コロナ禍で海や自然が身近にある街に注目が集まりました。その一つが東京湾沿いに「東京」駅と千葉方面を結ぶJR京葉線(以下、京葉線)沿線です。なかでも「東京」駅~「海浜幕張」駅間は30分程度で行けるフットワークの良さからマンションの売れ行きも好調。今回は京葉線沿線の魅力とおすすめの街を紹介します。
人気の理由は住宅価格の値ごろ感
京葉線は、1990年に「東京」駅~「新木場」駅間が開通し「蘇我」駅までの全線が開通した比較的新しい鉄道です。もともと京浜工業地帯の貨物輸送用に計画されたものを産業構造の変化で旅客列車も運行するように変更されました。「新木場」「市川塩浜」「二俣新町」といった駅は、周辺に工場や倉庫が集積し、現在も首都圏の産業を支える場所となっています。
産業が中心となった街がある一方で、京葉線では、東京湾の自然を生かした街づくりが進む街もあります。77万平方メートル超の広さを誇る葛西臨海公園のある「葛西臨海公園」駅もその一つ。
葛西沖開発土地区画整理事業の一環として整備され、眼前に東京湾が広がる開放的な公園で、無料で利用できます。鳥類園や葛西臨海水族園、ダイヤと花の大観覧車などの有料の施設もあり、休日は多くの家族連れでにぎわいます。また、隣の「舞浜」駅は、東京ディズニーリゾート?の最寄り駅として多くの人が利用しています。
京葉線は、東京都から浦安市、市川市、船橋市、習志野市、千葉市を通っていて、街の表情もさまざまです。沿線の街の多くは、東京湾の埋め立てによって誕生し、都市計画に沿った開発が行われています。
京葉線沿線が人気を集めている理由として、住宅価格の値ごろ感が挙げられます。「検見川浜」駅や「稲毛海岸」駅の新築分譲マンションは、3LDKタイプが3,000万円台前半から購入が可能です。予算やライフスタイルに合わせて街を選べるのは、京葉線沿線で住まいを探す魅力と言えるでしょう。幕張新都心の主要駅である「海浜幕張」駅から「東京」駅へは30分程度でアクセスでき、通勤にも便利です。
おすすめの街1:海浜幕張/「職・住・学・遊」の複合機能が集積する街
京葉線沿線のおすすめの街として第一に挙げたいのが「海浜幕張」駅です。
幕張新都心として開発が進められた街づくりの特徴は、先進的な都市システムの導入や環境デザインマニュアルによって調和を取りながら都市環境が整備されているところ。ガス・電力による地域冷暖房システムや下水処理水を高度処理して公園の散水やトイレ用水に再利用する中水道システムなどが整備されています。このほかにも電線類や上水道を埋設した共同溝、公園の地下を有効活用した地下駐車場なども整備されています。
街は地区ごとにゾーニングされており、にぎわいと触れ合いのスペース「タウンセンター地区」、次世代産業を創出するビジネスエリア「業務研究地区」、新しい文化を創造する学究のステージ「文教地区」、「公園緑地地区」などに区分けされています。
そのなかの「住宅地区」には、開発が終盤を迎えている「幕張ベイタウン」と新たに街開きが始まった「幕張ベイパーク(若葉住宅地区)」があります。「海浜幕張」駅と「住宅地区」の間には、「公園緑地地区」が配置されており、公園を抜けて駅と住宅を往来するのは、「海浜幕張」ならではのライフスタイルと言えるでしょう。
「海浜幕張」の暮らしの魅力は、都市の利便性と自然が身近にあることに加え、ビジネスエリアとも近いことです。幕張新都心の歴史は、1989年日本最大級のコンベンションセンターであり、さまざまなイベント会場ともなっている幕張メッセのオープンとともにスタート。幕張テクノガーデンなどの業務研究ビルや教育・研究施設や商業施設が誘致され、幕張ベイタウン、幕張ベイパーク(若葉住宅地区)の住宅整備で、「職・住・学・遊」の複合機能が集積する街として発展しています。
幕張新都心の業務研究地区には約4万人が就業しています。本社機能のあるオフィスも多く、職住近接を実現している街でもあります。「海浜幕張」駅周辺には、ペリエ海浜幕張、スーク海浜幕張、プレナ幕張、三井アウトレットパーク幕張やイオンモール幕張新都心といった商業施設も充実しています。食料品や日用品だけでなく、家具や衣料などの買い物も街で完結できるでしょう。
さらに魅力的なのが、豊富なレジャースポットです。
幕張新都心の中心に位置する幕張海浜公園は、緑と海と街の融合を掲げる開園面積68.4ヘクタールもの広域公園。大芝生広場や花時計、日本庭園「見浜園」、ZOZOマリンスタジアムなどで構成され、千葉市と千葉県が管理運営しています。マウンテンバイクのコースもあり、人工海浜である幕張の浜が南側に広がります。家族で楽しめるレジャースポットが身近に豊富にあるのは「海浜幕張」で暮らすメリットでしょう。
住まいについては1995年に街開きが始まった「幕張ベイタウン」と2019年に街開きが行われた「幕張ベイパーク」とで、街の様子が随分異なります。まずは「幕張ベイタウン」を紹介します。
幕張ベイタウンの特徴
