日常生活の中で、「キッチンや洗面台で水が漏れた」といった水回りのトラブルは、どの家庭でも発生する可能性があります。水回りが使えなくなって困るだけでなく、水漏れした箇所が傷んだり、集合住宅の場合は隣室に被害が及んでしまうことも…。水漏れは個人でできる対応も限られるからこそ、修理を依頼する業者の選び方や見積もりの取り方も重要です。そこで今回は、水漏れの原因や対処法、修理業者への依頼時のポイントを解説します。
水漏れしやすい場所はどこ? 水漏れの原因は?
ここでは家の中で特に緊急性が高く、大きなトラブルになりやすい水回りで起こる水漏れについて解説します。
家の中で水漏れしやすい主な箇所は、以下の通りです。
・キッチン:蛇口、各種配管(給水管、止水管、排水管) ・浴室:蛇口、シャワーヘッド、シャワーホース、各種配管 ・洗面所:蛇口、シャワーヘッド、各種配管 ・トイレ:トイレタンク、温水洗浄便座、各種配管 ・パイプスペースの配管 ・部屋の天井、壁 ・冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの家電製品 |
上記のうち、家電製品の水漏れは販売店やメーカーの修理相談窓口へ相談しましょう。
キッチンや洗面所の排水管は、無意識のうちにつまりの原因となるものを流してしまっていることも少なくありません。たとえば、揚げ物を調理した後に残った油は凝固剤で処理しても、食器やフライパンに残った油はそのまま洗い流してしまっているのではないでしょうか。これらの油は排水管に少しずつ蓄積、食品カスや洗剤カスと付着することなどにより塊となります。最終的に排水管をつまらせ、水漏れを引き起こすこともあります。キッチンペーパーや古い新聞で拭き取ると汚れが落ちやすくなり、排水管がつまり防止にも効果的です。
洗面所でも、使用した洗口液(マウスウォッシュ)が排水管にへばりつき、髪の毛や液体石けんを巻き込んで塊となって排水管の詰まりの原因となることもあります。使用後はしっかりと水を流すようにするか、排水管クリーナーを定期的に使って排水管をきれいに保つようにしましょう。
また、水漏れしやすい箇所の中でも気を付けたいのが、普段見ることがないパイプスペースの水漏れです。
パイプスペースは家の間取り図で「PS」と表記されている場所で、名前の通り水回りの配管が収納されています。毎日使うキッチンやトイレのようにふだん見ることがないため、気づかないうちに配管から水漏れしていた、なんて事態もあり得ます。
水漏れが起きる原因は主に3つ
場所によって水漏れの状態はさまざまですが、水漏れが起きる原因は大きく分けて次の3つと言われています。
1.器具の緩み・ガタつき 2.部品や配管の老朽化による破損 3.ほかの部屋や屋根からの水漏れ |
それぞれ、具体的に解説しましょう。
1.器具の緩み・ガタつき
キッチン、浴室、洗面所、トイレの蛇口周りの水漏れは、器具の緩みやガタつきによるものかもしれません。蛇口周辺から水漏れしていたら、まず周辺器具のネジやナットが緩んでいないか確認しましょう。日常的に点検しておくことが大切です。
・点検の目安:年に数回(各メーカーによって推奨する回数は異なる)
賃貸でも持ち家でも、入居時に水回り設備についての説明書をもらっているはずです。蛇口周辺の器具で締め付けが必要な箇所を把握し、日常的な点検を怠らないようにしましょう。
2.部品や配管の老朽化による破損
器具の緩みもなく水漏れしている場合は、部品や配管そのものが破損している可能性があります。水回りの部品は消耗品であるため、いつかは老朽化します。蓄積された傷みによって急に破損することを防ぐために、定期的な点検と部品交換がおすすめです。
・点検の目安:年に数回(メーカーによって推奨する回数は異なる)
部品交換の目安 キッチンや浴室、洗面所の蛇口:10年程度 浴室のシャワーヘッド、シャワーホース:5年程度 トイレタンク内部の部品:5〜10年 温水洗浄便座:10年程度 配管:給排水管の耐用年数は数十年 |
