マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、いつもの通院等が便利になったり、確定申告の医療費控除も簡単にできるようになりました。マイナンバーカードの健康保険証化のメリットについて見てみましょう。
マイナンバーカードの健康保険証化ってどんなもの?
マイナンバーカードの健康保険証化は、マイナンバーカードと健康保険証を一体化させることです。これによりマイナンバーカードが単にこれまでの健康保険証の代わりになるだけでなく、「データの連携」が一体化の最大のポイントといえます。
では、どんなメリットあるのでしょうか?
その1)病院での受付が自動化される!
「せっかく再来受付機があるのに結局、保険証の提示のために受付窓口に行かなければいけない」「コロナ禍のなか、できるだけ人との接触も避けたい」、通院時にこんな風に思ったことはないですか?
マイナンバーカードを健康保険証化しておけば、医療機関に設置されている顔認証付きカードリーダーで人と接することなく受付ができるようになりました(医療機関・薬局によっては、一部の業務が対面で行われる場合もあります)。
この顔認証付きカードリーダーでは、同時に薬剤情報・特定健診情報等閲覧に係る同意、限度額適用認定証等の情報提供に係る同意ができるようになっています。
その2)過去に処方された薬の情報等を説明しなくて済む
過去の薬や特定健診等のデータが自動で登録・連携されるようになっているので、自分で説明する必要がなくなります。また、今までの医療情報が登録されるので、自分の体についてのデータを見たうえで 診察・薬の処方をしてもらえる、マイナポータルというサイトで、過去にどんな薬が処方されたか、自分の体に関係する情報を病院に行かなくてもいつでもどこでも確認できる、というのもメリットでしょう。
その3)面倒な手続きをしなくても限度額を超える医療費の支払いが免除
高額療養費制度では、同じ月に高額な医療費の自己負担が必要となった際に、事前に「限度額適用認定証※」の発行を受ければ、医療機関窓口に提示することで限度額を超える支払いが免除されます。
※窓口での支払が高額になる場合に、自己負担額を所得に応じた限度額にするために医療機関に提出する証類
あらかじめ入院や手術の日程がはっきりしており、時間に余裕があればもちろんそれでも問題ありませんが、急に入院や手術が必要となった場合、「限度額適用認定証」の発行が間に合わずに、窓口での一時負担が高額になってしまう、という可能性もあります。
マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関では、「限度額適用認定証」がなくても、限度額を超える支払いが免除されます。安心かつ手間いらず、ですね。
やり方は簡単です。医療機関の窓口に備え付けられている顔認証付きカードリーダーでマイナンバーカードを読み取って「保険者番号 」「被保険者証記号・番号」などの情報提供に同意するだけです。保険証を使って受診する場合には、受付で同様に情報提供に同意する旨を口頭で伝えればOKです。
対応できる医療機関等は「マイナ受付」のポスター、ステッカーが目印です。また、厚生労働省のホームページから対応できる医療機関などを調べることもできます。
マイナンバーカードを健康保険証化にする方法
申込はマイナポータルのサイトから簡単にできます。パソコンから申込するにはICカードリーダーが必要なので、スマートフォンからの申込が手軽でしょう。
スマートフォンで申込する場合には、NFC(近距離無線通信)機能付きスマートフォン(iPhoneであれば「7」以降)でマイナポータルアプリを立ち上げてカードを読み取らせ、利用者証明用電子証明書の暗証番号4ケタを入力することで完了です。
パソコンやスマートフォンを持っていない人は、セブン銀行ATMから簡単に申込ができます。区役所などの窓口で申込対応している自治体もあるので、確認してみましょう。
確定申告の医療費控除が簡単になるって本当?
医療費控除の申告をしたいけれど「領収書を1年間取っておくのが大変」、「領収証をなくしてしまった」等で申告をあきらめた、という経験はないでしょうか?
医療費控除というのは、1年間に支払った医療費が家族合算で10万円を超えると、所得税を一部返してくれる制度です。ただ、対象は10万円(総所得200万円未満の人は所得の5%)を超えた部分なので、医療機関などで支払った領収証を管理したり、健康保険組合等の自分が加入する公的医療保険の保険者が送ってくれる「医療費通知(医療費のお知らせ)」に載っていない情報をチェックしたりと結構大変な作業が必要になります。
実は、マイナンバーカードを健康保険証と紐づけすることで、自分で医療費の領収書を管理しなくても、 マイナポータル上で医療機関・薬局の窓口で支払った公的医療保険に係る医療費の情報を自動的に管理できるようになりました。
さらに、その情報をマイナポータルからe-Taxに連携できるので、医療費の管理から確定申告までパソコン上で完了できます。2021年(令和3年)分所得税の確定申告から可能です。実際には、自動入力が可能なのは2021年(令和3年)9月受診分以降の記録なので、それまでの期間の情報については「医療費通知(医療費のお知らせ)」を使うことになります。それでも、少しでも手間が減る、というのは嬉しいですね。もちろん、2022年(令和4年)の確定申告からは、すべての情報が自動化されます。
おりしも、岸田政権のマイナンバーカードの取得・利用促進を目的としたマイナポイント事業「第2弾」では、マイナンバーカードを健康保険証として利用登録を行った人に、7,500円相当のポイントが付与されます。まだマイナンバーカードを取得していない、という人はこれを機会に作成して登録しても良いかもしれませんね。(注:実際のポイント付与は2022年6月頃予定)
すでに登録・利用申込みを済ませてしまった!という人も対象となるのでご安心を。