新型コロナウイルスの感染拡大を機にテレワークを推進する企業が増え、働き方や暮らし方の多様化が進みました。それにともない、通勤のしやすさを最優先するよりも住み心地を優先し、都市部から地方への移住に関心を持っている人も多いでしょう。しかし、いざ実現となると二の足を踏んでしまうという人もいるのではないでしょうか。
移住関心層の約65%が「コロナ禍以前から移住を実現できず」
佐賀県とローカルライフマガジン「TURNS(ターンズ)」が、全国の移住検討層に関する調査を実施。コロナ禍以降の働き方や生活の変化による移住への興味や検討状況の変化を聞いたところ、「コロナ禍以前から変わらず検討をしている」が32.8%、「コロナ禍以前から興味・関心はあるが具体的な検討には至っていない」が31.4%という結果に。コロナ禍以前から興味を持ち、検討していたにもかかわらず具体的な移住アクションにつながっていない層が約65%と大半を占める結果となりました。
一方で、「コロナ禍をきっかけに移住に興味・関心を持つようになった」が21.1%、「コロナ禍をきっかけに具体的に検討するようになった」が8.7%と、合わせて約3割の人がコロナ禍を機に移住を視野に入れています。移住検討層全体から見て、コロナ禍以前から移住への一歩を踏み出せない層が約2倍を占めていることが分かりました。
移住に踏み切れない理由は、仕事や収入面の不安が最多
コロナ禍以前から移住に関心があるものの、その一歩を踏み出せないでいる人に対し、移住をしていない・できていない理由を聞くと「移住後の仕事や収入に不安があるから」が29.9%、「移住にかかる引越などの金銭的負担が大きいから」が25.4%と、移住先の仕事や金銭的な不安・負担が移住を踏みとどまらせていることが伺えました。
テレワーク体制の普及が、コロナ禍以降の移住検討を後押し
コロナ禍以降、移住に関して興味を持った、もしくは具体的に検討するようになった人に対し、その理由を問うと「テレワークや在宅勤務がしやすくなったから」が39.4%と最多で、以下「心機一転、新しい生活をしたくなったから」が33.5%、「満員電車やバスでの通勤を避けたいから」が32.4%、「新型コロナの感染リスクが低いところで生活したいから」が32.2%など、コロナ禍による生活や社会変化へのプラス面・マイナス面の影響が移住ニーズの高まりに直接的に関連していることが伺えました。
まとめ
今回の調査結果により、コロナ禍をきっかけに関心が高まったとされる地方移住について、実はもっと以前から興味を持っているものの、実行に移せないでいる人が多いことが明らかになりました。「自然と触れ合える場所でのびのびと子育てをしたい」「生活コストを下げたい」など移住したい理由は人それぞれですが、テレワークという新しい働き方が浸透したことにより、移住に対するハードルが下がっていることは間違いなさそうです。
【調査概要】
「全国の移住検討層に関する調査」
調査対象:過去3年以内に、移住に興味や関心を持ったり、検討したりしたことがある20歳~44歳の男女2,165名
調査方法:インターネット調査
実施期間:2021年8月17日~8月23日
実施機関:佐賀県