食費の平均はいくら? 世帯人数別・年収別に検証して節約方法を考える

日々生活する中、月々の家計で大きな割合を占めるのが食費です。毎月食費を支払っていると、「食費の平均はどれくらいなのだろう」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、世帯人数別・年収別に世帯あたり食費の平均を解説。食費による出費を抑えるために有効な節約方法も紹介していきます。

世帯人数別の食費の平均

自身の食費が多いか少ないかを判断するにあたっては、食費の平均値がどれくらいなのかを把握する必要があります。ここでは、総務省が毎月実施している「家計調査」をもとに、世帯あたり食費の平均値を世帯人数別に探っていきましょう。

単身世帯(1人暮らし世帯)の食費の平均

まずは単身世帯(1人暮らし世帯)における食費の平均値から見ていきます。

出典:総務省 家計調査(家計収支編) 2020年

調査結果によると、2020年の単身世帯における食費(統計項目としては「食料」)は38,257円、消費支出のうち25.4%を占めています。このうち外食は7,515円、消費支出全体に占める割合は5.0%。1人暮らしにおける食費は、この数字を目安にするといいでしょう。

コロナ禍による自粛生活の影響もあり、外食費がマイナス32%と大幅減となったことから、食費は低下傾向にあります。一方で、麺類・魚介類・肉類・野菜類といった食材の支出は軒並み増加しており、外食から自炊へのシフトが進んだと考えられます。

2人暮らし世帯の食費の平均

単身世帯における食費の平均値を見てきましたが、食費は世帯の人数によって大きく変わります。続いては、子どものいない夫婦世帯のような2人世帯の場合を見ていきましょう。

出典:総務省 家計調査(家計収支編) 2020年

2人世帯の平均食費支出は66,543円、そのうち外食費は6,942円です。単身世帯に比べて世帯人数が増えているにもかかわらず、外食費が単身世帯よりも少ないことがわかります。食費全体に占める外食費の割合も単身世帯では19.6%であるのに対し、2人世帯では10.4%と低くなっており、2人世帯では自炊の比率が高くなっていると考えられるでしょう。

4人暮らし世帯の食費の平均

かつて一般的だった核家族モデルである夫婦と子ども2人の4人世帯の場合の食費平均についても見ていきましょう。

出典:総務省 家計調査(家計収支編) 2020年

4人暮らし世帯の食費平均は87,071円、そのうち外食費は13,310円でした。世帯人数が増えるため、当然のことながら単身世帯や2人世帯に比べて食費・外食費とも増えています。2人暮らしと比べると世帯人数は倍になっていますが、食費は3割増程度と低めに抑えられているのが特徴です。

総世帯の食費の平均

ここまで単身世帯・2人世帯・4人世帯と世帯人数別に食費の平均値を見てきましたが、最後に総世帯の平均値を紹介していきましょう。

出典:総務省 家計調査(家計収支編) 2020年

総世帯の平均値を見ると食費は63,145円、そのうち外食費は8,865円となっています。単身世帯・2人世帯・4人世帯の数値と比較すると、2人世帯に近い値です。

厚生労働省「厚生統計要覧(令和2年度)」によると、令和元年(2019年)の平均世帯人員は2.39人、1人世帯・2人世帯のみで全世帯の6割以上を占めています。平成2年(1990年)の平均世帯人員は2.99人だったので、平均世帯人員は年々減少していることがわかります。同時に、単身世帯と2人世帯は年々増加しています。そのため、総世帯の食費や外食費が低下していると考えられます。

年収と食費の関係

食費の平均値を見るうえで気になるのが、世帯年収と食費の関係です。この章では、家計調査の調査結果を用いて世帯年収と食費の関係について見ていきます。

エンゲル係数

皆さんは「エンゲル係数」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。エンゲル係数とは、家計の消費支出における食費の割合を示す数値のこと。「食費÷消費支出の合計×100」で求めることができ、世帯における生活の豊かさを示す指標として用いられる代表的な指数です。

たとえばエンゲル係数50%の世帯では、消費支出の半分を食費が占めていることになるため、毎日食べていくので精いっぱいということになります。豊かな生活を送るには、エンゲル係数が25%を超えないことが一つの目安といわれています。統計からエンゲル係数を求めることにより、年収と食費の関係性を検証することができます。

