【フラット35】2021年12月の金利はどうなる? 米利上げはまだ先?

住宅購入の判断に大いに関係する住宅ローン。不動産や金融について多くの知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんより、2021年12月の住宅ローン金利について世界情勢や国内金融市場にインパクトを与えそうな事柄を踏まえ、解説いただきます。

11月は前月から0.03ポイントの上昇

2021年9月までは下がる傾向にあった【フラット35】ですが、10月は岸田政権の発足、11月は米国の長期金利上昇が日本に波及して国内長期金利が上昇し、【フラット35】の金利が大きく上昇しています。

8月から11月までの【フラット35】金利推移
【フラット35】金利推移(機構団信加入の場合)

しかし、直近では11月3日を境として米長期金利が下がり始め、国内長期金利も下がってきています。こうした状況下で2021年12月の【フラット35】金利はどうなるのか?その動向を予想します。

岸田政権下の株価下落と米金利上昇の波及

2021年8月19日から2021年11月9日までの日経平均株価と長期金利の動向をグラフにしました。

日経平均株価と長期金利のグラフ
日経平均と長期金利の推移:2021年8月19日~11月9日

長期金利データ参考元:インベスティングドットコム 日本版

青い折れ線グラフは日経平均株価、オレンジの折れ線グラフは日本の長期金利を表しています。9月3日に菅首相が辞任の意向を表明すると、菅政権の後に誕生する新政権への期待から日経平均株価は急伸し、その後、次期総裁が岸田氏に決まり閣僚人事が発表されると、株価は上昇前の水準まで下がりました。その後は衆院選で与党が安定多数を獲得したことが評価され、新型コロナウイルスの感染者数も減少しつづけていることから株価は高い水準で推移しています。

10月末まで長期金利が上昇し続けた理由は、9月22日に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が量的緩和縮小(テーパリング)の開始を11月の会合で決定する見通しを表明し、利上げの時期を2022年に前倒しする可能性を示したためです。しかし11月3日の会合では量的緩和縮小を決めたものの、利上げについては慎重姿勢を強調しました。これによって債券を買い戻す動きが大きくなり債券価格が上がり長期金利が下がってきているのです。

債券価格と金利(利回り)の間には負の相関関係があり、逆方向に動きます。債券価格が上がると利回りが下がり、債券価格が下がると利回りが上がるのがセオリーです。米国債を売ろうとする投資家は日本国債も保有しています。米国債を売る流れは日本国債を売る流れにも波及しますし、その逆も然りです。

今後の長期金利の動向と【フラット35】の2021年12月金利動向の関係

米国金利の低下が波及してこのまま国内金利が下がっていくと、2021年12月の【フラット35】の金利にも影響してくるでしょう。

【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み(※記事最下部参照)からすると、住宅金融支援機構が毎月発行する機構債の表面利率が発表されるタイミングで長期金利が下がっていると、機構債の表面利率が下がるため、【フラット35】の融資金利も下がるのです。

過去の長期金利の推移と【フラット35】の金利推移

2021年8月19日から2021年11月9日の長期金利と【フラット35】買取型の金利推移を振り返ってみましょう。青い棒グラフ(左の軸)が【フラット35】買取型で、オレンジの折れ線(右の軸)が長期金利です。

長期金利と【フラット35】買取型の金利推移グラフ
長期金利と【フラット35】金利の推移(筆者作成)

長期金利(オレンジの折れ線)の縦軸は0.4%とし、【フラット35】買取型の金利(青い棒グラフ)の縦軸も0.4%としてレンジを合わせています。2021年9月から10月までの長期金利の変動幅と【フラット35】の変動幅はほぼ合致していますが、10月から11月にかけては【フラット35】の金利上昇が抑えられていることが分かります。

2021年10月19日の長期金利は0.09%でしたから、9月15日よりも0.06ポイント上昇しています。同じ変動幅であれば【フラット35】金利は1.30%から1.36%まで上がってもおかしくなかったのですが、1.33%に抑えられています。

【フラット35】は金融マーケットから直接資金を調達し、利用者に融資する仕組み上、長期金利の動向をダイレクトに反映しやすくなっています。その一方で公的融資であることから、急激な金利上昇の影響を緩和する傾向があります。

長期金利がこのまま下がっていけば【フラット35】の金利も下がる可能性が高いでしょう。ただし、11月の【フラット35】金利は大幅な上昇が緩和されていますので、12月の【フラット35】金利は下がるにしても大幅な低下にはならないだろうと思います。

先行きが不透明な局面ではゆとりある計画を

10月の段階では米国の金利上昇の波及を受けて長期金利は上昇局面にありました。当時は上昇するとしても機構債の発表時点の国内長期金利は0.1%を超えるまでにはならないだろうと予想し、その通りに推移しました。

しかしそもそも金融市場の金利動向は想定通りに動くとは限らず、私の予想に反して急上昇する可能性もあります。特にコロナ環境下においては事前に予想することが難しいイレギュラーな金利動向が観測されています。

金利が想定外の動きになったとしてもある程度吸収できる、無理のない資金計画を立て、実行していく必要があります。住宅ローンの返済計画は無理せず、出来るだけゆとりのあるものにするようにしてください。

※参考【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み

【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み解説図
【フラット35】(買取型)の仕組み

住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、上図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を安全資産という考えで購入しますので、その表面利率は10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があるのです。

※本記事は、執筆者の最新情勢を踏まえた知識や経験に基づいた解説を中心に、分かりやすい情報を提供するよう努めておりますが、内容について、弊社が保証するものではございません。

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