【アロマの正しい使い方】アロマディフューザーで加湿は可能? 加湿器にアロマエッセンシャルオイルを使ってもいい?

これからの季節、部屋の乾燥対策に加湿器を使用しようと考えている人は多いのでは? また家で過ごす時間が長くなったことで、アロマエッセンシャルオイル(精油)を暮らしに取り入れるケースも増えています。では、加湿器とアロマを組み合わせても大丈夫…? アロマディフューザーに加湿の効果はあるのか、加湿器に精油を使用してもよいのか、精油の正しい使い方や秋冬の暮らしに取り入れたいおすすめの精油を、日本でアロマテラピーの普及に努めてきたライフスタイルカンパニーの生活の木に教えていただきました。

アロマディフューザーはあくまで香りを楽しむもの

アロマディフューザーとは、空間に精油の香りを拡散させる機器の総称です。水を使わず空気で香りを拡散させるオイルディフューザー(気化式、噴霧式とも呼ばれています)、水を使いミスト状にして香りを拡散させるミストディフューザー(超音波式とも呼ばれています)など、さまざまなタイプがあります。

生活の木で広報を担当する中村さんによると、水を使わないオイルディフューザーはもちろん、ミストディフューザーにも高い加湿能力はないそうです。

オイルディフューザー アロモアミニ ピンク 6,930円(税込み) 画像提供:生活の木

「部屋に必要な加湿量は部屋の大きさや換気の頻度などによるため一概に言えませんが、加湿器は一般的に8畳くらいの部屋であれば300ml/h程度の加湿量を備えています。加湿機能付きという表示のないミストディフューザーに、ここまで高い加湿能力はありません。あくまで香りを拡散させることを目的として作られています」(中村さん)

アロマディフューザー アロモアミニ ポータブル ウッド 8,800円(税込み) 画像提供:生活の木

加湿は加湿器などに任せ、アロマディフューザーは精油の香りを楽しむ専用機器として使用するのがよいということになります。

「香りを効率よく拡散させるために、アロマディフューザーは置き場所に工夫をするとより楽しめます。エアコンやサーキュレーターの風の力を利用し、それらの風下や近くに置くのがおすすめ。直射日光が当たるところは避け、事故防止のためペットや小さな子どもの手が届かない高さに置いてください」(中村さん)

定期的なメンテナンスも必須です。

「ミストディフューザーは水を使用するため、使用後はタンクを洗浄しましょう。空気清浄機や加湿器と同様で、そのまま放置するとカビや雑菌が発生するケースがあります。オイルディフューザーは使用していない期間があるとオイルがノズルに詰まってしまうことも。この場合は無水エタノールを入れて稼働させると洗浄できますよ」(中村さん)

加湿器は「精油OK」のものがおすすめ

一方で、加湿器はアロマ対応タイプ(アロマエッセンシャルオイル、精油を使用してもよいと説明書に記載してあるもの)ならアロマテラピーとして使用することができます。

一般的にアロマオイルというと、アロマエッセンシャルオイル(精油)、水溶性アロマオイル(水に溶けるよう加工したオイル)、リフレッシャーオイル(脂溶性の人工香料)があり、どのタイプのオイルを使用してよいのかは加湿器によって異なります。アロマオイルOK、とだけ記載されている場合は、どのオイルを指しているのか取扱説明書をよく確認することが大切です。

使用可能とされているオイル以外を使ってしまうと、故障の原因になってしまうことがあるので注意が必要。ちなみに、3つのタイプのアロマオイルの中でアロマテラピーに使われているのは精油だけです。

「加湿器を使うような時期は部屋を閉め切って空気がこもりがちになります。清涼感ののある精油(ユーカリやティートゥリーなど)をアロマ対応加湿器に入れるのがおすすめですよ。香りがシャープすぎると感じるなら、オレンジやレモン、グレープフルーツなど柑橘系の精油をブレンドしてみてください。香りがマイルドになり、心地よさが増します」(中村さん)

アロマ加湿器がなくてもできる! 精油を使った乾燥対策のアイデア

アロマ対応加湿器を持っていない場合でも、精油の力を借りて部屋や肌の乾燥をいくらか和らげることができます。気軽に試せるアイデアを、いくつか中村さんが教えてくれました。

バスソルトに好きな精油を混ぜて入浴

画像提供:生活の木

「無水エタノール5mlとお好みの精油5滴ほどを混ぜて溶かしたものを、手持ちのバスソルトに加えてみましょう。蒸気に香りが乗って、よりリラックスしたバスタイムになります。お湯を張り、半身浴で体を温め、保湿してみてください。ただし精油をそのまま浴槽に垂らすのは、肌には刺激が強すぎるのでおすすめしていません」(中村さん)

洗面器にお湯を張り、精油を混ぜて加湿器代わりに

画像提供:生活の木

「洗面器にお湯を張ってお好みの精油を数滴垂らす方法もあります。手や足をお湯につけるのではなく、深呼吸して香りのついた蒸気を吸い込んでください。広い範囲の加湿はできませんが、スポット的に乾燥も和らぎます」(中村さん)

