自宅で過ごす時間が増えたこの1年半。ARUHIとクックパッドが実施した共同調査『料理と暮らし白書2021』の結果をもとに、住まいに関する意識や行動はどのように変化したか、読み解いていきます。第4回のテーマは同調査で「居住地域に求める条件」として多くの人が挙げた「日常の買い物の利便性」について。なかでも、日々の暮らしを支える食材の調達先にフォーカスし、調査結果を紹介します。
今後、活用が増えそうな食材の調達先は?
今後、食料の調達にあたって活用頻度が高くなりそうな場所・サービスについて複数回答で質問をしたところ、「スーパーマーケット」が最多で60.5%。以下、「農産物の直売所」が21.0%、「テイクアウトを販売している飲食店」が19.6%、「コンビニエンスストア」が17.5%、「ネットスーパー」が15.8%、「食材宅配」が11.9%、「フードデリバリー」が10.8%という結果に。食材が充実していることに加え、総菜の個包装化など衛生面に配慮した取り組みが進み、自炊派もテイクアウト派も「スーパーマーケット」の利用が今後さらに増えそうです。
【年代別TOP3】各年代とも「スーパーマーケット」が1位に
次に食料の調達にあたって活用頻度が高くなりそうな場所・サービスについて年代別に見ると、すべての年代で「スーパーマーケット」がトップとなりました。
年代別で見ると、男性では50代以上、女性では20代以下では3分の2以上の人が「スーパーマーケット」の活用頻度が高くなりそうと回答しています。また、60歳以上の女性では「食材宅配」を選んだ人の割合がほかの年代・性別より多いという結果に。買い物に出かける負担を軽減するため、重くかさばる食料品などを玄関先まで運んでくれるサービスへのニーズが高いと考えられます。
年齢が上がると活用頻度が高くなりそうな「農家の直売所」
「農産物の直売所」の活用頻度が高くなりそうな人の割合を年代別で見ると、男女とも年齢が上がるほどその割合が多く、なかでも60歳以上の男性が最も多い結果となりました。
同調査によると、コロナ禍による外出自粛が始まって以来、3割以上の人が「家庭内で自身が料理をするようになった」と回答。特に50代以上の男性は半数近くが「家庭内で自身が料理をするようになった」と答えています。また、料理の頻度が増えた人に関しても「自分」と回答した人の割合が多いのは、いずれも60歳以上の男性が最多。仕事をリタイア、もしくは第一線から退き、時間に余裕ができて料理をする人が増え、今まで以上に地元の新鮮な食材を求める傾向が高まったのではないかと考えられます。
若い世代を中心に「コンビニエンスストア」の活用頻度増を予測
「コンビニエンスストア」の活用頻度が高くなりそうな人の割合を年代別で見ると、男女とも年代が低くなるほど多い結果に。すべての年代で女性に比べて男性の割合が多く、40代以下の男性は「スーパーマーケット」に次いで「コンビニエンスストア」が2位。コロナ禍を機に外食を控える人が多くなり、ランチや夕食を購入する機会が増えたことが影響しているのかもしれません。
働く世代は「テイクアウトを販売している飲食店」の活用頻度増を予測
「テイクアウトを販売している飲食店」の活用頻度が高くなりそうな人の割合を年代別で見ると、男性では50代、女性では30代が最多という結果になりました。男女とも30・40・50代の活用頻度が高くなりそうな場所TOP3にランクインしていることから、働き盛りの世代や子育て世代は手軽なテイクアウトグルメを活用したいと考えている様子がうかがえます。
活用が増えそうな食材の調達先、その選択理由は?
