2020年に続き、2021年も新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、例年とは違う1年となったかと思います。2022年はコロナ前の生活が取り戻せるようになればと願うばかりですが、新しい年を迎えるにあたって、目標を掲げる方も多いと思います。筆者の周りでは来年こそは投資を始めてみたいという人が多くいます。今回はそのような人たちのために改めて基礎を見直していきたいと思います。
NISAって何?
NISAとは日本語では「少額投資非課税制度」といいます。読んで字のごとく、投資をしたことで得られる利益に対して、NISAを活用して投資をしていれば非課税になるという制度です。一般的に投資によって得られる利益には2種類あります。1つはインカムゲインと呼ばれる株式などの金融商品から受け取る配当金。もう1つはキャピタルゲインと呼ばれる株式の売買益です。これらの利益は「金融所得」という扱いになり、一律20%(所得税15%、住民税5%)が課税されます。
NISAには「一般NISA」、「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」と3つの種類があり、下図のようにNISAを活用する個人投資家は少しずつ増えてきています。
これから投資を始めようという方には「つみたてNISA」の活用をお勧めします。年間の投資上限額は40万円と、毎月3万円程度までの投資額しか対応しませんが、投資未経験者にはそれぐらいの金額から始めるのでも十分でしょう。つみたてNISAは投資できる商品も限られていますが、金融庁が「手数料が低水準」、「頻繁に分配金が支払われない」など、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)を選んでおり、その中から選ぶことになるので、むしろメリットと捉えてもよいでしょう。
みんなはNISAを活用して何に投資している?
それではつみたてNISAで投資をするとした場合、そもそも何に投資をすればいいのでしょうか? 投資を始めようとするとみんなが何に投資しているかが気になると思いますので、多くの個人投資家が利用しているオンライン証券の大手2社で人気の投資信託を見てみましょう。
いきなり投資信託の名前を見てもよく分からないかもしれませんが、どうやら米国の株式や世界中の株式に投資する投資信託がはやっていることは分かりますね。日本の株式に投資する投資信託は入っていないようです。
30年近く全く成長をしていない日本経済よりも、成長を続ける米国経済や、世界経済に投資をした方が長期的に資産が増えそうだと考える個人投資家が多いのでしょう。ちなみに、つみたてNISAで投資できる商品は限られていますが、このランキングに載っている米国株式や世界株式に投資する投資信託もあれば、もちろん日本株式に投資する投資信託もありますし、株式だけでなく債券に投資している投資信託もありますので、まずは商品一覧を見てみるのもいいでしょう。
基本を忘れずに一歩目を踏み出そう
投資を始めるにあたって、つみたてNISAという制度を活用して始めるのは非常によいと思いますが、あわせて投資の基本もしっかりとおさえておきましょう。決して難しく考える必要はなく、3つのポイントだけを覚えてください。
まず1つ目は長期の視点を持ちましょう。ついつい身銭を切って投資してしまうと、毎日株価の動きが気になってしまうものですが、20年や30年という長い期間を念頭に投資をしましょう。
2つ目は分散です。1つの会社の株に全額投資してしまうと、その会社が倒産してしまったら自分の投資金額も全て失うことになってしまいます。1つの会社と一蓮托生(いちれんたくしょう)するのではなく、いくつもの会社の株に投資をすることで、リスクを分散しよう。
3つ目は一括投資をするのではなく、投資タイミングを定期的に設定する積立投資をしましょう。投資を始めると、一番安いところで投資して、一番高いところで売り抜けようという欲が生じますが、そんな都合のいいことはできません。そして、誰も将来を正確に予測できませんから、投資タイミングを見計らうのではなく、毎月決まった日に定額を買い付けていくようにしましょう。
2022年に気を付けておきたいこと
2022年はつみたてNISAを活用して、基本を守りながら投資をしてみようと思った人がいればうれしい限りですが、投資をしたからといって必ずもうかるわけではありません。ITバブルの崩壊や世界同時多発テロ、リーマンショック、東日本大震災、新型コロナウイルスの感染拡大など、何が起こるか分からず、その度に株式市場が大きく下落することもあります。
2022年もさまざまなネガティブイベントが起こる可能性はあります。たとえば、中国が台湾へ、ロシアがウクライナへ軍事侵攻するかもしれませんし、日本国内では首都直下型地震が起きるかもしれません。または世界的なインフレが収まらず、日本では不況下でのインフレ、いわゆるスタグフレーションが起きるかもしれません。
このように、いざ投資を始めてみても、損を抱える瞬間も起こりえますが、そんな時こそ基本に立ち返りましょう。長期の視点で見れば、一時的に急落しても株式市場は再び値を戻していたり、投資対象を十分に分散していれば、仮に投資先の1社が倒産してしまってもダメージは限定的だったりします。
難しいこともあるかもしれませんが、まずは本記事をきっかけにして投資にチャレンジする1年を迎えてくださればうれしい限りです。