意外とある「iDeCo」のデメリットとは? 不向きな人の3つの条件

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「老後資金づくりならiDeCo」という話を耳にする機会が多い昨今。しかし、iDeCoは本当に誰にでもおすすめの資産形成方法なのだろうか。
確かに、iDeCoはメリットが多い制度だが、万人に向いているわけではない。中には、iDeCoをやらないほうがいいといえる人もいる。ここでは、iDeCoの特性を踏まえて、向いている人・向いていない人の特徴について紹介しよう。

iDeCoの特徴とメリット

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、自分で資産運用をして老後に備える年金制度のこと。毎月定額を掛金として拠出し、投資信託や定期預金、保険など、金融機関ごとに定められた運用商品を選んで資産運用を行う。

iDeCoには、下記のような税制上のメリットがある。

・拠出金が全額所得控除の対象になるため、税金を減らせる
・運用益が全額非課税になる

そのため、「お得」「老後資金づくりに適している」といわれているのだ。

意外とあるiDeCoのデメリット

メリットが取り上げられることの多いiDeCoだが、デメリットも意外と多い。iDeCoを始めるかどうか考える際には、デメリットについても意識しておこう。

原則60歳まで引き出せない

iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、その年齢になるまではどんな事情でお金が必要になったとしても、使うことができない。
老後資金を確実に貯められるという点ではメリットといえる一方で、資金の流動性が低くなるというのはデメリットといえるだろう。

毎月手数料がかかる上に解約不可

iDeCoを利用するためには、毎月手数料がかかる(手数料額は利用する金融機関によって異なる)。さらに、解約もできないので、引き出し可能な時期が来るまで手数料を支払い続けなければならない。
途中で資金不足になった場合も、拠出を一時停止することはできるが手数料は引かれ続ける。

受け取るときに税金がかかる可能性がある

拠出金が全額所得控除の対象になるのがiDeCoのメリットだが、受け取るときには税金がかかる可能性がある。
一時金としてまとめて受け取る場合は退職所得控除、年金形式で受け取るなら公的年金等控除が利用できるものの、状況によってはまとまった税金が課せられることになるので覚えておこう。

iDeCoをやらないほうがいい人とは?

iDeCoのデメリットは、人によって影響の度合いが異なる。iDeCoを始めるかどうか検討する際には、自分にとってiDeCoのメリットとデメリット、どちらが大きいかを考えよう。
次の3つの条件のどれかにあてはまるのであれば、iDeCoを今すぐに始めるのはやめたほうがいいだろう。

いざというときに使える貯金がない

iDeCoは途中で解約したり、引き出したりすることができない。そのため、いざというときに使うための貯金がない状態で始めるのは、おすすめできない。
家電の故障や病気など、不測の事態が起こった際に手元の現金が足りなくなってしまうおそれがあるからだ。

iDeCoを始めるのは、生活費の3ヵ月分など、自分で安心できると思えるだけの貯金ができてからでも遅くはないだろう。
また、例えば「来年住宅の更新がある」「3年後に車を買い替えたい」などのように、数年以内にまとまった支出が予定されている場合も、使う予定の資金を用意してから始めたい。

収入が安定していない人

残業代やインセンティブで収入が大きく変動する人は、将来的に収入が少ない時期が続くと、iDeCoの掛金を支払えなくなるおそれがある。
また、近いうちに働き方を変える予定がある人も同様だ。収入が安定するまでは、解約や引き出しができないiDeCoは避けたほうがいいだろう。

税金をほとんど払っていない人

iDeCoの最も大きなメリットは、掛金が全額所得控除の対象になることだ。しかし、そもそも所得税や住民税をほとんど納めていない人は、このメリットを十分に活用することができない。
収入が低い人や、住宅ローン控除などを活用していて税金が少ない人は、所得控除のメリットを十分受けられるか検討する必要があるだろう。

なお、iDeCoのもうひとつのメリットに運用益の非課税があるが、これはNISAでも同様のメリットが得られる。NISAは解約も引き出しも自由で流動性が高いため、所得控除のメリットが低いのであれば、NISAを利用してもいいだろう。

iDeCoを始めたほうがいい人

iDeCoをやめたほうがいい人とは反対に、iDeCoのメリットが大きく、すぐに始めたほうがいい人もいる。次の項目にあてはまるのであれば、iDeCoの申込みを検討しよう。

安定的に高収入を得ている

日本の所得税は累進課税であるため、高収入の人ほど税率が高くなる。つまり、iDeCoの最大のメリットである所得控除で得られるメリットが大きいということだ。
安定的に高収入を得ている人であれば、資金不足に陥るリスクも少ないので、積極的にiDeCoを活用しよう。

退職金がないか、少ない人

退職金がない人や少ない人は、iDeCoを一時金として受け取った際の税金がかからなくなる可能性が高い。そのため、iDeCoのメリットを受けやすいといえるだろう。
ただし、年金形式で受け取るとこのメリットは得られなくなってしまう上に、受け取るたびに手数料がかかるので注意したい。

強制的に老後資金を作りたい人

少しお金が貯まると使ってしまう人など、強制的に老後資金づくりがしたい場合、「引き出せない」「解約できない」というiDeCoのデメリットがメリットに変わる。
確実に老後資金を作りたい人は、iDeCoを検討してみよう。

20~40代の人

iDeCoのように毎月お金を積み立てて投資していく積立投資には、時間を味方につけた運用ができるというメリットがある。現在、20~40代の人であれば、iDeCoの引き出しができる60歳までにまとまった時間があるため、メリットを得やすいだろう。
ただし、新社会人になりたてで貯金が少ない人は、ある程度貯めてから始めることをおすすめする。

自分に合っているかどうか、考えることが大切

iDeCoは、誰にでも多くのメリットがある制度とは言い難い。どのような制度なのかわからないまま始めてしまうと、お金が必要なときに引き出せず、利率の高いカードローンやキャッシングを利用する羽目にもなりかねない。
万一のときに困ることがないよう、制度を理解し、長期的な資金計画やライフプランを立てた上で検討しよう。

※この記事はREISM株式会社が運営するREISM Styleの記事を一部編集、転載しています。

(最終更新日:2022.02.18)
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