3.ほかの部屋や屋根からの漏水
・集合住宅の場合
マンションやアパートなどの集合住宅では、ほかの部屋からの漏水により天井や壁から水漏れが起きる可能性があります。ほかの部屋からの水漏れを察知したらすぐに管理会社や管理人、大家に連絡しましょう。その際、被害状況を写真に残しておきましょう。水漏れによる損害について補償されるのかを判断する材料になります。逆に、自分の部屋から隣室への漏水が疑われる場合には、いったん家の給水の元栓を閉め、同様に管理会社や管理人、大家に連絡しましょう。
また、水漏れは気をつけていても、誰もが加害者になり得ます。水漏れによって壁や床に大きなダメージが出るだけでなく、家具や家電が壊れてしまうこともあるでしょう。原状回復のためには多くの費用がかかるため、保険に入っておくと安心です。
・戸建て住宅の場合
一方、戸建ての場合は屋根から侵入した雨水による雨漏りが考えられます。
雨漏りは建物の内部へ雨水が侵入することを指します。雨漏りが起こる主な原因は、経年劣化による屋根や周辺部品の破損です。また台風による強風で部品の一部が浮いてしまったり、ひび割れてしまったりして、破損につながることも考えられます。
また、築後20年以上経過すると屋根からの雨漏りの可能性が高まってきます。屋根部品のメーカーが推奨している点検・交換時期を確認し、メンテナンスを怠らないようにしましょう。
水漏れが起きてしまったときは?
水漏れの程度によって対処法や順番は変わりますが、まずは元栓を閉め、場所を特定することが大切です。蛇口の周辺からチョロチョロと水が流れている程度であれば、説明書を元に自分で部品を締めて対処することも可能です。余裕があれば製造元のメーカーに直接電話して、具体的な対処法を確認するのもいいでしょう。
設備に関する説明書には、水漏れした場合の対処法が詳しく書かれています。予想外のトラブルに慌てるあまり、インターネットでの対処法を検索をする人も多いかもしれませんが、水回りの部品・器具については水回りの設備に関する説明書を確認するほうが確実です。説明書がどこにあるかわからない人、捨ててしまったという人は、管理会社やメーカーに問い合わせて必ず説明書を手元に置いておきましょう。
業者に水回りの工事を依頼するときのポイント
業者に水回り工事を依頼する際の重要なポイントは、主に以下の3つです。
1.契約している水道局が指定する工事業者で複数の見積もりを取る 2.複数の業者で見積もりを取り、料金とサービス内容を比較検討する 3.業者を選ぶ際は、見積もり内容・料金の内訳を詳しく説明してくれるかをチェックする |
水漏れが発生するとついパニックになり、「すぐに来てくれるならどこでもいい」となってしまいがちです。しかし、このとき焦ってネットで適当に業者選びをしてしまうと、思わぬトラブルに発展することも。
国民生活センターによると、水漏れ修理など暮らしのレスキューサービスによるトラブル相談は、年間2,000件を超えています(2018年度の相談件数)。なかでも、「見積もり無料」の広告を見て蛇口の水漏れを確認してもらったら、見積もりにかかった費用を請求された事例もありました。
こうしたトラブルを防ぐためにも、業者を選ぶときは必ず水道局指定の工事業者で工事の詳細を含めた見積もり書を取り、事前によく確認しましょう。
まとめ
水漏れの原因の多くは、器具の緩み・ガタつき、部品・配管の破損、ほかの部屋や屋根からの雨漏りに分けられます。
持ち家で水漏れトラブルを事前に防ぐためには、日常的に水回りの点検と部品交換をしておくことが大切です。メーカーの説明書には、定期的にすべきメンテナンスや水漏れが起きたときの対処法が詳しく書かれています。説明書が手元にない人は早めに取り寄せ、万一の水漏れトラブルに備えると安心です。浴室やキッチンを定期的に掃除し、排水管のつまりの原因となるものを流さないよう注意することが重要です。もし水漏れが起きてしまったときは、慌てず元栓を閉め、必要な場所に連絡をしましょう。