部屋や水回りなどをきれいにしていても、意外に見落としがちなのが浴室乾燥機。毎日使用するものなので、こまめなお手入れやカビ対策をしておく必要があります。どのくらいの頻度で、どのようなお手入れしたらいいのか、カビ対策の方法などを、賃貸物件の原状回復やハウスクリーニングを行う「アイニティアイ」の代表取締役・濱田信也(はまだ しんや)さんに伺いました。
浴室乾燥機の汚れはどの部分にたまりやすい?
現代の浴室乾燥機は24時間換気機能付きのものがほとんどです。さらに冷暖房機能付きのほか、洗面所やトイレの換気も連動している多機能なタイプもあります。そんな浴室乾燥機ですが、どんなところに汚れがたまりやすいのでしょうか。
ホコリがたまりやすい場所
濱田さんによると、まずはフィルターが汚れやすいそうです。
「カバーパネルをスライドしてフィルターを外すと、真っ黒になっていることがあると思います。さらにフィルターがホコリで一杯になると、浴室乾燥機の換気機能が低下してしまうのです」(濱田さん)
換気機能が低下しても空気は吸い込み続けるため、ホコリは行き場をなくしてしまうそうです。すると、フィルターだけでなく表面のパネルの部分など、本来あまり汚れないはずの箇所まで汚れが広がってしまうのだとか。
どんなホコリがついている?
浴室内に洗濯物を干す習慣がある場合、洗濯物の細かな繊維が空気中を舞いやすくなります。すると、浴室乾燥機のフィルターにもホコリがつきやすくなるとのこと。
「洗濯物を干さなくても、洗面所や脱衣所での着替えの際や、脱衣所に洗濯機を置いている場合は、使用のたびにホコリが発生します。空気の流れは目に見えませんが、24時間換気ですと常に空気は吸い込まれているので、思った以上に汚れていますよ」(濱田さん)
カビが付着しやすい場所
続いて、カビが付着しやすい場所はどうでしょうか。
「フィルターにカビが付着するのはもちろんですが、やはり汚れがたまって限界になってしまうと、パネルの裏などあらゆるところにカビが発生してしまいます」(濱田さん)
さらにこれを放置してしまうと、浴室内にカビが生える原因になるとのこと。「頻繁にお風呂掃除をしていても何故かカビが生える」という人も多いのではないでしょうか。その理由として、実は浴室乾燥機が汚れてうまく機能していなかった、ということが挙げられるそうです。浴室乾燥機に汚れやカビが付着してしまうと換気機能が低下し、さらに汚れやカビを発生させる…という悪循環に陥るというわけです。
洗面所やトイレの副吸い込み口もお手入れを
さらに濱田さんは、浴室内の乾燥機のお手入れだけでは不十分だと言います。
「多機能の浴室乾燥機はその多くが、主吸い込みと副吸い込みの『親子』になっています。浴室内についているものが主吸い込みで、洗面所やトイレなどについているものが副吸い込みです。洗面所やトイレの副吸い込みにはファンやモーターがなく、浴室についた乾燥機の主吸い込みがすべてを吸い込むようになっています。ですから洗面所やトイレの副吸い込みも定期的にお手入れしておかないと、全体の換気機能が低下する原因になります」(濱田さん)
日常生活で行うお手入れのポイント
浴室乾燥機の汚れはなるべくためずに、日ごろからお手入れすることが大切です。続いては、その頻度や方法について紹介します。
お手入れはどのくらいの頻度で行うべき?
