プレハブとは、工場である程度製造し現地での作業を減らした建築工法です。この工法で建てられた住宅をプレハブ住宅といいます。プレハブ住宅にお住まいの人のなかには、自宅を防音リフォームしたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
今回は、プレハブ住宅の防音リフォームや注意点、リフォームを必要としない防音対策について解説します。
防音リフォームとは
防音リフォームとは、室内外で発生する音をなるべく通さないようにするためのリフォームです。電車や踏切、車などの騒音を防いで室内を静かな環境にするための対策、あるいは室内の子どもの騒ぎ声や楽器演奏の音を屋外や隣室に響かせないための対策として行われます。
防音リフォームは、これらの音を吸音もしくは遮音して、室内外に漏れる音量を極力軽減する方法で行います。
一口に防音リフォームといっても、防音方法は多岐にわたり、簡易的にできる安価なものから大掛かりなものまでさまざまです。
プレハブ住宅を防音リフォームする方法
プレハブ工法とは、工場で部材を製造してから現地で製造する工法で、現場作業の工数を大幅に削減できる特徴があります。プレハブ住宅は通常の住宅とは建築方法が異なりますが、防音リフォームは可能です。プレハブ住宅を防音リフォームする方法と費用の目安について解説します。
二重窓にする
窓は音を通しやすい部分であるため、窓をリフォームすると防音効果も高まります。窓で防音をするためには、今ある窓の内側にもう一つの内窓を取り付ける二重窓があります。
プレハブ住宅でも、二重窓の設置は可能です。外窓と内窓との間に空気の層ができることで、中の空気層がクッションのような役目を果たします。室内と室外の間の空気が音を吸収するため、ダイレクトに伝わることを防ぎ、音の大きさを抑制可能です。
また、二重窓は気密性も高く、防音のほかに断熱性や保温性にも優れているという点でも設置するメリットがあります。ガラスを遮音性の高い複層ガラスに変えれば、さらに防音効果がアップします。
吸音材や遮音シートを壁に施す
外壁の防音対策も、室内外の音を通さないようにするときに効果的です。
壁の防音リフォームのなかの一つに、外壁や内壁の中に防音効果のある素材を充填する方法があります。壁の内部に吸音効果の高い素材のグラスウールなどを埋めることで、音を吸音して伝わりにくくする効果が期待できます。
ただし、低予算で対策したい場合は、そこまでの大掛かりな施工ができません。そういった場合は、壁の表面での防音対策を行いましょう。壁に遮音シートや吸音ボードを貼ることで、音を跳ね返したり吸収させたりできます。設置費用は、部屋の大きさや音源、防音レベルなどにより異なります。
床材を防音素材にする
床から伝わる音を防ぎたいときは、防音性の高い床材に張り替えるリフォームがあります。遮音性能が高い床材は、緩衝材による厚みが生じ、踏み心地が気になる人もいるようです。リフォーム前には実物のクッション性を確認しましょう。
ほかには、今の床の上に新しく床材を貼る方法があります。この場合は、今ある床よりも厚みができるため、ドアの開閉などに支障が出ないよう注意する必要があります。
室内に防音室を作る
楽器の練習などで、近所に気兼ねなく夜間の練習も行いたいなどの場合の防音対策として、部屋の中に防音室を設置する方法があります。住宅の窓や壁などの防音施工をすることなく、防音室の部材を運び込み、室内で組み立てます。室内に天井や壁、ドアの付いた独立した部屋を設置するイメージです。
電気を通せば、エアコンや照明、換気扇も取り付けられます。必要なくなれば解体処分も可能です。
広い部屋でグランドピアノやドラムを演奏したい、自宅を音楽教室にしたい、といった場合は、部屋を丸ごと防音室にする方法がおすすめです。音響や音場にこだわった音作りも可能です。
