国立社会保障・人口問題研究所「2018年日本の世帯数の将来推計」によると、少子高齢化により核家族化が進むとともに単身世帯が増加傾向にあり、2015年の時点では34.5%ですが、2040年になると39.3%と、4割近くに達すると予測されています。増え続ける単身者は、どのような住まいを求めているのでしょうか。
【収納】WIC(ウォークインクローゼット)や独立洋室のあるプランが人気
日鉄興和不動産株式会社が、30~40代の単⾝男⼥のマンション志向性とライフスタイルについて定点調査を実施。まずは住みたいと思うプランについて聞くと「WICがある」「独⽴洋室がある」の2つのプランに⼈気が集中しました。「WICがある」プランは、特に⼥性のニーズが⾼く、「独⽴洋室がある」プランは、男⼥ともに⼈気がありました。
「WICがある」プランは年々人気が高まっていましたが、2020年の調査結果と比較して2021年は初の低下となり、その分「リビングから⼊れるWICがある」プランが上昇。特に⼥性にその傾向があります。
【キッチン】単身の男女にはセミオープンタイプのキッチンが人気
最も欲しいタイプは「セミオープン型」、次いで「壁付型」でした。⼥性はセミオープン型を求める人が多く、男性はセミオープン型と壁付型で⼈気が⼆分しました。
各キッチンタイプの選択理由としては、「セミオープン型」「壁付型」ともに「使い勝⼿が良さそう」と回答した人が多く、加えて「セミオープン型」では「キッチンから部屋が⾒渡せるから」「キッチンとリビングの動線が良さそうだから」と、リビングとの⼀体感を評価する回答も目立ちました。また「壁付型」は「調理時のにおいが部屋に広がらなさそうだから」「キッチンが衛⽣的だから」「調理時の油はねが気にならないから」といった理由が多く、機能⾯を重視する傾向が伺えます。
システムキッチンで最も優先することについても聞いたところ「作業スペースの広さ」「収納スペースの多さ」といった、「スペース」に関する回答に票が集まりました。どちらも男⼥ともにニーズがあります。また「収納スペース」については、優先順位1位に挙げた人から4位に挙げた人まで幅広く、個⼈の志向に差が出やすい項⽬といえそうです。
2020年の調査では、⼥性は「作業スペース」や「コンロの数」など「調理視点」、男性は「収納スペース」や「⾷器洗い乾燥機などの設備が充実していること」など「⽚付け視点」の人が多い傾向にありましたが、2021年の調査では男⼥の差があまりありませんでした。
【設備・サービス】宅配ロッカーと24時間ゴミステーションが人気
価格が上がっても欲しい専有部の設備は何か問うと、「リビングにエアコン実装」のニーズが最多という結果に。次いで「浴室換気乾燥機」「備え付けのキッチン収納棚」が挙がり、どちらも⼥性のニーズがより⾼い傾向が見られました。また「ボタンひとつでお湯張り、追い焚きができるフルオートバス」も⼥性のニーズが⾼く、⽔回りに関する関心が高い様子が伺えます。また男性では「5GB のインターネット環境」、「⾷器洗い乾燥機」のニーズが⾼く、利便性に通じる設備が選ばれています。
過去の調査でも、1位は「リビングにエアコン実装」で、必須アイテムといえそうです。2020年の調査と比べて減少したのが「ボタンひとつでお湯張り、追い焚きができるフルオートバス」と「お湯が冷めにくく経済的な保温浴槽」で、浴室関連の設備を重視する人が減少傾向にあるようです。
価格・管理費が上がっても欲しい共⽤部の設備は「宅配ロッカー」と、今回選択肢を新設した「24時間ゴミステーション」が突出して⾼く、特に⼥性から支持を集めました。
「宅配ロッカー」が2020年の調査と比べてさらに需要が増え、必須アイテムの施設・設備となっています。
【ライフスタイル・価値観】将来の心配事は「健康・⾦銭・⽼後」が中⼼
ライフスタイル・価値観についての考えを聞くと「将来が⼼配だ」「プライベートを⼤切にしたい」「家の広さよりも利便性を優先したい」と考えている人がそれぞれ半数を超えました。男⼥⽐でみると、⼥性は「将来が⼼配だ」「家賃・ローンが多少⾼くても、通勤時間を短くしたい」「できれば同じエリアに住み続けたい」、男性は「家賃・ローンを抑えるために、通勤が多少⼤変になっても構わない」「住む場所はその時々で⾃由に変えたい」「いつかは結婚したい」という価値観の人が多い傾向も明らかになりました。
2020年の調査では「⼈を家に呼びたい」「⼈を家に呼びたくない」が同レベルでしたが、今回では男⼥ともに「⼈を呼びたくない」が⼤きく上昇しており、社会全体のライフスタイルの変化に伴う影響と考えられます。
将来不安に感じていることを聞くと「ずっと健康でいられるか」「⽼後の⽣活がきちんと送れるだけの貯蓄ができるか」「年⾦の⽀給額がかなり減るのではないか」が上位に挙がりました。全体的に男性よりも⼥性の⽅がより多くの不安を抱えている傾向が見られます。特に「⾼齢になると賃貸住宅を貸してもらいにくくなるのではないか」「何かあったら助け合える⼈間関係を構築できるか」「⽼後の⽣活がきちんと送れるだけの貯蓄ができるか」が顕著で、住まい・⼈間関係・⾦銭⾯と多岐にわたっています。
2020年の調査と比べ、全体的に不安は減少傾向で、なかでも「年⾦制度が続いているかどうか」「親の介護」「家を買ったらローンを払い続けられるか」についての不安が減少しています。
マンション購⼊時における欲しい情報としては「税⾦の額や、⽀払いについて」「購⼊時に必要な⾦額」「持ち家と賃貸のどちらが得なのか」「住宅ローンの種類、選び⽅」「住宅ローンの流れ、仕組み、借り⽅など」と、お⾦に関する情報が上位に挙がりました。これらの項⽬は⼥性の方がより多くの情報を求める傾向にあるようです。
まとめ
今回の調査は「働く世代」の単身者を対象としていますが、収納スペースの使い勝手や自炊のしやすさに、それぞれのこだわりがある様子が伺えます。また、宅配ボックスや24時間ゴミステーションといった、時間を気にせずに利用できる設備が人気を集めています。これから引っ越しを予定している単身者のみなさんは、これらのチェックポイントをもとに、物件探しをしてみてはいかがでしょうか。
【調査概要】
「単身男女のマンション志向性とライフスタイルに関する定点調査」
調査対象:20〜50㎡未満のマンション購⼊を検討している30~40代の単⾝男⼥ 300名
調査方法:インターネットリサーチ
実施期間:2021年8月4日~8月6日
実施機関:日鉄興和不動産株式会社
ニュース提供元:PRTIMES
情報提供元:日鉄興和不動産株式会社