小麦粉を使おうとした時、表面が動いているような気がしたことはありませんか? 実はこれ、粉状のものに発生するコナダニなのです。特に小麦粉はダコナダニの大好物。知らないうちに繁殖した小麦粉を使った料理を家族が食べてしまうこともあり得るのです。今回は、家庭用品の製造販売を行う株式会社UYEKI商品部部長・成尾正和さんの取材協力を得てコナダニの見つけ方から発生、繁殖を防ぐ方法までご紹介します。
コナダニってどんなダニ?
コナダニはコナダニ科に属するダニの一種です。体長0.3~0.5㎜程度で、体は白く、見た目は白い粉のように見え、柔らかく短い足がたくさんあります。コナダニが繁殖すると白い粉が集まっているように見えますが、黒い紙の上などに乗せて観察してみると粉が動いていることが見て取れます。
コナダニの発生しやすい時期はいつ?
コナダニは、気温が20~30℃と温暖な時期で、かつ湿度が60~80%の時期に発生しやすいといわれています。成尾さんによると「日本ではちょうど梅雨の時期と初秋に大量発生しやすく、繁殖力が極めて強いのが特徴です。反対に温度が45~50℃では死滅。10℃以下の低温、また湿度が50%以下では繁殖できないとされています」ということです。
コナダニ発生するのはどんな場所?
台所
コナダニが好むのは湿気の多い場所です。台所はコナダニの好む粉類や乾物類などをストックしていて、それらを収納している引き出しや戸棚は風通しが十分でないことが多いものです。もともと湿気の多い台所で気温が上昇するとコナダニの好む条件が整い、一気に大繁殖してしまうこともあります。
和室
他のダニと同様に梅雨時期に和室に大量発生する事もあります。これは畳や障子などが湿気を含みやすいためで、コナダニが大量発生した畳や壁は粉を振りかけたように真っ白になっていることがあります。
「コナダニの発生を防ぐため、空気の入れ換えをしましょう」(成尾さん)
コナダニの好物は?
コナダニの大好物は小麦粉などの粉類、チョコレートなどの菓子類、砂糖や味噌などの調味料、削り節や干しシイタケなどの乾物類、乾燥果実、チーズ、医薬品、ワラなどです。粉類では小麦粉に加えホットケーキミックスも好むそうです。意外なところでは錠剤や粉剤にもコナダニは繁殖します。使っていない古い薬品があればチェックしておくと良いでしょう。
コナダニが人体に及ぼす健康被害とは?
うっかりコナダニが発生した食品や薬品を口にしてしまった場合、人体にはどのような影響があるのでしょうか。
「口腔ダニアナフィラキシー」とも言われる「パンケーキシンドローム」とは、アレルギー物質であるダニや、その死骸やフンが大量に含まれる食品を摂取することで引き起こされる重篤なアレルギー症状のことです。ダニアレルギーを持つ人、特に喘息の人が発症しやすいとそうです。さらに成尾さんは「コナダニを体内に取り込むとシックハウス症候群を助長する恐れもあるんですよ」と話します。
コナダニの発生によって他のダニも増える?
コナダニ自体は人を刺したりすることはありません。しかしコナダニが発生したまま放置すると、コナダニなどの体液を吸い、栄養分にして繁殖するツメダニが大発生することもあるのだとか。
「ツメダニは人間を刺すこともあり、刺されると痛みやかゆみを伴い皮膚炎の原因となることもあります」(成尾さん)
自宅で出来るコナダニ対策は?
何よりコナダニを発生させないのが一番ですが、万が一発生した場合には、ツメダニの大量発生を防ぐためにも早めに対策を取ることが肝心です。
自宅でのコナダニ対策について成尾さんに聞いたところ、自分でできるコナダニ対策として「ダニを寄せ付けない薬剤(忌避剤)を使用する、発生している場所に掃除機をかける、市販のダニ捕りシートなどを使用する」といった方法があるとのこと。
ダニを寄せ付けない薬剤
「コナダニだけでなくダニ全般の対策に効果的なものとしてダニを寄せ付けない薬剤(忌避剤)があります。殺虫成分を使用してないため、小さな子どものいる家庭でも安心して使用できます」(成尾さん)
スプレータイプやシートタイプがあり、気になる場所に使用するだけでダニを寄せ付けない環境を作ることができるそうです。
さらに「食品に発生するコナダニには防ダニ加工を施した食品保存用袋がなどを使用すると便利です」(成尾さん)とのアドバイスも。
掃除機
畳に発生した際には掃除機を使って吸い込み駆除する方法があります。ゆっくり丁寧にかけることがポイントです。掃除の後にはゴミパックもしっかりとビニール袋に入れて口を縛り、破棄するようにしましょう。
業者に依頼する
発生範囲が広く自分では処理しきれない場合は業者に依頼することも選択肢のひとつです。その場合は評判(口コミ)が良く適正価格で保証期間が設定されている業者に依頼するようにしましょう。
コナダニの発生を防ぐために日頃から気をつけたいこと
食品は密閉容器に入れ冷蔵庫へ
食品は密閉できるストッカーに収納し、口が開いたままの袋を置きっぱなしにしないようにしましょう。成尾さんによれば「低温では繁殖しないので開封した粉類は冷蔵庫で保存するのも一案です。また保存場所にたくさん詰め込み過ぎると換気が悪くなるため、常に整理整頓しておくことも大切」なのだそうです。
こまめに換気を
食品をストックしている棚や引き出し、パントリーなどは、梅雨時期でなくともこまめに換気するようにしましょう。台所以外もコナダニの好む高温多湿の場所を作らないよう窓を開けたり、換気扇を使うなどして換気しておくことが大切です。
加えて「台所の水分を放置しない、洗い桶などに水をためたままにしない、湿気の発生しやすいお風呂場やトイレのドアは、他の部屋に湿気が回らないよう、きっちり閉めておくことも予防に繋がります」(成尾さん)
まとめ
コナダニの発生はマンション、戸建てに関係なく、どの家でも起こりうる可能性があります。アレルギーや他のダニの繁殖にも繋がるコナダニの発生繁殖を防ぐためには、今一度自宅の食材の保存方法を見直し、こまめな換気を心掛けることが大切です。コナダニ発生の予防方法や駆除方法を知っておくことはダニ被害を防ぐことにも効果的です。
【取材協力】株式会社UYEK
暮らしを本当の意味で“快適”にするための商品開発を行っており、取り扱い製品は衣類用洗剤、掃除用洗剤、ダニ対策品、加湿器、日用品、化粧品など多岐にわたる。「人」と「地球」に着目し、原材料にこだわった“安心”と“やさしさ”あふれる商品を手がけている。
https://www.uyeki.co.jp/