敷地内に防音ユニットハウス(プレハブの一種)を設置する
プレハブ住宅自体を防音リフォームすることが難しい場合、防音タイプのユニットハウス(プレハブの一種)を庭等に設置するという方法もあります。
夜しか楽器の練習時間が取れないような場合でも、就寝中の家族に気兼ねなく練習可能です。生活空間としっかり分けられるので、音楽教室としても適しています。
防音に特化したユニットハウスもあり、工場で組み立ててほぼ完成形にしてから設置するだけなので、工期もかからず簡単です。外のからの音も防ぐため、勉強や在宅勤務などにも集中して取り組めるでしょう。
ただ、敷地内にユニットハウスを設置できるだけの面積が必要であるため、こういった防音対策ができるケースは限られます。
個人でできるプレハブ住宅の防音対策
業者に依頼するほどではないが簡単な方法で防音したい、小さい子どもがある程度の年齡になるまで一時的に防音対策したい、近所の建築工事が終わるまで簡易的な防音対策をしたいなどの場合に、個人でできる簡単な防音対策を紹介します。
防音カーテンに替える
防音カーテンは一般的なカーテンとは異なり、繊維の密度を高くする、生地にコーティングして何層かに重ねるなど、生地に遮音効果を施しているとう特徴があります。特殊な素材や織り方で作られているため、音を遮り吸収できます。
防音カーテンを設置するときは、なるべく隙間を開けないようにしましょう。完璧な遮音というわけにはいきませんが、乳幼児やペットが騒ぐ声や楽器の音など、室内から漏れる音の減音効果があります。遮音性能はカーテンの性質によっても異なるため、防音したい音が出す周波数などに効果のある製品を選ぶとよいでしょう。
窓全面を覆えるのはもちろん、床まで届く長さのほうが、防音効果は高くなります。
床にカーペットやマットを敷く
床の振動や足音を防ぐ目的なら、防音タイプのカーペットやマットなどを床に敷く方法もおすすめです。階下に響く足音や椅子を引きずる音などが気になる場合は、防音加工が施されたタイプを選ぶとよいでしょう。
ピアノの下に敷けば、鍵盤を叩く打鍵音やペダルを踏み込む音などもある程度軽減できます。性能によって価格帯が大きく異なるため、表示の遮音等級を確認してください。
プレハブ住宅を防音リフォームするときの注意点
プレハブ住宅を防音リフォームするときは、どのような点に気をつけたらよいのでしょうか。防音リフォームの注意点を解説します。
想像した防音効果が出ない場合がある
プレハブ住宅に限ったことではありませんが、防音リフォームをしても、期待以上の効果が出ない可能性があります。楽器を問題なく演奏できるほどの防音効果がほしいのであれば、防音室や防音用のユニットハウスを設置することをおすすめします。
プレハブ住宅は通常の住宅よりも防音性が劣るという見方がありますが、一般住宅でも気密性の低い住宅もあるため、一概にはいいきれません。ハウスメーカーによっては、気密性が高く、防音性に優れたプレハブ住宅もあるようです。
建築を依頼した業者でなければリフォームできない可能性がある
プレハブ住宅はハウスメーカーによって作り方が違います。構造に関わるようなリフォームをしたくても、通常のリフォーム業者では受け付けてもらえない可能性があります。ハウスメーカー系列の施工業者でなければリフォーム対応できない場合があること、また、リフォームを行うにも制限があることに注意が必要です。
まとめ
プレハブ住宅でも防音リフォームは可能です。ただ、想像よりも防音効果が出ない、建築を依頼した業者でしかリフォームできない、といったこともあります。防音性能や工期、料金などについて、事前に調査しましょう。
楽器練習や集中できる部屋がほしいなど防音性能を重視するなら、防音室の設置を検討してみてはいかがでしょうか。防音室ならプレハブ住宅・一般住宅にかかわらず、製品仕様どおりの優れた防音性能が期待できます。
(最終更新日:2022.03.07)