多くの人が利用しているスーパーマーケットをはじめ、それぞれの場所・サービスの活用頻度がなぜ高くなりそうなのか、自由回答で聞いた選択理由を一部紹介します。
「スーパーマーケット」
・今後も自炊の頻度が一番高いと思うので、食材などがまとめて手に入るスーパーを一番利用すると思う(京都府/40代/男性/会社員)
・食費をできるだけ抑えたいので、スーパーへ行き自分の目で見て食材を揃えたい(福岡県/20代/女性/会社員)
・食材調達に関してはスーパーの品揃えが一番よく、価格もコンビニより安いから(山口県/40代/男性/会社員)
「農産物の直売所」
・新鮮で価格も安く野菜が購入できるから(大阪府/40代/男性/会社員)
・今までは近所のスーパーなどで済ましていたが、コロナ禍の中で遊びに行くことがなくなったことで時間に空きが出た。その時間を使用して少し離れた商店街へ足を延ばした結果、安価で品揃えの良い野菜の直売所を見つけることができ、以降そこでしか買わなくなった(大阪府/30代/男性/会社員)
・自炊が増えているから、道の駅などで野菜など食材系の調達も増えると思う(東京都/30代/男性/会社員)
「テイクアウトを販売している飲食店」
・コロナ禍でテイクアウトメニューが充実し、今までテイクアウトを利用していないお店でもテイクアウトを利用するようになったから。忙しい時や仕事が遅くなったときには便利だから(東京都/20代/女性/公務員)
・外食をずっと控えていますが、さすがに家の食事だけだとマンネリなので、テイクアウトを利用するようになると思う(埼玉県/40代/男性/会社員)
・あまり外食に行けない世の中でお店の味を食べたい! と思った時に気軽に買えるのがお店のテイクアウトの商品だから(東京都/20代/女性/会社員)
「コンビニエンスストア」
・日頃から使っており、24時間営業で気軽に行くことができるから(山梨県/20代/男性/会社員)
・コンビニのオリジナル商品が以外に安い(埼玉県/40代/男性/会社員)
・コロナウイルスで夜にあまり動けないとき、近くにコンビニがあるので足りないものや欲しいものがほしいときにすぐ行けて購入出来るから(富山県/20代/女性/自営業)
「ネットスーパー」
・コロナの影響で外出を控えてるためネットスーパーの利用頻度が多くなると思う(静岡県/20代/男性/会社員)
・買いに行く時間を削減でき時間を有効に使えるから(広島県/40代/男性/会社員)
・コロナが続けば、なるべく人と会わないように食料品を調達する必要が出てくるから。忙しい日も、欲しい商品が届くから(長崎県/40代/男性/会社員)
「食材宅配」
・ミールキットの便利さを感じてしまったから(大阪府/20代/女性/会社員)
・安定の新鮮野菜を決まった曜日に持ってきてくれて便利(熊本県/20代/女性/会社員)
・人とあまり接触せずに食材が買えるから(神奈川県/20代/男性/会社員)
「フードデリバリー」
・作るのが大変な時やめんどくさい時に出前などを頼んでたまには楽したいです。小さな子どもを連れての外食は大変なので、デリバリー頼りです(千葉県/20代/女性/専業主婦)
・外食をしたいと思った時に実際に店に足を運ぶのはまだ気が引けるため。またデリバリー出来る店の種類が各段に増えてきたため(大阪府/30代/男性/会社員)
・限定のクーポンやメニューがあるし、疲れている時に便利(神奈川県/20代/男性/学生)
「スーパーマーケット」や「コンビ二」などコロナ禍前も利用していた店舗に加え、これまで利用頻度が高くなかった場所やサービスの利用意向が高まった人もいるようです。食材の品質にこだわり「農産物の直売所」へ出かけたり、自炊に飽きたら「テイクアウトを販売している飲食店」を利用したりしている様子がうかがえます。
まとめ
「日常の買い物の利便性」と言っても、どのような場所やサービスがあれば便利と感じるのかは人それぞれです。「料理をするのか、しないのか」「食材の価格重視か、質重視か」「外食を楽しみたいか」といった条件により、何が近くにあると便利かが変わり、それにより住む街を選ぶ基準も変わってきます。今回の調査結果をもとに、自身にとっての「住みやすい街」を考えてみてはいかがでしょうか。
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