株式会社野村総合研究所の調査によると、2033年には空き家数は2,150万戸、空き家率は30.2%まで上昇すると予測されています。所有者が不明な土地も多く、今まで以上に空き家対策が必要となりますが、2021年現在、空き家の実態はどのようになっているのでしょうか。
マンションの4倍以上。78.1%を占める「戸建て」の空き家
株式会社カチタスが「空き家所有者に関する全国動向調査」を実施。空き家の建物形態を調べたところ、78.1%が「戸建て」という結果に。この割合はマンションの4倍以上に相当し、空き家の大半を戸建てが占めていると分かります。
76.8%の人が「相続登記義務化を知らない」
所有者が不明な土地の発生抑制や解消を目的とし、2021年4月21日に不動産登記法の改正法が国会を通過しました。
この「相続登記義務化」を知っているか調べたところ、76.8%の人が「知らない」と回答。「相続登記義務化」の認知度の低さが浮き彫りになりました。
相続登記義務化とは?
2024年をめどに、相続した土地の一定期限内の登記が義務付けられたり、不動産登記が簡素化されたりする制度です。
正当な理由がないのにも関わらず申請を怠った場合は、10万円以下の過料を科されることになりました。
詳しい内容と背景は下記の記事にて詳しく説明しています。
参考記事:土地の相続が2024年に変わる? 土地登記が義務化、違反すると罰則も
相続登記義務化施行時の対策として、4人に1人が「売却」を選択
「相続登記義務化」が実際に施行されたら、どのような対策をとれば良いのでしょうか。現時点で検討している方法を問うと「まだわからない」が最多で44.8%、「売却をする」が25.5%、「家族で対策を考える」が11.9%、「相続登記をして自分で利用する」が10.2%という結果に。4人に1人が売却を考えていることが分かりました。
まとめ
土地や建物の相続は現金と異なり分割が難しく、相続人が多いと遺産分割協議が成立しなかったり、誰も住む予定がなく相続を望む人がいなかったりといった理由で、登記をしないまま放置されるケースが多々ありました。「相続登記義務化」の施行により、所有者が不明な土地の減少が期待されるとともに、相続人は早い段階で、土地や建物の今後を考える必要があります。いざというときに慌てることがないよう、土地・建物をどのように活用するか考えておきたいものですね。
【調査概要】
「第1回 空き家所有者に関する全国動向調査(2021年)」
調査対象:日本全国の空き家所有者963名
調査方法:インターネット調査
実施期間:2021年7月28〜7月29日
実施機関:株式会社カチタス