リモートワークの普及、それに伴う在宅時間の増加により、単身者でも部屋数や広さを重視した物件選びを考え始める人が増えています。そういった背景の中、1人暮らしに適した間取りや、それぞれの間取りのメリット・デメリットについて知りたいという声が聞かれるようになりました。また、実際に1人暮らしをしている人の住まいはどのような間取りが多いのかを知りたいという方も多いようです。さらには、単身者人口の増加に伴い、1人暮らしでも家を購入する人が増えているといいますが、どのくらいの割合で存在するのかなどといったことにも関心が寄せられています。
今回は、そのような1人暮らしの住まいにおける素朴な疑問にお答えしましょう。
1人暮らしの人に多い間取りとは?
「全国宅地建物取引業協会連合会」が発表している2017年の「一人暮らしに関する意識調査」によると、現在の住まいのタイプで最も多いのは「3LDK以上」(22.2%)で、次いで多いのが「1K」(17.5%)、3位は「2DK」(10.9%)、僅差で「ワンルーム」(10.7%)と続きます。
2015年の同調査と比べると、「ワンルーム」を選ぶ比率が減少し、「1DK」や「1LDK」などといったキッチン独立タイプが上昇傾向にあります。
さらに、「1K」と「ワンルーム」を性別で比較すると、男性に比べ女性の方がキッチン独立タイプである「1K」を好む傾向が強いことがわかります。また、年代別にみると、年代が上がるにつれ、広い間取りに住む割合が上昇しています。
ちなみに住宅の形態別にみると、持ち家では「3LDK以上」が63.9%を占める一方で、賃貸では「1DK」以下が50.7%と全体の約半数を占めていることがわかります。
1人暮らしの平均的な家賃
上と同じ調査結果によると、家賃の1位は4万円台(24.7%)、2位は5万円台(23.2%)、そして3位は3万円台(20.8%)で、約8割が5万円台以下の家賃で暮らしていることがわかります。2015年の同調査と比べると、家賃の高い層が若干増加傾向にある点も注目すべきといえます。男女別でみると、「3万円台」は男性の方が多く21.4%、女性が20.3%です。一方、「4万円台」は男性23.2%、女性26.2%、「5万円台」は男性22.7%、女性23.8%と女性が若干多く、男性に比べると女性の家賃はやや高価格に位置していることがわかります。
さらに年代別で見ると、年齢が上がるにつれ家賃も高価格帯に移行する傾向があるものの、40代以上で再度低価格帯に増える傾向が見られます。
1人暮らしの持ち家比率
では、1人暮らしの持ち家比率はどのくらいなのでしょうか。国土交通省が発表している「世帯類型別の住宅の状況」によると、単独世帯における持ち家の比率は34%で、約3人に1人が住宅を購入していることがわかります。年齢が高くなるにつれて、持ち家を所有している割合も高くなる傾向がありますが、30代や40代では戸建てよりもマンションの比率が高くなっている点は注目すべき点といえます。
1人暮らしにおすすめの間取りとは?
賃貸物件で1人暮らしをする人が選ぶ間取りとして、「1DK」以下が全体の約半数を占めていることは上で述べたとおりです。ここからは、「1R」、「1K」、そして「1DK」の特徴やおすすめのポイント、さらに実際に住むにあたってのメリット・デメリットについて解説します。
1R(ワンルーム)
1Rとは、一つの部屋の中にキッチンやリビング、そしてバスルームが含まれている間取りのことを言います。バスルームを除いて仕切りなどはなく、すべてが同じ空間にある点が特徴です。
1Rのメリットは、「1K」や「1DK」に比べると家賃が比較的安く設定されている点です。また、部屋の中に仕切りがないことから、比較的自由に家具のレイアウトを決めることができる点もメリットといえます。
デメリットとしては、玄関の位置から部屋の中が丸見えになる点や、キッチンとの仕切りがないことから、料理をした際のにおいが部屋全体に広がり、洋服などににおいが付いてしまう点、さらには洗濯機を室内に置けない物件が多いことなどが挙げられます。
1K
1Rと異なり、1Kの場合はキッチンと居室の間に仕切りがあります。そのため、キッチンのにおいが居室に移らないというメリットがあります。家賃は1Rと比べると高めに設定されているケースが多いですが、居室をキッチンから独立させて利用できることから、生活感を目立たなくさせることができます。
ただ、1Rと比べると、仕切りがある分、キッチンのスペースが狭く感じられる点や、居室の空調がキッチンに行き渡らないという点はデメリットといえるかもしれません。1Rと1Kはキッチンと居室の間に仕切りがあるかないかの違いですが、同じ広さでも生活スタイルは大きく変わりますので、選ぶ際には自分の生活スタイルに合うかどうかを考えることが大切です。
1DK
1DKとは、居室とダイニングキッチンで構成された間取りのことです。1Rや1Kと比べ、キッチンスペースが広く、作業スペースが確保しやすい点がメリットです。また、DK(ダイニングキッチン)の広さについては、不動産公正取引協議会連合会の規則で、居室が1部屋の場合は4.5畳、居室が2部屋以上の場合は6畳以上が目安とされていることも覚えておきましょう。
1Rや1Kと比べると家賃が高めに設定されていることや、築古の物件が多い点がデメリットですが、逆にその分、木造の物件であれば家賃の比較的安い物件を探すことも可能です。また、荷物が少ない場合、2人で生活することもできる点は、隠れたメリットといえるでしょう。
まとめ
賃貸物件で1人暮らしをしている人のうち、半数以上は「1R」、「1K」、もしくは「1DK」の間取りを選んでいます。一方、持ち家となると6割以上の人に選ばれているのは「3LDK以上」の間取りです。部屋の間取りは1Rから3LDK以上のものまでさまざまですが、それぞれの間取りにメリットそしてデメリットがあります。また同じ間取りでも部屋の配置の違いで、使い勝手が大きく変わります。自分の生活スタイルに合った間取りを探し、快適に生活できるような工夫を行っていきましょう。
(最終更新日:2022.01.21)