日常的な浴室乾燥機のお手入れの頻度について、「理想は2週間に1度です」と濱田さん。そのくらいなら、気負わずにお手入れできそうです。
日常のお手入れ方法
では、日常のお手入れはどのようにすればよいのでしょうか。
「フィルターを外し、サーッと洗い流して、小さなブラシでホコリを払うだけ大丈夫です。使わなくなった歯ブラシなども使えますよ」(濱田さん)
さらに、入浴時の習慣にすればもっと簡単だと濱田さんは言います。
[毎日できる簡単お手入れ]
(1) フィルターを外し、そのままシャワーでホコリがついている面と逆面から流す。
(2) 浴槽の淵などに立てかけておく。翌日には乾いているので、入浴前に取り付けるだけ。
「お風呂から上がる前、そのままシャワーでサッとできるので簡単です。頻繁にお手入れしていればホコリもそれほどつきませんので、排水溝に流しても問題ありません。汚れはたまればたまるほど見て見ぬふりしたくなくなるので、入浴時の『ついで』にやってしまうのがおすすめです。私の場合は週に1度はやっています」(濱田さん)
フィルターを外した状態で24時間換気モードを使用する場合に「ホコリを吸ってしまうのでは?」と気になる方は、フィルターのホコリをシャワーで落とした後、タオルやキッチンペーパーで水分を拭き取り、取り付けるようにしましょう。
[浴室内のカビ対策も、浴室乾燥機のカビ防止に効果あり⁉]
浴室乾燥機のお手入れに加えて、入浴時の「ついで」にできるカビ対策を教えてもらいました。
「特に入浴すると、浴槽のお湯による蒸気が浴室内に広がっていると思います。これを残したままだとカビなどの原因にもなるので、できれば浴室を出る前にシャワーで浴室全体をサーッと流しておくのがおすすめです。こうすることでカビも生えにくく、汚れも残りにくいです。この時、お湯で流してしまうと蒸気が上にあがってしまうので、冷たい水で行うのがポイント。それだけでも全然違いますよ」(濱田さん)
なお、浴室の壁や床にはシャンプーや石けんの泡が飛び散っており、カビや雑菌の餌となってしまうため、冷水シャワーの前に、50度くらいのお湯のシャワーで軽く流しておくと、よりカビが生えにくくなるそうです。
それでも汚れがたまったら…半年に1度はプロにお任せ
浴室乾燥機は定期的なお手入れが大切…とわかっていても、うっかり放置してしまった場合はどうすればよいのでしょうか。
「普段きちんとお手入れをしていれば、壊れない限りはずっと清潔に使うことができます。しかし、フィルターにホコリがかなりたまってしまった状態や、フィルター以外の部分にも汚れやカビが付着してしまっている場合は、自力での分解洗浄は危険なので、プロに依頼することをおすすめします。一度プロに清掃してもらい、そこからは定期的なお手入れを習慣化していきましょう。こまめな清掃をこころがけてもらうのが、一番シンプルで一番大事です」(濱田さん)
もしどうしても定期的なお手入れが難しいという場合は、半年に1回程度、プロに清掃を依頼するのがよいそうです。
定期交換すべき部品はある?
浴室乾燥機はフィルターに汚れがたまりやすいとのことですが、定期的に交換した方がよいのでしょうか。
「習慣的にお手入れしていて機械自体が壊れなければ、基本的にフィルターの交換は必要なく10年でも20年でも使えます。フィルターを交換するほどの場合は、そもそも乾燥機自体が機能していない状態です。回っていてもカラカラ音がする、ホコリがたまりすぎてフィルターが抜けないなど…。ここまでくるとかなり費用もかかりますので、普段のお手入れが本当に大事です」(濱田さん)
まとめ
浴室乾燥機を正常に機能させるには、定期的なお手入れが大切です。汚れは放置すればするほど落ちにくくなりますが、入浴時の「ついで」に行うなど、習慣化すれば簡単。とはいえ長く放置してしまった場合は、専門業者に依頼するのもおすすめです。その後はぜひ、日々のお手入れで清潔をキープしましょう。
【取材協力】
株式会社アイニティアイ
代表取締役 濱田 信也さん
賃貸マンションの退去立会い代行・原状回復工事・空室クリーニング、一般向け在宅訪問クリーニングなどを行う会社を経営。