戸建てやマンションを購入するのか、賃貸住宅に住み続けるのか。永遠に結論が出ないテーマの一つかもしれません。日本では、いったいどれぐらいの人が持ち家に住んでいるのでしょうか。そこで、都道府県別の持ち家率を調べてみました。持ち家率ランキングとともに、家の広さも調査。あなたが住む都道府県の持ち家率はいかに?
持ち家率が高い都道府県は?
まずは持ち家率ランキング上位25都道府県をチェックしてみましょう。上位25都道府県の宅地の平均地価・平均世帯人数、人口密度も併せて比較すると、そこにある程度の関係がありそうなことがわかります。元となるデータは総務省統計局による「平成30年住宅・土地統計調査」です。
持ち家率ランキングトップ5は秋田県、富山県、山形県、福井県、岐阜県でした。いずれも、宅地の平均地価が安く、1世帯当たりの人数が全国平均の2.15人より多い県です。
これらの地域は地価の安さ、子育て世帯、親との同居世帯の多さなどから、ほかの地域よりも持ち家率が高くなりやすいと考えられます。
持ち家率が低い都道府県は?
持ち家率が低い都道府県1位は沖縄です。沖縄の地価は東京や神奈川、大阪などと比較すると高くはありませんが、実は全国10位。沖縄の地価が高い理由の一つに、那覇市の人口密度の高さが挙げられます。那覇市の人口密度は8052.3人と東京都全体の人口密度を超えています。また、那覇市内は沖縄全体の平均よりもさらに地価が高いため、住宅購入のハードルを高くしていると言えるでしょう。
那覇市内は地価が高い一方、世帯年収200万円未満の世帯が29.3%と、全国平均の18.0%を大きく上回っています。沖縄の1世帯当たりの人数は2.5人と全国平均よりも多いため、世帯人数が少ないから世帯収入も低いとは言えません。沖縄の持ち家比率が低い理由は、那覇の地価の高さと賃金の低さに関係があると考えられます。
持ち家率が低い都道府県2位は、地価が高く、1世帯当たりの人数が少ない東京都です。東京都は1世帯当たりの人数が少ないことから、単身世帯が多いと推測できます。単身世帯は持ち家率が低くなりやすい傾向です。加えて、地価が高いことから、持ち家の購入のハードルは高めと言えます。
上位には地価も比較的安いにもかかわらず、持ち家率が低い道県がランクインしています。北海道、宮城です。なぜこれらの地域は持ち家率が低いのでしょうか。
北海道の持ち家率ははぜ低い?
北海道は人口密度が低く、地価も安いのに持ち家率が低くなっています。北海道の持ち家率の低さは、北海道の人口密集地である札幌の持ち家率の低さが影響していると考えられます。2018年時点での札幌の持ち家率は48.6%です。
札幌の持ち家率が低い理由の1つが、北海道内各地からの若年層の人口流入よる世帯人数の少なさです。2021年1月現在の札幌都市全体の世帯人数は約1.82人と、単身世帯が多いことがわかります。単身世帯は賃貸住宅に住むことが多いため、札幌の持ち家率が下がり、北海道全体の持ち家率も引き下げていると考えられます。
出典:那覇市住生活基本計画 改定版、平成30年「住宅・土地統計調査」結果の概要
宮城県の持ち家比率が低い理由
宮城県の中でも持ち家率が低いのが仙台市です。仙台市の持ち家率は46.7%。仙台市は宮城県の人口の約半数が集まっており、その人口は106万4,060人。若年層の人口流入や単身世帯が多いことから、北海道と同様に賃貸住まいが多く、持ち家率が低くなっていると考えられます。
出典:仙台市における住宅事情等に関する現状分析(令和2年7月 仙台市 都市整備局 住宅政策課)
北海道・宮城県に共通するのは人口集中
北海道と宮城県に共通していたのは、札幌・仙台への人口集中による単身世帯の増加です。両道県に共通しているのが、全体の人口の多くが県庁所在地に集中する点です。このような地域では、東京都同様に、単身世帯の増加によって持ち家率が低下すると考えられます。
まとめ
同じ日本でも、8割近くの世帯が住宅を所有している都道府県もあれば、持ち家率が5割以下の都道府県もありました。購入と賃貸、どちらがベストなのかはライフスタイルや考え方によって異なりますので、最適解はありません。今後の住まいや居住エリアについて考える際、持ち家率の状況も参考にしてみてはいかがでしょうか。
参考:矢野恒太記念会『データでみる県勢2021』(第30版)