そろそろ新米の季節。毎日の食卓に欠かせないお米は、意外にもデリケートな食品です。特に品質が劣化しやすい梅雨から夏にかけては、適切な方法で保存することがが重要となります。
いつでもおいしいお米を食べるためには、どのような点に気をつければ良いのか、お米の保存場所や容器の選び方などを解説していきます。
お米は生鮮食品! おいしく食べられる期間は意外と短め
お米は乾物に思われがちですが、実は野菜と同じ生鮮食品。そのため、賞味期限の記載は義務付けられていません。精米日から徐々に酸化し、味が落ちていくため、なるべく早めに食べきるのがおすすめです。
時期によって精米からおいしく食べられる期間は異なりますので、なるべく下記の期間で消費するようにしましょう。
春:1ヶ月ほど
梅雨〜夏:2~3週間
秋冬:2ヶ月ほど
※自ら精米した場合
お米に適した保存場所と保存方法
お米は季節による室温や湿度によっておいしく食べられる期間が変わりますが、適切な保存環境によってもその期間は変化します。お米の適切な保存環境、場所について解説します。
10〜15℃程度の場所で保存する
お米を常温で保存している人も多いかもしれませんが、野菜などと同じく冷蔵庫の野菜室で保存するのが望ましいと言われています。お米は日光にさらされることで乾燥、ひび割れを起こしてしまうため、直射日光が当たる場所は避け、冷暗所で保存しましょう。
ただし、冷凍庫での保存はNGです。お米には水分が含まれているため、米が凍ってしまいひび割れの原因となります。
湿気を避ける
キッチンの下の棚、シンクの近くなどは湿気がこもりやすい場所でもあります。カビが生えたり、虫がわいたりする原因となるため、できる限り避けるようにしましょう。また、濡れたままの手で米を触ったり、濡れた状態の計量カップを使用すると、湿気の原因となるので控えてください。
米袋のまま保存しない
スーパーなどでお米を購入した場合、お米は米袋に入っています。通気性を良くするために袋に穴があいているものもあるので、米袋のまま保存するのは避けましょう。袋が濡れてしまった場合、カビの原因になるほか、袋の口が閉まっていないと虫が発生する原因にもなります。
また、お米はにおいを吸収しやすいため、カビ臭い場所に置くことでカビのにおいが移ってしまうことも…。においの強い食品と一緒に置くとそのにおいを吸収してしまうため、におい移りしにくい容器で保管すると良いでしょう。
お米の保存容器の選び方
お米の保存容器について、選び方のポイントを紹介します。
密閉できるもの
お米の酸化や害虫を防ぐためにも、密閉できる容器に入れましょう。フタにゴムパッキンが付いていて、空気が入らない仕組みになっているものが望ましいです。専用の米びつや好みのサイズのストッカーを選んでも良いでしょう。
冷蔵庫で保存する場合は中身が見えるもの
冷蔵庫などの冷暗所で保存できる場合は、お米の状態や残量を確認しやすくするために透明な容器を使うのがおすすめ。冷蔵庫に保存することができない場合は、西日の差し込みなどがない直射日光を避けた場所に置きます。冷蔵庫のすぐ横に置くと、放出された熱の影響でお米が急速に乾燥し、傷んでしまうので注意してください。
手入れが簡単なもの
保存容器に入れた米を使い切ったら、必ず一度洗うか、きれいな布で拭くなどして掃除しましょう。米びつにたまったカスや米の破片、糠などに虫がわいてしまうこともあります。手入れのストレスを軽減するためにも、掃除しやすい形状のものを選ぶのがポイントです。保存容器の口からきちんと手が入るかなども確認しておきましょう。
ペットボトル
冷蔵庫で管理しやすく、簡単に手に入るペットボトルでの保存もおすすめです。飲み終わったペットボトルをきれいに洗い、完全に乾かしてから使用しましょう。米を注ぐ際はろうとを使用すると便利。保存時はキャップを締めて密閉すると安心です。
ジッパー付きフリーザーバッグ
お米を細かく分けて管理したい人や、ペットボトルよりもラクに保存したいという人におすすめなのが、ジッパー付きのフリーザーバッグです。なるべく空気を抜いた状態で密閉できるだけでなく、冷蔵庫内で場所を取らないので、1人暮らしの人やお米を買う量が少ない人に便利です。一般的なフリーザーバッグには日付などを書くスペースもあるため、いつ買ったのか、いつまでに使い切るのが良いのかを確認できるのもポイント。汚れがたまりやすいため、使い切ったら新しいものに取り替えましょう。
お米にわく虫とは? カビが生えたらどうする?
お米を保存するうえで最も避けたいのが、虫。お米につく虫には毒がないため、虫を取り除くことでお米を食べること自体は可能です。しかし、成虫を取り除くことはできても、肉眼での確認が難しい卵は口に入ってしまうことも…。人によってはアレルギー反応を起こしてしまう危険もあるため、お米に虫がわいてしまったら食べずに捨てるのが無難です。お米にわきやすい虫とその特徴を紹介します。
コクゾウムシ
ゾウムシの一種でイネ科に生息する害虫です。お米にわく代表的な虫で、別名「米食い虫」と呼ばれています。ゾウの鼻のような長い口吻を持った黒っぽい小さな虫で、25〜30度の室温で活動が活発化。湿度が高い場所を好み、お米の中に卵を産み付けます。
繁殖力が高いため、米びつに入り込まないように注意が必要です。また、無農薬栽培のお米の場合、すでに卵を産み付られた状態の米が混入してしまうこともあります。
コナナガシンクイムシ
筒状の小さな虫で、米などの穀物の表面に卵を産み付けます。幼虫は穀物を食べ、その内部で成虫へと成長するため、目視で探し出すのが難しい虫でもあります。成虫の体長は2〜3ミリです。
ノシメマダラメイガ
白っぽい芋虫がいたら、ノシメマダラメイガの幼虫かもしれません。米を糸でくっつけてさなぎを作るため、米同士がくっついていたり、糸を発見したら注意するようにしましょう。卵は米の形ととてもよく似ているため、見分けるのが困難です。
虫のほかに注意したいのが、カビ。お米にカビが生えている場合、米の一部が変色して黒や緑色、茶色になっていることがあります。見た目に違和感があるときは、食べずに捨てましょう。また、見た目で判断できなくても、炊きあがりの香りが酸っぱかったり、カビ臭かったりします。普段の味と違うようであれば、無理に食べずに処分してください。
お米の害虫対策に役立つもの
すぐに密閉できる米びつを用意することが難しいという人もいるでしょう。簡単にできる虫除け方法もあるので、ぜひ試してみてください。
唐辛子
唐辛子に含まれる植物由来の香り成分は、虫よけに効果を発揮します。生の唐辛子を使用するのが効果的ですが、水分を含んでいるため保存状態によってはカビの原因になってしまうことも考えられます。生の唐辛子は、およそ1ヶ月程度で新しいものに取り替えるように心掛けましょう。
お米、米びつ用の防虫剤
唐辛子の成分や炭、ワサビなど、虫が嫌うものを活用した防虫アイテムも販売されています。お米や米びつに合わせて豊富な種類があり、防カビ・脱臭の効果も期待できるので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
保存容器や保存場所を変えるだけで、お米の持ちやおいしさがぐっとアップします。100円ショップやスーパーなどで購入できるアイテムも多くあるため、ライフスタイルに合ったものを選んで、ストレスのない保存方法を選ぶと良いでしょう。毎日のように食べるお米だからこそ、保存方法にも気を遣っていつでもおいしく食べられるようにしておきたいものです。