新型コロナウィルス感染拡大防止のための緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に指定された地域では、旅行や飲食店での食事が思うようにできず、ストレスがたまっているという声を聞きます。そんななか、ルーフバルコニーがある部屋にお住まいの方のなかには、「せめてルーフバルコニーでのバーベキューを楽しみたい」という声があるようです。
この記事ではルーフバルコニーでのバーベキューは可能なのかどうか、詳しく解説します。
ルーフバルコニーとは
ルーフバルコニーとは、一つ下の階の屋根を利用したバルコニーで、ルーフテラスとも呼ばれます。通常のバルコニーより広く、テーブルや椅子を置いて数人で屋外感覚を楽しめる点が特徴です。屋根がないため開放的で、屋外でくつろぐ以外にも洗濯物を広げて干す、ガーデニングを楽しむ、子どもの遊び場にするなどの用途もあります。
そのような楽しみ方ができるルーフバルコニーですが、きれいな状態を維持するためには定期的な掃除が必須です。管理を怠ると雨漏りに発展する可能性もあります。また、天気によっては十分に楽しめないこともあるでしょう。
ベランダ・バルコニーは共用部分
戸建てであれば、ルーフバルコニーは基本的に自由な使い方が可能です。ただし、マンションのような区分所有建物の場合、管理規約による制限があります。「分譲マンションは個人の所有物だから制限を受けないのでは」と考える方がいるかもしれません。しかし、分譲マンションであっても賃貸物件と同様に制限があり、自由に使えるわけではありません。
マンションのような区分所有建物は、専有部分と共用部分に分けられます。マンションのベランダ・バルコニーは共用部分であり、管理規約などにより利用が制限されています。
なぜなら、ベランダやバルコニーは火事などの非常事態時には避難経路となり、ほかの人が利用するケースがあるためです。避難時に備え、バルコニーの仕切りは人の手で壊せる材料が使われており、脱出用のはしごなども備えられています。ルーフバルコニーであってもこれらの制限は変わりません。
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ベランダ・バルコニーは専用使用部分
さらに、ベランダ・バルコニーは共用部分の中でも、「専用使用部分」に該当する場所です。そのため、通常の共用部分とは異なるルールがあります。
専用使用部分とは
専用使用部分とは、特定の人が共用部分や敷地の一部を独占的に使用できる部分のことです。たとえば、ルーフバルコニーを含むベランダやバルコニー、1階の専用庭などが該当します。共用部分でありながら、特定の使用者しか利用できないのが特徴です。
とはいえ、専用使用部分も共用部分の一部です。マンションにもよりますが、管理規約や使用細則によって以下のような制限が設けられているケースがあります。
大きな物は置けない
バルコニーに物置やサンルームなどの設置をすると、非常時に通行の妨げになります。また、バルコニーに大きな物を置くと美観を損ねてしまい、建物の資産価値にも影響してしまいます。
以上の理由から、大きな物の設置は禁止されている場合がほとんどです。
破損や落下を防ぐ
大きく重量がある物をバルコニーに置くと、バルコニーに負担がかかり、バルコニーの破損や崩落の原因になります。重量物として挙げられるのは、上記で触れた物置や家庭菜園の土などです。
また、バルコニーから物を落下させないように配慮する必要もあります。手すりよりも背が高い鉢植えやアンテナなども管理規約で制限されている場合があるでしょう。手すりより低い鉢であっても、手すりに鉢を引っ掛けるような場合は禁止されているケースが少なくありません。
小さな人工芝や装飾用のタイルは認められるケースが高いです。ただし、原状回復ができるように設置しましょう。また、排水溝を詰まらせると階下の人に迷惑をかけてしまいます。そのため、排水溝は塞がないようにし、きれいに掃除しましょう。
専用使用料がかかることも
専用使用部分であるマンションのルーフバルコニーや1階の専用庭の利用は、専用使用料がかかることが一般的です。
賃貸マンションの場合には家賃や管理費、分譲マンションの場合は物件購入費・管理費・修繕積立金がかかりますが、専用使用料はこれらの費用とは別に支払う必要があります。
ルーフバルコニーでバーベキューはできるのか
ルーフバルコニーは人が集まりやすく、開放感があり、手軽にバーベキューをしやすい空間です。そのため、ルーフバルコニーでバーベキューを楽しみたいと思う人も多いでしょう。
ルーフバルコニーでのバーベキューは、消防法や区分所有法などの法律で一律に禁止されているわけではありません。しかし、バーベキューが可能かどうかはマンションの管理規約で定められているため、確認しましょう。
「火気禁止」の管理規約がある場合
管理規約でルーフバルコニーでのバーベキューが禁止されている場合があります。管理規約の条文としては、「敷地内での焚き火、花火、屋外調理(バーベキュー等)による火気使用の禁止」などと定められているケースです。
火気使用禁止の条文がある場合は、焚き火、花火と同様にバーベキューはできません。バーベキューは住民同士のトラブルになりやすいため、禁止しているマンションが近年増えているようです。
楽しいイベントはマナーを守ってこそ
バーベキューを禁止していなくても、バーベキュー開催にルールを設けているマンションは少なくありません。具体的には、大声などの騒音や振動、悪臭・煤煙の発生の禁止などが定められている場合があります。また、事前の申請が必要なこともあるため、そのような場合には、開催前に管理組合へ連絡し、所定の手続きをすれば、バーベキューの開催ができるでしょう。
ただし、管理規約上で問題がない場合でも、ルーフバルコニーでのバーベキューは近隣とのトラブルになりがちな行為です。そのため、近隣の人に配慮して行いましょう。開催前にはできるだけ近隣の方に伝え事前に同意を得ておくとトラブル予防になります。
バーベキューは煙や匂いが周辺に広がってしまいます。煙対策として無煙ロースターを使えば、煙の発生は抑えられます。
また、人が集まると大声で話しがちになります。あらかじめ参加者には、近隣の人に配慮し大声にならないよう伝えましょう。
しかし、お酒を飲むとどうしても気持ちが大きくなって、問題行動を起こしてしまうことがあります。カラオケなどの常識を欠いた迷惑行為や近隣に危険がおよぶような行為、建物を損傷させるような行為は絶対に止めましょう。
これらの行為によって近隣とのトラブルが生じた場合は、区分所有法第6条に定められている「共同の利益に反する行為の禁止」違反となる可能性があり、ペナルティを受けることもありえます。
まとめ
ルーフバルコニーでのバーベキューは、気軽でとても楽しいイベントです。しかし、騒音や煙で迷惑をかける可能性があるため、近隣の人に配慮をした上で、マナーを守って楽しむことが大切です。
管理規約でルーフバルコニーでのバーベキューが禁止されている場合、バーベキューは潔くあきらめ、別の場所で行いましょう。
(最終更新日:2024.04.19)