ホホバオイルと精油でオリジナルの保湿オイルを作る

画像提供:生活の木

「お肌や体のカサつきが気になるなら、精油を使ってオリジナルのトリートメントオイルを作ってみては。ホホバオイル(アーモンドオイル、アルガンオイルでもOK)に精油を足すだけなので簡単です。オイルと精油の比率は、精油の濃度が1%以下(顔につける場合は0.5%以下)になるように調整してください。潤いを保ちながら、好きな香りも楽しむことができますよ」(中村さん)

ストレス解消、テレワークに集中、リラックス…。シーン別のおすすめ精油は?

アロマディフューザーや入浴などで精油を楽しむ場合、どんなシーンにどんな精油がマッチするのでしょうか。特にコロナ禍の今、精油の力を借りたい場面とおすすめの香りをリストアップしました。

溜まったストレスや睡眠不足を解消したい

アロマランプL フラワー 3,850円(税込み) 画像提供:生活の木

長引く外出自粛や感染症への不安により、ずっとストレスを抱えているという人は多いはず。そうした日々が続くと睡眠不足にも陥りがちになります。睡眠環境を整えるのにぴったりの精油はラベンダー。くつろぎたい時におすすめの成分、酢酸リナリルやリナロールが多く含まれています。ラベンダーだけでもいいですが、オレンジスイートやベルガモット、フランキンセンスとブレンドするのもおすすめです。

仕事や勉強に集中したい

画像提供:生活の木

テレワークやオンライン会議が増え、仕事のある日も1日中自宅で過ごすことが珍しくなくなりました。オン・オフをどう切り換えるかというのは大きな課題です。シーンに合わせて香りを切り替え、区切りをつけるのはいかがでしょうか。テレワークの始業前には、シャープな香りを持つローズマリーやレモンの精油で集中力を高めます。この2つはブレンドしてもOK。途中で気分をシャキッとさせたい時はペパーミントやハッカなどメントールを含む精油も向いています。

おうち時間をリラックスして楽しみたい

ラベンダーのほか、バラの芳香成分に近いゼラニウム、アールグレイの香りづけに使われるベルガモット、グリーンとフローラルの香りを併せ持つホーリーフがおすすめ。ラベンダーにブレンドすれば、飽きずに楽しめます。

家にいながら季節の移り変わりを感じたい

左から・ブレンド精油 キンモクセイ 30ml 3,960円、同 10ml 1,870円、オイルディフューザー アロモア ウッド 1万1,000円(すべて税込み) 画像提供:生活の木

思うように外出や旅行ができない今は、香りで季節を感じてみては。秋ならキンモクセイ、冬はゆずなどその季節に旬を迎える植物の精油をぜひ取り入れてください。

また、精油は世界各国の植物を使用して作られています。ライムの香りを嗅ぎながら南国の旅行動画や映画を楽しむ、ラベンダーの香りを嗅ぎながらプロヴァンスの風景動画を観る、ハッカの香りを嗅ぎながら北海道旅行の思い出写真を見るなどすれば、家にいながら国内外を旅行した気分になれるかもしれません。

マスクの不快感を少しでも和らげたい

写真はイメージ

1日たりともマスクが手放せない日々。息苦しさや肌への刺激に不快感を感じる場面も多くあります。お好みの香りでオリジナルのマスクスプレーを作ってみてはいかがでしょうか。好きな精油10滴までと無水エタノール5ml、精製水45mlを混ぜ遮光瓶スプレーに入れればできあがりです。マスクの外側に2、3プッシュして、軽く振りアルコール分を飛ばしてから装着すると、心地よい香りでマスクストレスが和らぐかもしれません。

子どもと一緒に精油の香りを楽しみたい

ブレンド精油 ワンダリングシトラス 10ml 1,650円(税込み) 画像提供:生活の木

精油は妊娠中や授乳中に使えない種類もあるので注意が必要です。日本アロマ環境協会(AEAJ)のガイドラインでは、3歳未満の子どもには芳香浴以外で精油を使わないことが推奨されています。4歳以上なら、使用する量を通常の半分ほどにして試してみてください。お

すすめはオレンジスイートやグレープフルーツ、レモンなどの柑橘系。食べ物で嗅いだことがある香りなので、抵抗なく取り入れやすいでしょう。ただし大切なのは子どもが精油の香りを嗅いで不快に思わないかどうかです。無理強いはせず、いやな時には香りから逃げられる環境も作っておくこと。これらをぜひ頭に置いておいてください。

コロナ禍における秋冬シーズンは、空気も心も潤いを保てるよう、対策もしっかりと行いたいもの。精油の癒しパワーをうまく取り入れながら、暮らしを整えていきましょう。

取材協力・写真提供(一部)/生活の木

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