2022年4月から順次、全国の高等学校で新学習指導要領にもとづくカリキュラムがスタートします。家庭科の授業では「資産形成」の視点に触れるよう盛り込まれましたが、子どもの金融教育について、親はどのように考えているのでしょうか。
将来設計を立てている人は7割以上。8割以上が資産形成に関心
GOEN株式会社が、世帯年収500万円以上で4歳~10歳の子どもを持つ共働きの親を対象に、「将来設計と教育」に関する調査を実施。将来設計を立てているか聞いたところ、72.1%の人が「将来設計を立てている」と回答しました。また、資産形成に関する関心は、81.3%の人が「ある」と回答。コロナ禍に見舞われ、先行きが不透明で不安を抱えているなか、将来設計や資産形成に関心が高い様子が伺えます。
4人に1人が、資産形成に取り組みたいものの何をすべきか分からず
8割以上の人が関心を持っている資産形成ですが、何か実際に取り組んでいるのか質問をしたところ、55%の人が「取り組んでいる」と回答しました。その一方、25.8%の人が「取り組みたいと思っているが、何をしたらいいか分からない」と回答しており、資産形成に取り組みたいものの、その知識を持ち合わせていない現状が明らかになりました。
資産形成に取り組んでいる人に、具体的な内容を自由回答で求めると
・学資保険(30代/男性/岡山県)
・iDeCoやNISA(30代/男性/埼玉県)
・ジュニアニーサ(30代/男性/三重県)
・住宅投資など(30代/女性/東京都)
・FX、投資信託(40代/男性/兵庫県)
・貯蓄(40代/男性/東京都)
など、ライフスタイルにより様々な資産形成方法を選択していることが分かりました。学資保険や貯蓄から、運用して得られた利益が非課税になり、ローリスクと言われるiDeCo・NISA、比較的安定した利益が見込める住宅投資、取引方法によってはハイリスクハイリターンなFXや投資信託まで、様々な資産形成に取り組んでいます。
8割以上の人が、将来設計に悩みや不安あり
将来設計に関しての悩みや不安については、「少し不安がある」人が49.5%、次いで「とても不安がある」人が31.2%と、合わせて8割以上の人が、何らかの不安を抱えています。
具体的な悩みや不安について自由回答で求めると
・いつまで働けるか不安(20代/女性/神奈川県)
・貯金して貯まってもすぐにまとまったお金が出て行く(30代/女性/青森県)
・生活できるだけの年金がもらえるかどうか(40代/男性/岡山県)
・教育費と老後の資金(40代/男性/福岡県)
・投資信託で損失を出していること(40代/男性/山形県)
・子どもを希望する大学に行かせられるか(40代/女性/千葉県)
といった、子どもの教育費と自身の老後資金に関する悩みや不安が多数寄せられました。また、投資信託の運用に失敗し損失を出してしまっているなど、適切な資産形成の知識がないことへの不安を感じている人も見受けられました。
7割以上の人が、子どもの間に金銭教育を希望
子どもの頃に金銭教育を受けたかったと思うかと質問をしたところ、「ややそう思う」が43.2%、「とてもそう思う」が30.8%と、7割以上の人が子どもの頃に金銭について学び、知識を身に付けたかったと考えていることがわかりました。
8割以上の親が「子供に金銭教育を受けさせたい」
自分の子どもに金銭教育を受けさせたいと思うか聞いたところ、「ややそう思う」が44%、「とてもそう思う」が38.1%と、こちらも8割以上の親が子どもに金銭教育を受けさせたいと思っていることがわかりました。
子を持つ親になった今、金融知識の必要性を切実に感じ、自分の子どもには「失敗して欲しくない」「賢く運用して欲しい」願う親心が窺えます。
子どもに金銭教育を受けさせたい理由について自由回答で求めると
・ライフプランをしっかり設計してほしい(30代/女性/福岡県)
・苦労させたくないから(30代/男性/岩手県)
・色々なことに興味を持たせたいので(40代/男性/東京都)
・若いうちから金銭教育を受けておけば、若くして資産を形成できる確率が高くなるから(40代/男性/埼玉県)
・生きていく上でとても大切な金銭感覚を小さい時から身に付けて欲しいから(40代/男性/福岡県)
・若い頃から資産形成などお金を増やす力をつけてもらいたいから(40代/男性/神奈川県)
など、学校の授業を通じて学ぶ勉強や道徳観に加え、子どもの頃から金銭感覚や金融知識を身に付け、他力本願ではなく自分の力でお金を増やす力を磨いて欲しいという思いがうかがえました。
子どもが学ぶべきは、お金の大切さや使い方
子どもに金銭教育を受けさせる場合、どんなことについて学んでほしいか複数回答で聞いたところ、「お金の大切さ」が最多で70.9%、次いで「お金を稼ぐことの大変さ」が63.7%、「お金の使い方(計画性・堅実性など)」が61.2%と続きました。
お金の大切さや稼ぐことの大変さ、計画的な使い方を学ぶことで、お金に関する基本的な概念を総合的に学び、お金に対する価値観や人生観を磨いて欲しいという親心がうかがえます。
まとめ
今回の調査結果により、資産形成に高い関心がありつつも知識が足りないと感じている人が多く、将来設計に不安を抱えている現状が明らかになりました。高等学校で金融教育が始まることが、そうした状況から打破する一歩になるのかもしれません。これを機に、それぞれの家庭でも、子どもとともにお金のことを学んでみてはいかがでしょうか。
【調査概要】
「『将来設計と教育』に関する調査」
調査対象:世帯年収500万円以上で4歳~10歳のお子さんを持つ共働きの親(男女)1,008名
調査方法: インターネット調査
実施期間:2021年10月5日
実施機関: GOEN株式会社