「網戸」を玄関に後付けできる⁉ 手軽に家の換気環境を実現

新型コロナウイルスの感染防止の観点からも、室内の換気についての重要性が再認識されています。換気のためには窓を開けるのが一番ですが、蚊や小バエなど、虫の侵入は避けたいですしプライバシーも気になるところ。それらの悩みを解決してくれるツールのひとつ、網戸について、専門家監修のもと、手軽に後付けできる「DIY網戸」についてご紹介します。

換気の必要性

網戸についての紹介の前に、まずはなぜ換気する必要があるのか、その目的や効果、必要性について説明します。

新型コロナウイルスの感染予防のためだけでなく、住宅にとって換気はとても重要です。その理由として「家屋のための除湿」と「住む人の健康維持」の2つが挙げられます。

・家屋のための除湿

調理中の蒸気や入浴時の湯気、人の呼吸などによって家の中は意外と湿気がこもりやすいものです。ましてや、雨天に洗濯ものを部屋干しした場合などはなおさらです。また冬場、締め切ったままの室内は結露が起きやすくなります。結露や湿気をそのままにしておくと、床や壁の腐食に繋がり、家屋や家具の劣化を早める原因になります。大切な住居を守るためにも適度な換気はかかせません。

・住む人の健康維持

室内の二酸化炭素濃度が高まると、倦怠感や頭痛、息苦しさなどを引き起こすといわれています。また、湿度が高い状態はカビの発生やダニの増殖を誘発し、アレルギーや病気の原因にも繋がります。さらに、暖房器具を使用する冬場には、一酸化炭素中毒を引き起こす危険性も含んでいます。深刻な健康被害を引き起こさないためにも、適度な換気を心掛けることはとても重要です。

効率的に換気するポイント

より効率的に換気するためのポイントは「時間と頻度」「2か所の窓を開ける」に注意することです。

・時間と頻度

1時間に5~10分程度、窓を開けて換気を行うのが理想的です。同じ換気でも、一日に1度長時間窓を開けておくよりも、1時間ごとに5分程度を数回行う方が効果的です。

・2か所の窓を開ける

対角線上にある、2か所の窓を開けて空気の通り道を作るのもポイントです。その際、風の流れを確認し、風が入ってくる方の窓は狭く、出ていく方の窓を広く開けるようにすると、短時間でより高い効果が得られます。

窓が複数ある部屋なら対角線上にある窓を開けると効果的に換気できる

もし窓が1か所しかない部屋の場合は、扇風機やサーキュレーターなどを使用するのもひとつの方法です。部屋のドアを開けて、扇風機やサーキュレーターを窓に向けて使用すれば、空気の流れを作り出すことができ、十分な効果が期待できます。

窓が1つしかない部屋の場合、ドアを開け、窓の近くに扇風機やサーキュレータを置くと換気効率が上がる

浴室や洗面所、トイレなどは換気扇を活用

換気扇を利用するのもおすすめです。ドアを開けた状態で換気扇を運転すると、窓のない場所でも換気できます。台所の換気扇は排気量が大きくより効果的。換気扇のある場所からできるだけ離れた場所の窓をあけるとさらに効果がアップします。

窓がない部屋は、入り口付近に扇風機やサーキュレーターを置き、部屋の外に空気を送る。キッチンなどほかの部屋にある換気扇を稼働させると換気の効率が上がる

用途別DIY網戸と取り付け方法

ここからはDIY網戸について具体的にご紹介していきます。ひとくちに「DIY網戸」といっても、さまざまなタイプのものが出回っています。それぞれの用途や設置の手軽さなどを考慮して選ぶと失敗しないでしょう。

玄関、勝手口用

DIY網戸のなかでも需要が高いのが玄関や勝手口用です。最初から網戸が取り付けられていることが多い部屋の窓に比べ、玄関や勝手口には網戸がないケースが多いことが理由です。そのため、玄関・勝手口用として、折戸タイプやアコーディオンタイプのものなど多くの製品が販売されています。なかでも、設置が手軽でDIY初心者でも手軽に取り付けられる『川口技研』の「くるぺた」「アルキング網戸」などが人気です(ホームセンタータイム販売実績に基づく)。

