考えると、それほど複雑な対策ではなく、実は日頃の注意で被害にあいにくくすることができます。ここでは、空き巣に有効な防犯対策について説明します。

鍵をしっかりと閉める

空き巣対策の最も重要な方法は、鍵を確実に閉めることです。先ほど説明したように、空き巣の手口は無締りが多く、鍵がかかっていない玄関や窓を狙って侵入します。外出するときは必ず鍵を閉めましょう。

ほとんどの人は外出時に鍵を閉めて出かけると思いますが、短時間の外出だとつい気が緩んでしまいがちです。「ゴミ捨てや回覧板を出しに行くぐらいなら鍵を閉めなくてもいいか」と思うかもしれませんが、この時間が空き巣に狙われることもあります。

戸建てや3階建て以下の共同住宅の場合は窓からの侵入が多いため、玄関だけではなく窓の戸締りにも注意しましょう。

鍵の管理をしっかりと行う

3番目に多い空き巣の手口が合鍵を使った侵入です。一度合鍵を作られてしまうと、気づかないうちに何度も侵入されることがあるため、鍵は慎重に管理しましょう。

合鍵の複製を防ぐには、郵便受けや玄関の近くなど誰でも取り出せるような場所に鍵を置かないことです。必要な数だけ鍵を作るようにし、紛失しないように注意しましょう。子どもに鍵を持たせて失くしてしまうケースも多く、万が一、鍵を紛失した場合は家の鍵そのものを取りかえると安心です。

また、シリンダーキーは鍵の番号と写真で合鍵を作ることができるので、鍵の写真を第三者に提供したりSNSに投稿したりすることがないよう、家族みんなで気をつけましょう。

補助錠をつける

先ほど述べたように、空き巣は解錠に5分以上かかると諦めてしまう傾向があります。そのため、物理的に解錠する時間を長くするのも有効な対策です。鍵は一つよりも二つ、二つより三つのほうが開ける手間がかかり、空き巣は嫌がる傾向にあります。

補助錠は窓ガラスやサッシにつける防犯性の高い鍵のことで、補助錠を閉めておけば外からは開けられません。窓ガラスを破れば補助錠も開けることができますが、確実に侵入にかかる時間を稼ぎ、空き巣の侵入を阻むことになります。侵入を諦めさせるためにも効果的な手段だといえるでしょう。

窓にフィルムやシャッターをつける

ガラス破りの被害を防ぐためには、防犯フィルムを貼るのが有効な手段です。防犯フィルムなら窓ガラスを取り替えることなく、自分で貼れるので手軽に防犯対策ができます。防犯フィルムを貼ると、大きな音が出るほど強く叩かないと窓ガラスは割れません。空き巣は大きな音が出て近所に知られることを嫌がるため、侵入を諦めるでしょう。

また、雨戸を締めることも防犯対策として有効です。雨戸を閉めておけば、そう簡単に窓ガラスを破ることはできません。特に旅行や帰省などで長期間家を開けるときには、忘れずに雨戸を閉めて出かけましょう。

まとめ

ピッキングを利用した侵入犯罪は、もはや0件になっていますが、依然として防犯対策は必要です。侵入窃盗の主な手口である、無締り、ガラス破り、合鍵の対策を行うことで被害を未然に防ぐことができます。出かけるときは確実に玄関や窓を施錠し、必要に応じて防犯フィルムや補助錠の設置を検討しましょう。

侵入窃盗の被害は後を絶ちません。大切な家族や財産を守るために、まずはできることから対策を行っていきましょう。

(最終更新日:2022.04.04)
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