畳のサイズには地域差がある! 畳の種類や特徴も解説します

近年は和室のない家が増えてきました。しかしながら、広さを表す単位として畳が用いられることからもわかるように、畳はわたしたちの生活とは切り離せない存在です。

ところで、畳のサイズは地域によって異なることをご存じでしょうか。また、昔と違って使われる素材の種類も増えています。今回は、畳のサイズや種類などをまとめて紹介します。リフォームなどを検討する際の参考にしてください。

畳のサイズは地域によって異なる

なぜ畳のサイズに地域差があるのか、その理由は家の建て方にあるといわれています。身分の高い人やお金持ちの家でしか使われることのなかった畳が、庶民の家にも使われるようになったのは江戸時代のことでした。

それまでは畳を基準に柱を設置する畳割(たたみわり)が一般的でしたが、柱と柱の距離に畳の大きさを合わせる柱割(はしらわり)という新しい設計方法が広まります。これにより、柱の太さの分、畳のサイズに差が生じ、それが現在に伝わっているのだそうです。

次に示すのは、現在使用されている主な畳のサイズです。

現在使用されている主な畳のサイズ

なお、不動産広告の規約では、畳1枚あたりの広さは1.62平方メートル以上という基準が定められています。

参考:不動産の表示に関する公正競争規約施行規則|不動産公正取引協議会連合会

畳の種類

サイズだけでなくデザインや素材の面でも、畳の種類はじつに豊富です。ここでは、さまざまなタイプの畳の特徴を紹介します。

縁付き畳

畳縁(たたみべり)がついた最も一般的な畳のことをいいます。畳の長手方向に補強の目的で貼る布地を畳縁といい、かつては色や模様によって身分・格式を表していました。家紋をあしらった畳縁もあることから、「畳の縁を踏んではいけない」という和室の作法の起源ともいわれています。

現在の畳縁は色・デザインともバラエティ豊かで、インテリアに合わせて自由に選ぶ楽しみ方もできます。

縁なし畳(琉球畳)

畳縁がなくインテリアに合わせやすいことや、カラーバリエーションが豊富なことで、近年人気を集めている畳です。ただし、縁がない分、傷みやすいことがデメリットといえます。加工が難しく、普通の畳と比べて価格は高めです。

よく畳縁がない正方形の畳を指して「琉球畳」と呼ぶことがありますが、厳密には違います。琉球畳の特徴は、普通のイグサよりも丈夫な「七島イ(しちとうい)」という植物が使用されていることです。七島イは現在、大分県の一部でしか栽培されていません。その希少さゆえに、琉球畳の価格は特に高額となっています。

床の間畳

近年は床の間のある家が少ないので、見たことがない人もいるかもしれません。掛け軸や生け花などを飾る床の間に敷く専用の畳を、床の間畳といいます。床の間は人が歩くことはないため、強度よりも美しさを重視して作られる点が特徴的です。

畳表には渋茶色や飴色に仕上げた「龍鬢表(りゅうびんおもて)」、畳縁には格式の高い紋縁(もんべり)が使われます。

置き畳(フローリング用畳)

畳のない家も多いなか、畳のほどよいクッション性や心地よい肌触り、畳独特の香りなどが見直されています。しかしながら、洋室から和室へのリフォームは大掛かりな工事になり、費用もかかります。そんなときに手軽に利用できるのが置き畳です。

フローリングに敷くだけで利用できるため、洋室から和室への簡単リフォームや、リビングの一部に和室コーナーを作るなど、お好みでさまざまな使い方が楽しめます。縁なし・縁付き・正方形・長方形など種類やサイズが選べ、色柄も豊富です。インテリアになじみやすく、使い勝手のよい畳といえるでしょう。

和紙畳

畳表に天然のいぐさではなく、和紙が使われている畳です。当然ながら、畳の魅力の一つであるいぐさの香りはありません。しかしながら、いぐさに比べて耐久性に優れているほか、吸湿・放湿性が高く、ダニやカビが発生を抑制可能です。

和紙畳の表には、天然の和紙に顔料を練り込み、樹脂コーティングした素材が使用されています。そのため、カラーバリエーションはじつに豊富で、白や黄色、ピンクなど、従来の畳にはなかった色を楽しめます。

樹脂コーティングされているため、水分や汚れが染みこみにくく、普段のお手入れにも手間がかかりません。色あせが少なく新品時の美しさを長く保てるという点で、コストパフォーマンスにも優れています。

樹脂畳

樹脂畳の表の材料は、ポリプロピレンなどの樹脂素材です。和紙畳と同じく、カラーバリエーションが豊富なことや、高い耐久性、防ダニ・防カビ、色持ちの良さなどがメリットにあげられます。

なお、和紙畳や樹脂畳を総称して「カラー畳」といいます。和室にも洋室にもなじむカラー畳は、インテリアコーディネートの幅を広げる新しい床材といえるでしょう。

畳床の種類

畳床(たたみどこ)は畳の芯になる部分です。畳のクッション性や断熱性などは、畳床の材料によって異なります。ここでは、よく使用されている畳床の種類と特徴を紹介します。

稲わら

天然の稲わらを使用した昔ながらの畳床です。わらを何層にも重ねて圧縮して作るため、耐久性・調湿性・断熱性などに優れています。素材となるわらの品質や使用量などによって次のように格付けされ、用途もさまざまです。

稲わら格付け

畳をより長持ちさせるには、1年に1~2度、畳を上げて風を通す必要があります。しかしながら、畳床にわらを使用した畳は30kg前後の重さがあり、畳を上げるのは簡単ではありません。そのため、近年は稲わらではなく、新建材を用いた畳が使われることが多いようです。

建材

建材を使用した畳床には、主に次の2種類があります。

【オール建材床】
オール建材床(オールボード)とは、畳ボードを数層重ねた畳床で、全体的に硬く引き締まった感触が特徴です。畳ボードとは、廃木材などを線維化して作られた畳専用の板のことをいいます。

【化学床(建材床)】
畳ボードで発砲樹脂系素材のポリスチレンフォームを挟んだ畳床です。断熱性・衝撃性・遮音性に優れ、軽くて安価なことから流通している畳の約7割に使用されています。

わらサンド

発砲樹脂系素材のポリスチレンフォームをわらで挟み、断熱効果をさらに高めた畳床で、「スタイロ床」とも呼ばれています。わら床に似た感触を保ちつつ、わら床よりも軽量で湿気に強いのが特徴です。

まとめ

畳のサイズは全国一律ではなく、地域によって異なります。大きさの違いは江戸時代に広まった設計の違いからくるもので、そのまま現在に引き継がれています。

一方で、畳の素材や色はじつに豊富になりました。いぐさやわらを使用した日本古来の畳ではなく、新素材を利用した軽くて扱いやすい畳も登場しています。伝統的な畳と現代的な畳、それぞれに長所と短所があります。いろいろと見比べて、ライフスタイルや好みに合うものを探してみてください。

(最終更新日:2022.02.16)
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