年収別の食費平均とエンゲル係数

家計調査においては「年間収入五分位階級」として、総世帯を年収に準じて(1)~236万円、(2)236~351万円、(3)351~500万円、(4)500~746万円、(5)746万円~の5段階に分類しています。

出典:総務省 家計調査(家計収支編) 2020年

上の表を見ると、年収が上がるごとに食費も増加。一方、エンゲル係数は高収入になるほど、多少低くなる傾向が見られます。年間収入が746万円以上の世帯でも世帯人数が増えれば、エンゲル係数も当然高くなります。これは、世帯人員が増えたとしても家族における働き手が増えることはまれであるため、世帯人員の増加分だけ純粋に食費が増えると考えられるためです。

この表から見えてくるのは、どの年収でも世帯支出の25〜30%程度を食費が占めているということです。食費の節約が生活をやりくりするうえでいかに大切かわかるのではないでしょうか。

食費の節約方法

世帯支出の25〜30%程度を占める食費。ここからは、食費を上手に節約する方法について紹介していきます。

月々の食費を把握してムダな買い物を減らす

電子決済と連動した家計簿アプリはとても便利

食費を節約するにあたって、まずは自身の食費がいくらなのか客観的な数字で把握することが大切です。食品購入時や外食時のレシートを捨てずに取っておき、こまめに家計簿をつけムダな買い物をしていないか確認しましょう。

家計簿というと専用の帳簿に毎回記録しなければならず、面倒に感じる人が多いかもしれませんが、最近では各社から便利な家計簿アプリがリリースされています。買い物や外食をしたら、その場でスマホアプリに入力するだけで簡単に家計簿を管理することが可能です。さらに、すべてをクレジットカード・電子マネーといった電子決済にすることで、アプリと連携して自動的に家計簿をつけることもできます。

外食は控えめに

食費を節約するための最も基本的な方法は、外食をなるべく控えて自炊すること。家計調査のデータをもとに計算すると、食費に占める外食費の割合は2人世帯で10.4%、4人世帯で15.3%、単身世帯では実に19.6%にもなります。月々の外食費を抑えるだけで、食費の効率的な節約が期待できます。特に世帯人数が多いと1回の外食費が増えるため、できる限り自炊で家族全員分をまとめて作ったほうがお得です。

しかし、仕事が忙しいなどすべて自炊するのは難しいという人もいることでしょう。そういった場合には、せめて昼食・夕食どちらかを自炊にするだけでも外食費をある程度抑えることができます。

買い物はまとめ買い

自炊用の食材を購入する際、買い物はできるだけまとめ買いにすることで食費を抑えることができます。毎日スーパーへ買い物に出かけると、大して必要のないものまでついつい買ってしまいがち。毎日のムダな買い物の積み重ねは食費が膨らむ要因となります。

食材の買い物は、1週間に1回など日を決めてまとめ買いするようにしましょう。忙しくて買い物に行く時間がなかなか取れない場合には、スーパーのネット通販で購入するのもおすすめです。

プライベートブランドや「業務用」を利用

スーパーのプライベートブランドはお買い得

食費を抑えるにあたっては、食材をいかに安く購入するかというのも重要。おすすめはスーパーのプライベートブランド商品です。プライベートブランドとはスーパーなどが企画・製造などを手がけるオリジナル商品群のことで、ナショナルブランドと同等の品質でありながらリーズナブルに購入できるのがポイントです。あわせて、「業務用」の食品スーパーも活用したいところです。

コンビニはいつでも気軽に買い物ができて便利ですが、どうしても価格は割高です。食材はコンビニではなく、できる限り食品スーパーで購入しましょう。

ポイントを活用する

今やどのような買い物をしてもポイントが付与される時代。クレジットカードやスマホ決済にすることで、日々の買い物を通じて効率的にポイントを獲得することができます。小さな買い物であっても、現金決済からポイントが付与される電子決済に切り替えるといいでしょう。

店舗によっては独自のポイントカードを発行している場合もありますが、カードをいつも持ち歩くのは面倒なので、スマホアプリにまとめるのがおすすめです。

まとめ

今回は、世帯人数別・世帯収入ごとに食費の平均値について見てきました。紹介したのはあくまでも統計による平均値であり、世帯によって状況はそれぞれです。エンゲル係数が高いのであれば食費節約を心がけることも大切ですが、無理な節約で疲弊してしまっては本末転倒。まずはゲーム感覚で楽しみながら節約するなど、ライフスタイルに合った食費管理を心がけましょう。

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