「吹き抜け」や「リビング階段」なぜ寒い⁉ 家具の置き方で暖房効率アップ

吹き抜けリビングやリビング階段を設けた住まいは、ゆったりとした大空間が魅力。しかし、暖房が効きにくいという悩みを持つ人も少なくありません。今回は家具の配置やアイテムを活用した暖房効率を上げる方法について、漆喰などを使った断熱リフォームを提案する「木本工業所」代表の木本己樹彦さんに伺いました。

吹き抜けや階段のあるリビングが寒くなりやすい理由

リビング階段
吹き抜けの上部やリビング階段をつたって上昇した温かい空気が、冷やされて冷たい空気となって下に降りてくる(画像素材:AdobeStock)

リビングなど家族が集まる部屋を広くゆったりとした空間にするために、吹き抜けやリビング階段を設けることがあります。実はこれが寒さの原因となっています。

「温かい空気は軽く、冷たい空気は重いという性質があります」と木本さん。そのため、吹き抜けやリビング階段があると温かい空気が上の階に流れてしまい、吹抜の窓などに触れることにより冷やされて、冷たい空気となって下の階に降りてくるそうです。

「このような現象をコールドドラフトといいます。これにより、吹き抜けやリビング階段がある広い空間は寒くなりやすいのです」(木本さん)

冷たい空気が体に直接当たらないように家具を配置

「特にリビング階段から降りてくる冷気は川のように流れてくるので、余計寒く感じられます。暖かく過ごすためには、上から降りてくる冷やされた空気が直接体に当たらないような家具の配置にするのがおすすめです」(木本さん)

吹き抜けの窓下に暖房器具を置く
吹き抜けの窓下に暖房器具を置くのがおすすめ(画像素材:AdobeStock)

さらに、吹抜けの窓下や階段の登り口付近は冷気が溜まりやすく非常に寒いため、ソファやテーブルを置くのは避けたほうが良いそう。

「冷気が溜まりやすい場所には、家具ではなく暖房器具を置くと冷気が直接暖められるので、暖房効率が良くなります」(木本さん)

暖房効率アップにおすすめのアイテム

家具の配置を気を付ける以外にも、暖房効率アップが期待できるアイテムがあるそうです。主なものを木本さんに紹介していただきました。

間仕切りカーテン、ロールスクリーン

リビング階段の上り口を間仕切りカーテンやロールスクリーンでふさぐと、冷たい空気の流れを止めることができます。

ロールスクリーン
ロールスクリーンの一例(画像素材:PIXTA)

保温シート、クッションシート

保温シートを窓ガラスに張り付けると空気層ができ、窓からの冷気が伝わりにくくなります。また、クッションシートを床に敷くと、床から足に伝わる冷えを抑制し、暖かく感じられます。

クッションシート
カーペットの下などにクッションシートを敷くと効果的(画像素材:AdobeStock)

隙間風ストッパー

暖かい部屋と屋外、あるいは暖房設備のない廊下とでは温度差が大きく、窓サッシや室内ドアの隙間から冷気が侵入しやすくなります。隙間風ストッパーで冷気を遮断することで、暖房効率を上げる効果が期待できます。

隙間風ストッパー
ドアの下部の隙間をふさいで隙間風を防ぐ隙間風ストッパー(画像素材:AdobeStock)

シーリングファン

シーリングファン
温かい空気と冷たい空気を撹拌(かくはん)してくれるシーリングファン(画像素材:AdobeStock)

暖められて上に行った空気と下に溜まっている冷たい空気を撹拌(かくはん)するので、暖房効率が良くなります。また、同じ原理で夏の冷房効率も良くなります。

冷気カットパネル

冷気カットパネルを掃き出し窓の前や、階段の登り口前に置くだけで冷気の流れや通り道が変わるため、直接体に冷気が当たるのを防ぐことができます。

DIY漆喰

漆喰は調湿機能を持つ優れた自然素材です。室内の湿度が下がると、同じ温度でも湿度の高い部屋よりも寒く感じられます。エアコンを使った暖房は空気を乾燥させますし、石油ファンヒーターを使った暖房は燃焼した灯油と同じ量の水蒸気が発生するため、湿度が高くなりがちです。漆喰の持つ調湿機能により湿度を一定に保たせることは快適な部屋温度を作るのに大いに役立ちます。

漆喰

漆喰
DIYで壁に塗ることもできる漆喰(木本工業所提供)

まとめ

吹き抜けのあるリビングやリビング階段は、開放的でデザイン性も高く、憧れる人が多い人気の間取り。「思っていたよりも寒い」と悩む人も、暖房効率があまり良くないと知って決めかねている人も、今回紹介した家具の配置やアイテムの活用により、過ごしやすい空間に作り変えてみてはいかがでしょうか。

【取材協力】
木本工業所代表
木本己樹彦さん
1965年神奈川県藤沢市出身。1983年(株)木本工業所入社、2005年同社代表に就任。その後、世界各地の石灰や珪藻土など漆喰の原産地を周り、研究を積み重ねて独自の漆喰素材「鎌倉漆喰」をリリース。2008年木本工業所代表に就任。2017年「鎌倉漆喰」の販路を開拓のため、米ロサンゼルスに現地法人「OW KIMOTO」を設立。
サンキホーム株式会社 https://www.sankihome.co.jp/

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