ユニットハウスは工期が短く簡単に設置できる建物として、さまざまな用途で需要があります。家の離れや子ども部屋としてなど、ユニットハウスを上手に利用したい人もいるのではないでしょうか。今回は、ユニットハウスについて詳しく解説します。母屋の大掛かりな増改築をせずに、家を広げたいと考えている人はぜひ参考にしてください。
ユニットハウスとは
ユニットハウスとは、プレハブ工法の一種です。プレハブ工法とは、工場である程度製造を行い、現地での作業を極力減らした建築方法のことをいいます。プレハブ工法にもさまざまな種類がありますが、ユニットハウスは工場で完成に近い箱型(ユニット)の形まで組み上げてから、現地に運んで設置します。
工場から現地で運ぶときはトラックを使用します。そのため、ユニットハウスはトラックで運べる範囲内の簡易的で小さめの箱状の建物となります。
ただし、複数のユニットを連結すれば面積を広くすることも可能です。
ユニットハウスの特徴
ユニットハウスという言葉を聞いても、実際に見たことがないと少々イメージしづらいかもしれません。人によっては貸倉庫などのコンテナと混同することもあるようです。ここでは、ユニットハウスの特徴や用途について解説します。
工期がかなり短い
ユニットハウスは工場でほとんど完成まで製造するため、現地では設置だけで済みます。電気設備や給排水設備の内装まで工場で行ってしまうため、現地での作業は最短1日です。そのため、災害時など早く住宅を用意しなければならない場面でも活躍しています。
ある程度の広さのあるものは、ユニットを並べて連結させる作業がありますが、それでも普通の工法よりも工期はかなり短いでしょう。
災害などの緊急事態のときに役立つ
ユニットハウスはラーメン構造という耐震性に優れた構造で、プレハブ工法のなかでも地震に強いという特徴があります。さらに、工期が短くすぐに設置できるため、災害時の仮設住宅として適切だといわれています。
実際に、被災地の仮住まいとして数々の自治体に採用されてきました。ユニットハウスは土地がありトラックが通行可能なら、急な災害時にも短時間で大量の仮設住宅を設置できます。体育館で大勢が同じ場所で過ごす避難所とは違い、家族ごとのパーソナルスペースが確保できるでしょう。
離れや倉庫としても利用できる
ユニットハウスを子ども部屋や倉庫、部屋の拡充として自宅に設置する人もいます。生活に必要な設備も完備できるため、独立した離れとすることもできます。
また、ユニットハウスは物を置くためだけに利用する倉庫としても利用可能です。靴を脱いで利用すれば、ユニットハウス内を綺麗に保てますし、災害時の非常食を置く場所としても活用できるでしょう。
ユニットハウスとプレハブの違いとは
ユニットハウスはプレハブのなかの一つです。つまり、下図のような関係性です。
プレハブ工法とは工場であらかじめ製造しておき、現地での作業を減らすものです。厳密にいえばユニットハウスもプレハブですが、現地で組み立てや建設作業が必要なものをプレハブ、設置するだけでよいものをユニットハウスと使い分けています。また、ユニットハウスはプレハブの進化系ともいわれています。
ここでは、上記のようにプレハブとユニットハウスを使い分け、それぞれどのような違いがあるのか解説します。
工法や工期
一般的なプレハブは、工場で生産した部材を現地に運び、現地で組み立てを行います。そのため、組み立てには2週間程度かかり、雨天日は作業できず工期が延びる可能性があります。
一方、ユニットハウスは屋根も含めて箱型に組み立てられ、雨天でも設置可能です。工期もプレハブよりも短く、早く利用したい人におすすめです。
設置できる場所
ユニットハウスは、でき上がった箱型のユニットを大きめの車両で運搬して、設置するときはクレーンによる吊り作業が必要です。道幅が狭く車両が通行できない場合や、住宅密集地で電線がクレーン作業に支障をきたす場合など、土地の環境によっては設置できないことがあります。
しかし、プレハブは部材を運んで現地で組み立てるため、部材さえ運べれば近隣の環境に左右されることなく設置可能です。
大きさ
道路交通法における一般道路の車両の高さには制限があるため、トラックに積み込めるユニットハウスは2m70cmが限度でしょう。ただし、複数のユニットハウスを縦や横に連結して大規模空間を作ることは可能です。
プレハブは現地で組み立てるため、建物自体の大きさに制限はありません。プレハブ工法を利用して、通常の住宅も建築できます。
強度や使用後の処理方法
ユニットハウスは工場で構造部分まで接合して完成させる性質上、プレハブ工法のなかで比較的強度が高いものです。ただ、組み立てではなく接合であるため、基本的に解体処理はせず、そのままクレーン車で運び出します。状態がよければ中古で販売もできます。
プレハブは部品を接合するのではなく組み立てるため、ユニットハウスに比べると強度は落ちるといわれています。しかし、使用する材料によってはユニットハウスより強度が高くなることもあります。使用後は再利用できず、基本的には廃棄処分されます。
ユニットハウスのメリット
ユニットハウスは現地での作業は設置のみで工期が短く、早く使い始めたい人におすすめの建築物です。用途も幅広く、倉庫や離れ、住宅などさまざまなものに活用できます。連結すれば、2階建てのユニットハウスにすることも可能です。1つのユニットの大きさの制限はあるものの、利用できる場面は多くあるでしょう。
また、クレーン車があればそのまま移動でき、別の場所で使うときや中古で販売することも可能です。大切に使用すれば、長期間活用できます。
ユニットハウスのデメリットや注意点
ユニットハウスを利用するときにもっとも注意すべき点は設置場所の条件でしょう。ユニットハウスはクレーン車で運び込むため、電柱や庭木などが邪魔をするような場所ではユニットハウスは設置できません。設置場所に接する道幅が狭く、トラックやクレーン車が進入できないときも同様です。
また、ユニットハウスは長く使えると説明しましたが、それには手入れは必須でしょう。定期的に錆止めの塗装を行い、場合によっては外壁の塗り直し、床の張替えも行わなければなりません。
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まとめ
ユニットハウスは、簡単に設置できる建物です。設置できる場所は限られますが、頑丈ですぐに使用できるので、工期も短く低コストで済むでしょう。解体せずそのまま移設できるため、必要なくなれば中古販売も可能です。
災害時に備えて、離れとして、子ども部屋として、さまざまな用途のあるユニットハウスの設置を考えてみてはいかがでしょうか。
(最終更新日:2024.04.19)