「幕張ベイタウン」の街づくりの特徴は、マンションを街路沿いに配列した沿道型建築です。建物の低層部には、商店や郵便局などの生活関連施設を配置しています。建物には統一感を持たせつつも色鮮やかで個性的なデザインを採用。御影石を配したプロムナードや街路樹の緑など、街路と建物で美しい街並みを創造しています。
街区に建てられたマンションの特徴は、中央にパティオを設けたヨーロッパスタイルの住宅が中心であること。街区ごとに造りが異なり街並みが単調でないため、歩きながら景色の移り変わりを楽しめます。
官民一体となった個性的な街づくりは、教育環境にも見られます。オープンスクールの先駆けとなった小学校をはじめ、生徒の自主性を大切にして科目ごとに教室を移動する教科センター方式によって専門的で多様な学習活動を支援する中学校などが開校しています。また、公民館、図書館分館、子どもルームで構成されている「幕張ベイタウン・コア」は、設計・企画段階から住民が参画し、第10回公共建築賞優秀賞を受賞しています。
住宅街区内の移動はアップダウンのないフラットなアプローチで、歩道も整備されており子育て層や高齢者も歩きやすいでしょう。街なかのあちらこちらに公園や学校が配置されているので、広々として居心地良い住環境になっているのも魅力的です。駅からの距離を感じさせない美しい風景が「幕張ベイタウン」にはあります。
幕張ベイパークの特徴
「幕張ベイタウン」に続いて新しく開発が進んでいるのは「幕張ベイパーク」です。京葉線の北側に位置する総開発面積約17万平方メートル、計画人口約1万のスケールで計画され、すでに2街区のマンションが販売をスタートし1街区は完売・入居済み。売れ行きも堅調です。
米国オレゴン州のポートランドの街づくりをイメージし、地区の中央に位置する若葉3丁目公園を取り囲むように街を設計。住むだけでなく買い物やレジャーなど多様な機能を併せ持つにぎわいある街づくりを目指しています。「幕張ベイタウン」と異なり、住宅街区はタワーマンションの建設が中心。スーパーマーケット・イオンスタイル幕張ベイパークやカフェ、飲食店、コンビニエンスストアなど多彩な商業施設がすでにオープンしています。
ワークスペースの用意されたTENT幕張や、街のコミュニティ拠点である幕張ベイパーク クロスポート、カフェ、スタジオ、フリースペースなどが併設された幕張ネイバーフッドなど、地域のコミュニティーを支える施設も整っています。街区内には、またサッカー・フットサル・テニスを中心としたスポーツ施設ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREAもあります。街を歩くと、新しい街区ならではの活気を感じられます。「幕張ベイタウン」と同様に多世代が暮らしやすい街へと成長していくことが期待できそうです。
幕張ベイタウンと幕張ベイパーク、どっちを選ぶ?
「幕張ベイタウン」は、開発がほとんど終盤に差し掛かっており、中古マンションの流通が中心。千葉県が地主となって土地を貸し出す賃借権の分譲が中心で地代がかかることもあり、80平方メートル以上のマンションでも3,000万円以内で買える物件もあります。広くてリーズナブルなマンションを探している人には、選択肢が豊富です。
一方「幕張ベイパーク」は新築の超高層タワーレジデンスが中心。投資目的の転売を防ぐため、買い戻し特約を付けることが条件になっているため中古物件の流通量は多くありません。新しい街での眺望生活を選ぶなら「幕張ベイパーク」、成熟した街でのゆったりした暮らしを求めるなら「幕張ベイタウン」がおすすめです。
おすすめの街2:南船橋/ららぽーとTOKYO-BAYなど商業施設が充実の街
京葉線沿線で2つ目におすすめしたい街が「南船橋」駅です。「南船橋」の魅力は大型商業施設が集積する生活利便性の高さです。「南船橋」駅周辺にはららぽーとTOKYO-BAY、IKEA Tokyo-Bay、ビビット南船橋といった商業施設が立地します。
ららぽーとTOKYO-BAYだけでも約440もの店舗が入り、TOHOシネマズららぽーと船橋などのレジャースポットもそろっています。家具や雑貨などの品ぞろえが豊富なIKEA Tokyo-Bayも「南船橋」駅のすぐ近くにあり、暮らしに関わる買い物はホームタウンで完結することが可能です。
子どもたちが遊べる自然が身近にあるのも「南船橋」の魅力です。野生動物を観察できる鳥獣保護区である谷津干潟が近くにあり、谷津干潟自然観察センターからは谷津干潟の水鳥などを望遠鏡で観察することもできます。潮干狩りを楽しめるふなばし三番瀬海浜公園も生活圏。街なかには遊具のある公園も点在し、子育て環境が整っています。
「南船橋」の街の風景は、この20年間で大きく変化しています。2002年には駅前の人工スキー場が閉鎖され、跡地には大規模マンションが建設されました。2016年には船橋オートレース場が廃止に。跡地には物流施設の三井不動産ロジスティクスパーク船橋(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)が開発され、緑地空間を一体で醸成。通年で利用できるアイススケートリンクも開業しています。