「くるぺた」はネジ、クギ不要。上用レールと下用レールを取り付け場所のサイズに合わせてカットし、粘着テープで貼り付ければ設置完了です。磁石を利用したワンタッチ自動巻き取り式なので、出入りが簡単です。

くるペタ(画像提供:川口技研)

一方「アルキング網戸」は下用レールの高さが3mmと、つまずきにくいバリアフリー構造がおすすめのアルキング網戸。本体着脱可能で外して水洗いができることでも人気です。

アルキング網戸(画像提供:川口技研)
つまずきにくいバリアフリー構造(画像提供:川口技研)

網戸の取り外しが困難な場所・網戸の張り替えが面倒な方用

ベランダのない窓など外側から網戸を取り外すのが困難な窓、防犯用の面格子などが設置されている窓の場合は、室内側から簡単にネットだけを取り外しできる、カートリッジタイプの網戸への交換がおすすめです。

例えば、『セイキ販売株式会社』から販売されている面ファスナー式の「カートリッジ網戸」は、掃除する際、ネットカートリッジの角をつまんで、サッと剥がすだけ。フレーム一体型の網戸と違い、ネット部分だけを取り外せるので、持ち運びやすく手軽に網戸を洗えて清潔に保てます。また、ネットの張り替えも、網戸のフレームを外すことなくネットカートリッジを入れ替えるだけと簡単です。

既存の網戸の枠に設置可能(画像提供:セイキ販売株式会社)
面ファスナーなのではがしやすい(画像提供:セイキ販売株式会社)
浴室などで手軽に洗浄OK(画像提供:セイキ販売株式会社)

ペットのいる家庭用

ペットのいるご家庭向けに、一般的な網戸に比べ、ひっかいても破れにくい網戸も販売されています。例えば、通販サイトなどでも手軽に購入できる『ダイオ化成』の「ペットディフェンス」は、ポリエステル繊維を塩ビコーティングしたもの。網目の部分が溶着されているので、目ズレしにくく破れにくいのが特徴です。既存の網戸のネットを張り替えて使用します。

知っておくと便利! 網戸の張り替え方法

網戸の傷みが気になってはいるものの「わざわざ専門業者に頼むのももったいないし…」と、なかなか手を出せていない人も多いようですが、実はDIYで張り替え可能。手順を知っておくと、季節の変わり目や大掃除の際に便利です。

1.網戸からネットを取り外し、フレームの溝の汚れを除去。

2.フレームよりやや大きくカットしたネットをフレームの上に乗せ、フレームの上下どちらか一辺をクリップで固定します。

3.クリップで固定した反対側の辺から、ローラーを使って、ネットをサッシの溝に押し込んでいきます。

4.あらかじめ、適当な長さにカットしておいた、ネットを押さえるゴムをサッシの溝の上におき、ローラーでおさえながら溝の中に差し込んでいきます。

5.たるみのできないように注意しながら、同様の要領で4辺すべてを仕上げたら、再度ゴムをしっかり押し込みます。

6.余分な(はみ出している)ネット部分をカッターで切りそろえれば完成です。

まとめ

いかがでしたか。住居のためにも、住まう人の健康のためにもこまめな換気は必要不可欠です。とかく掃除が面倒なイメージがある網戸ですが、近年はひとりでも簡単に取り付けでき、手入れが簡単になる製品や防虫効果が期待できる製品などバリエーションが豊富になっています。この夏DIYで網戸の張り替えに挑戦して、気分も空気も一新してみませんか。

【取材協力】
ホームセンタータイム
岡山県に本社を構える『株式会社タイム』。中国、四国地方を中心に多数のホームセンターやペットシップなどを展開。なかには、DIYを身近に感じてもらうためのワークショップを実施する店舗もある。
https://www.time-all.co.jp/time/time_top.html

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