医師や弁護士などの専門職は年収が高いイメージがありますが、実際のところはどうでしょうか。また、高収入の職業に就いた場合、生涯年収はいくらぐらいになるのでしょう。そんな疑問を解消すべく、今回は職業別・業種別の年収データから推定生涯年収を計算し、ランキング形式で紹介します。高収入が期待できる職業への就職・転職を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
日本人の生涯年収はいくらくらい?
まず、日本人の平均的な生涯年収を見てみましょう。独立行政法人労働政策研究・研修機構がまとめた「ユースフル労働統計―労働統計加工指標集―2019」では、学校卒業後フルタイムの正社員として60歳まで働いた場合の平均生涯年収を、次のように発表しています。なお、この金額には退職金は含まれていません。
平均生涯年収は企業規模によっても異なります。たとえば、同じ大学・大学院卒でも、会社規模によって次のような違いがあることがわかりました。
最も高い生涯年収を得られる可能性が高いのは、企業規模1,000人以上の会社に勤務する大学・大学院卒の男性です。同一企業で働き続けた場合はさらに生涯年収が高くなり、平均で3億1,880万円の生涯年収を得ています。
職業別の生涯年収ランキング
次に、職業別年収ランキングをもとに生涯年収が高いと思われる職業を紹介します。
生涯年収が高い職業トップ10
年収は勤続年数や職歴によって異なります。そのため、就職してから定年までの生涯年収を単純に計算することはできません。ただし、年収が高い職業はトータルの生涯年収も高くなると想像できます。
そこで今回は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(2019年)」をもとに平均年収ランキングを作成し、同じ年収で40年間働いたと仮定して推定生涯年収を計算しました。結果は以下のとおりです。
生涯年収4億円以上が見込める職業は?
試算では、生涯年収4億円以上が見込める職業は、航空機操縦士・医師・大学教授という結果になりました。
個人の年収の推移や勤続年数の違いなどから一概にはいい切れないものの、1~5位にランクインした航空機操縦士・医師・大学教授・大学准教授・記者は、日本の1,000人以上規模の企業に勤める大学卒男性の平均生涯年収よりもさらに高い生涯年収が期待できるといえるでしょう。
会社員の職種別・業種別生涯年収ランキング
ここからは、転職・求人サイト「doda」のデータをもとに、会社員の職種別・業種別生涯年収ランキングを紹介します。
データは、2019年9月からの1年間にdodaエージェントサービスに登録した人を20代(22歳~)・30代・40代・50代以上(~65歳)の年代に分け、各年代の平均年収から推定される生涯賃金を算出したものです。なお、退職金は含まれません。
職種別の生涯年収ランキング
職種別に見た生涯年収ランキングは次のような結果になりました。
職種別では専門職・企画管理系・技術系が上位3位にあがっています。専門的な知識・技術を必要とする職種は、生涯年収が高めの傾向にあるようです。
業種別の生涯年収ランキング
業種別の生涯年収ランキングは次のとおりです。
業種別では総合商社・金融・IT通信が上位となっています。総合商社や金融は就職を希望する学生が多い業種です。年収の高さも学生からの人気を集める理由のひとつかもしれません。
生涯年収が高い職業に就くには?
就職や転職を考える人が生涯年収の高い職業を目指すとしたら、どのようなことを意識したらよいでしょうか。考えられる2つの方法について解説します。
難易度の高い資格を取得する
生涯年収を高くする方法のひとつは、難易度の高い資格を取得することです。特に、医師・弁護士・公認会計士は日本の三大国家資格として知られています。
これらの職業には重要な社会的役割と責任があるため、有資格者でなければ業務を行えません。こうした「業務独占資格」を取得すれば、雇用で働く以外に独立開業の道も開けます。独立後は組織で働くのとは違った苦労がありますが、経営次第では高収入が期待できます。
専門性の高い職業を目指す
専門性の高い職業を目指すことも、生涯年収を高くする近道です。ランキングにもあった航空機操縦士や大学の教授・准教授などは専門性が高く、高収入が期待できるでしょう。会社員として働く場合も、コンサルタントや金融系専門職のように専門的かつ高度な知識が必要な職業は、年収が高めの傾向にあります。
まとめ
医師や弁護士など高収入のイメージがある職業は、実際に高い収入を得ていることが統計からわかりました。また、航空機操縦士や不動産鑑定士など専門性の高い職業も、生涯年収は高めの傾向です。
大学の教授・准教授や高校教員といった教職も、トップ10にランクインしています。職種別に見ても専門職の年収が高く、トップはコンサルティングファームや監査法人などの専門職です。生涯にわたって高収入を得るには、難易度の高い国家資格を取得するなどして専門性の高い職業を目指すとよいでしょう。