「南船橋」の住宅はマンション分譲が中心です。街の整備が進んでいることや3LDKタイプの新築マンションが4,000万円台で購入できる値ごろ感から、売れ行きは好調で早期に完売しています。大規模マンションの供給が多かったこともあり、中古流通も活発です。中古流通価格は上昇し、築10年超でも3,000万円台で購入できるマンションは限られています。
とはいえ、「東京」駅まで20分台でアクセスできる場所で、買い物やレジャーに困らないのは、共働き夫婦にとっては大きな魅力。子育てしながら働くファミリーにおすすめです。
おすすめの街3:新浦安/海と自然と美しい街並み、広い住まいがスタンダード
3つ目のおすすめの街は、「新浦安」です。「新浦安」の魅力は、「東京」駅への近さと海と自然を身近に感じられる美しい街づくりです。「新浦安」駅から「東京」駅へは、20分以内にアクセス可能。住宅は、バス便エリアの供給が中心ですが、街なかのバス網が充実しており「新浦安」駅への往来もしやすいでしょう。フラットな土地なので自転車や徒歩の移動もスムーズです。
「新浦安」は、1980年代以降に開発が始まった比較的新しい街です。景観に配慮した住宅を中心とした街づくりが進められ、電柱などが少ない美しい街並みが形成されています。
「新浦安」の街をめぐると、景観の美しさに圧倒されます。なかでも「浦安市総合公園」「高州海浜公園」などの公園は、海と空が広がりバーベキュー場や釣り場もあるなどレジャーも楽しめるスポット。こうした場に、歩いて行けるのは「新浦安」に住む大きな魅力でしょう。
「就」「住」「学」「遊」の多彩な機能の融合した複合機能都市を目指して街づくりは進められてきましたが、街づくりから40年近く経過し、すでに完成形に近づいています。「新浦安」駅周辺には、「イオンスタイル新浦安」などの商業施設があるほか、街なかにも「ニューコースト新浦安」や「マリナガーデン新浦安」といったショッピングモールがあり、スーパーや家電量販店、ドラッグストアなど買い物施設がそろっています。
高速道路とも離れているので、道路が広いのに交通量がさほど多くなく、静かな住環境であることも「新浦安」の暮らしの良さです。多くの街区には地区計画が定められ、専有面積が90平方メートルを超える広い間取りのマンションや戸建ての供給が中心です。子どものいるファミリー層が多いのも「新浦安」の傾向と言えます。
かつては90平方メートル台の住まいが4,000万円台で買えるエリアでしたが、良好な住環境と「東京」駅など都心アクセスの良さから、ここ数年で注目度が上昇。新築マンションは、80平方メートル台で5000万円を超える価格帯の供給となっています。
100平方メートルを超えるゆとりある専有面積の中古マンションのストックが豊富なのも「新浦安」で住まいを探すメリットです。100平方メートル超の広さでも5000万円台から流通しているので、広さと住環境を重視している人にはおすすめです。
コスパの高い暮らしを実現でき、将来性の高さも魅力
京葉線沿線のおすすめの街を3つ紹介しましたが、どの街も身近に海や公園があり、商業施設も充実しています。それでいて、都心へのアクセス利便性が高く、価格はリーズナブルです。「海浜幕張」では新築タワーレジデンスの3LDKが、住戸によっては3,000万円台で購入可能です。東京都心の湾岸エリアでは、ある程度予算がないとかなわない暮らしが実現できます。
加えて、アクセス面での整備が進められている点にも注目です。
京葉線「新習志野」駅~「海浜幕張」駅間では、2023年の開業を目指して新駅が建設中。新駅の近くには、大型商業モール「イオンモール幕張新都心」があり、沿線の利便性はさらに高まりそうです。
また、既存の鉄道ネットワークを活用し、羽田空港へのダイレクトアクセスを実現する「羽田空港アクセス線(仮称)」の計画が推進されています。2021年1月には「羽田空港新駅(仮称)」と「東京貨物ターミナル」間の約5キロメートルが鉄道事業許可を受けました。実現すれば、「東京」駅から羽田空港へのアクセス性はアップします。
留意すべきポイントはどこ?
魅力の多い京葉線戦線の暮らしですが、留意すべきポイントは、多くが東京湾の埋め立て地であること。東日本大震災では、地盤の液状化などによって水道管や下水管などのライフラインが止まり、不便な生活を余儀なくされた地域もありました。
計画的な街づくりにより電柱がないなど、京葉線沿線は防災面で優れている点もあります。また、東日本大震災で被災した地域では、地盤改良事業によって液状化対策を実施しているところもあります。自治体ごとに防災計画があるので、街選びの際には事前に確認することをおすすめします。
京葉線沿線にはレジャースポットが多く、お出かけの選択肢も豊富にあることも魅力です。都心へのアクセスとコスパが良好で、リゾートライクな京葉線沿線の街。ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。
(最終更新日:2021.10.22)