2月16日から3月15日は、所得税の確定申告期間です。事業をしている人などだけでなく、医療費控除や住宅ローン控除を受ける会社員なども行う確定申告には、「マイナンバー」が必要です。「マイナンバーカード」があると、申告書作成や提出に便利な機能を利用することができますが、日本全体でマイナンバーカードの交付率は41%(2022年1月1日時点)。まだ持っていない人も多いでしょう。
この記事では、マイナンバーカードを持っていない場合の確定申告の流れを確認していきます。マイナンバーカードがあると何が便利になるのかも紹介しますので、あわせてチェックしてみてください。
2021年分確定申告の申告書作成・提出の流れ
まず、2021年分確定申告の申告書作成・提出の流れを確認してみましょう。
以下(表1)のような4つの流れがあり、どれかを選んで確定申告を行います。マイナンバーカードを保有していない場合には、(3)のID・パスワード方式か、(4)書面提出の流れで申告を行います。
確定申告書には、マイナンバーを記載
確定申告の際にはマイナンバーカードの有無を問わず、マイナンバーの記載が必要です。マイナンバーを記載した紙の申告書を、本人確認書類を提示して税務署の窓口に提出、あるいは本人確認書類の写しを添付して郵送すれば申告できます。
<表2 確定申告書の本人確認書類の例>
例1 マイナンバーカード(番号確認と身元確認)
例2 通知カード(番号確認)+ 身元確認書類
※ 身元確認書類の例:運転免許証、公的医療保険の被保険者証、パスポート、身体障害者手帳、在留カードなど
また、事前に税務署に申請・交付されたID・パスワードがあれば、マイナンバーカードがなくても、e-Tax(電子申告)による確定申告書の提出もできます(表1の(3)ID・パスワード方式)。ただし、ID・パスワード方式は、マイナンバーカードが普及するまでの暫定的な対応とされており、早めのマイナンバーカードの取得が薦められています。
ID・パスワード方式でe-Tax(電子申告)する場合には、事前に税務署の職員と対面による本人確認を行って発行された「ID・パスワード方式の届出完了通知」が必要です。発行を希望し、本人確認を行う際には、運転免許証などの本人確認書類が必要です。
このように、マイナンバーカードを持っていない場合でも、確定申告書は提出できますし、国税庁ホームページにある「確定申告書作成コーナー」を利用して申告書を作成することも可能です。しかし、マイナンバーカードがあれば、申告書作成や提出をよりスムーズにする機能も利用可能となってきています。マイナンバーカードを利用した場合、どんな機能が利用可能になるのかも、チェックしておきましょう。
「マイナンバーカード」を利用して、申告書に自動入力
確定申告書を作成する際には、生命保険料控除や住宅ローン控除など、適用を受ける控除について、それぞれの控除証明書を見て、必要な情報や数値を申告書に記入する作業が必要になります。件数が多いと結構な手間になりますが、マイナンバーカードがあれば、その記入作業を自動入力する機能である「マイナポータル連携」が利用できます。
「マイナポータル連携」を使い、国税庁ホームページの「確定申告書作成コーナー」で申告書を作成すれば、控除証明書等の必要書類のデータを一括取得し、申告書の該当項目へ自動入力・計算することができます。必要書類をデータで取得し提出するため、書類の保管・管理も不要です(e-Tax送信の場合)。マイナポータル連携の利用には事前設定が必要になりますが、これは初回1回のみ行えばよく、次からは設定不要です。
ただし、どの証明書でも自動入力できるわけではなく、自動入力可能な証明書等は、発行元がマイナポータル連携に対応している必要があります。マイナポータルに対応しているかどうかは、国税庁ホームページの「マイナポータル連携特設ページ」から確認できます。
マイナンバーカードとスマホでe-Tax(電子申告)
確定申告書の提出の際も、マイナンバーカードを保有していると、提出方法の選択肢が増えます。
e-Tax(電子申告)を行う場合、いままではマイナンバーカードを保有していてもICカードライタを保有していなければe-Tax(電子申告)の利用ができませんでした。しかし2021年分の確定申告からは、マイナンバーカードを保有し、マイナンバーカード対応のスマホを保有していれば、スマホをICカードリーダライタの代わりとして使って、e-Tax(電子申告)を行えるようになりました。
スマホのアプリ(マイナポータルアプリ)をインストールし、パソコン画面に表示される2次元バーコードを読み取って、スマホでマイナンバーカードを読み取ります。ICカードリードライタを購入する必要がないので、e-Tax(電子申告)に踏み切るハードルがちょっと低くなりますね。
まとめ
マイナンバーカードを保有していなくても確定申告に支障があるわけではないので、慌てる必要はありません。
しかし、申告書の作成や提出について、マイナンバーやスマホ・パソコンを活用した便利な機能が年々利用できるようになっていることも確かです。ご自分の確定申告の際、手間に感じる作業や時間のかかる作業を楽にできそうだと感じたら、マイナンバーカードを利用した申告書の作成・提出を検討されるのもよいでしょう。