マンションの「アルコーブ」とは何? 安心感につながるメリットと活用法

マンションの間取りを見ていると、「アルコーブ」という言葉を目にすることも多いでしょう。普段の生活ではあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、このアルコーブには大きなメリットがあります。アルコーブとはどんなものなのか、玄関ポーチとの違いについて解説します。また、アルコーブのメリットと注意点、室内アルコーブの活用方法についてもご紹介しますので参考にしてみてください。

アルコーブとは

アルコープとは「くぼみ」のこと

「アルコーブ」とは、廊下や部屋などにある壁の一部をくぼませて作る独立したスペースのことです。語源は英語の「alcove」で、廊下や居室にある「くぼみ」を意味します。

家のなかにある「くぼみ」というとイメージしにくいかもしれませんが、和室にある床の間もくぼみになっていて、アルコーブの一つだといえます。ほかにも、壁をくぼませてベッドを設置したアルコーブベッドや、ひと休みできるアルコーブベンチなども人気です。

また、在宅ワークが増えたことでアルコーブをワークスペースに使う人も増えています。アルコーブは三方壁に囲まれた空間になるので集中しやすく、落ち着いて仕事ができるという人も多いようです。

マンションアルコープとは

アルコーブとは室内の壁をくぼませて作るスペースだとご紹介しましたが、「マンションアルコーブ」というと少し意味が違ってきます。マンションアルコーブとは、マンション(区分所有建物)住戸のくぼんでいる玄関前スペースを指すことがほとんどです。この場合、アルコーブは玄関より外にあるため、「屋外アルコーブ」ともよばれています。

玄関ポーチとの違いは

門扉があるのが玄関ポーチ

門扉があるかないか

マンションアルコーブは、間取り図を見ると「玄関ポーチ」と似ているので、違いがわからないという人も多いかもしれません。マンションアルコーブと玄関ポーチの違いは、門扉があるかないかです。

玄関ポーチとは、それぞれの住戸の玄関にアプローチする際、独立性を高めることを目的に設置されているスペースです。よって、玄関ポーチには門扉がついていて、プライバシーを守ったり防犯性を高めたりできます。マンションの間取り図をみたときに、アルコーブと書かれている場合は門扉がなく、玄関ポーチと書かれている場合は門扉があると考えていいでしょう。

専用使用権があるかないか

マンションには共用部分と専有部分があり、共用部分はマンションに暮らす人全員が使用できるスペースです。エレベーターや階段、廊下、エントランスなどが共用部分になりますが、マンションアルコーブも玄関ポーチも同じように共用部分として扱われます。

しかし、玄関ポーチが共用部分となると誰でも門扉の中まで入ることができ、防犯性やプライバシーの確保ができません。そのため、玄関ポーチには一般的に「専用使用権」が設定されています。専用使用権とは、特定の所有者が使用できるスペースのことで、管理規約の範囲内であれば私物を置くことができます。

一方、ほとんどのアルコーブでは専用使用権が設定されていません。専用使用権が設定されていないと、マンションの居住者全員に使う権利があるとみなされるので、私物を置いたり独占したりすることがないように注意しましょう。

マンションアルコーブのメリットとデメリット

実際に住むことを考えたときに、アルコーブのあるマンションを選ぶべきかどうか、メリットとデメリットについて考えてみましょう。

マンションアルコーブのメリット

ちょっとした玄関前のくぼみが室内の目隠しになる

マンションアルコーブでは、共用廊下から奥まったところに玄関扉があります。そのため、扉を開けても外部からの視線をさえぎることができます。扉を開け閉めするときは、「室内やリビングが見えてしまうのではないか」と躊躇してしまう人も多いでしょう。アルコーブがなく、廊下に直接玄関が面している場合は、ドアを開けたときに室内が見えてしまいます。しかし、アルコーブがあれば適度な目隠しになり、プライバシーを守ることができます。

また、玄関の鍵の開け閉めもアルコーブのくぼみによって外部から見えません。ドアの開け閉めが見えないということは、空き巣の下見を防ぐなど防犯の面で安心感につながるでしょう。

マンションアルコーブのデメリット

先ほどご紹介したように、マンションアルコーブは原則として専用使用権が設定されません。したがって、アルコーブはマンションに住む全員の共有スペースとして扱われます。そのため、自転車やベビーカーなど私物を置いて物置にすることがないようにしましょう。居住者の通行の妨げになったり、場合によってはトラブルに発展したりする可能性もあります。アルコーブの使用について心配な場合は、管理規約を確認しましょう。

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室内アルコーブの活用方法

アルコーブは独特な雰囲気を生み出す

アルコーブの本来の意味は、室内のくぼみのような独立スペースのことです。ニッチにも似ていますが、ニッチとは壁の1部分をくぼませたもの。アルコーブは床からくぼみができていて、ニッチよりも広いことが多いです。独立した広いスペースであるアルコーブはどんな使い方ができるのか、活用方法についてみていきましょう。

ベッドを置く

アルコーブの代表的な使い方が、ベッドを置くことです。アルコーブベッドといい、ヨーロッパでは一般的です。壁面から奥まっているので、周りからあまり見えず、まるで隠れ家のような雰囲気です。

3方向の壁に囲まれているので、適度な密閉感が心地よく、ベッドを置くのにちょうどいい場所だといえるでしょう。秘密基地のような空間なので、大人だけではなく子どもの遊び場としても人気があります。

ソファを置く

アルコーブにソファを置くのもよくある使い方です。囲まれている感覚が落ち着きを与え、癒しの空間になります。また、大きなソファを使いたいときもアルコーブに置けば、圧迫感が軽減され、リビングを広々と使うことができます。使いたいソファに合わせてアルコーブを作るのもおすすめです。

収納スペースにする

大きなタンスや本棚を部屋に置くと圧迫感がありますが、アルコーブを使った「見せる収納」にすれば開放感が生まれます。アルコーブにオープンラックの収納を設置し、インテリアの一部のように収納してみてはいかがでしょうか。隠したいものは統一されたおしゃれなボックスに入れ、本は高さを揃えて収納します。

このとき、あまり詰め込みすぎず隙間を作ることが大切です。隙間に観葉植物などを飾れば、抜け感が出て広々とした部屋に見せることができます。

デスクを置く

リビングのアルコーブにデスクを置くのもおすすめです。壁に囲まれていて作業に集中できるので、ちょっとした書斎スペースやワークスペースになります。子どもの勉強を見てあげる学習スペースにしてもいいかもしれません。

ほかにも、キッチンの近くのアルコーブをデスク付きの家事スペースにしたり、メイクコーナーとして使ったりもできます。

インテリアを飾る

和室の床の間もそうですが、アルコーブにインテリアを飾ると部屋のアクセントになります。床の間にはよく生花や掛け軸、置物などが飾られていて、部屋全体を上品で華やかな印象にしてくれます。

家族写真、絵画、趣味のアイテムなど、アルコーブほどの広さがあればさまざまなものが飾れます。インテリアにあわせて棚を設置すると空間も無駄になりません。

まとめ

マンションアルコーブ(屋外アルコーブ)は玄関ポーチと似ていますが、門扉や専用使用権の有無が異なります。アルコーブの場合は、私物でスペースを独占しないように注意しましょう。マンションアルコーブであっても、室内アルコーブであっても上手に活用できれば、一般的な住宅とは違う趣のある空間を演出できます。

(最終更新日:2024.04.19)
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