時給2,000円以上なら「扶養を外れてもいい」と考える人の意見とは? 扶養枠と時給について調査

働き方改革が叫ばれ始めた矢先にコロナ禍が加わり、働く私たちの意識は一気に変わってきています。とくに「働く主婦・主夫」の方は扶養枠があることで、働きたいと思っても制限している人もいます。実際は所得税や保険料が優遇されるなどメリットが多い「扶養枠」という制度を、どの程度意識しながら働いているのでしょうか。

2021年の働く主婦は扶養枠による収入制限を「気にしない」人が4割超え

しゅふJOB総研が「扶養枠と時給」をテーマとして、働く主婦・主夫層にアンケート調査を実施。2021年の、自身の収入上限に関する希望を聞いたところ、「年収103万円(配偶者控除や夫の家族手当支給枠内)以内」が31%、「年収130万円や月収8万8,000円(社会保険の扶養内)以内」が17.4%、「年収150万円(配偶者特別控除枠内)以内」が5.5%という結果に。103万~150万円の扶養枠内を希望する人が過半数を占めた一方で、40.8%の人が「収入制限は気にしない」と回答しました。

出典:しゅふJOB総合研究所「扶養枠と時給に関するアンケート」

時給に不公平感がある人の方が、収入上限を気にせずに働く傾向

別集計した調査で、時間あたりの賃金(時間給)に換算して考えた場合、過去もしくは現在の仕事について不公平だと感じることはあるか聞いたところ、69.3%の人が「不公平感がある」と回答しています。
そこで、時給に不公平を感じたことが「ある」人と「ない」人に分けてクロス集計をしてみたところ、「不公平を感じたことがある」人のうち「収入制限を気にせず働きたい」と考えている人は43.8%で、「不公平を感じたことがない」人の33.8%と比べて比率が高くなりました。動機がポジティブかネガティブかは人により異なるかもしれませんが、時給に対して不公平を感じている人の方が、制限を設けずより多くの収入を得ようとする意欲が高くなるという傾向があるようです。

出典:しゅふJOB総合研究所「扶養枠と時給に関するアンケート」

時給換算で2,000円以上の仕事であれば「扶養枠を外して働く」が89%

では、時給換算でいくらくらいの仕事であれば、扶養枠を外して働くことを選ぶのでしょうか。調査の結果、最も多かったのは「1,500円」以上で24.6%でした。1,500円に満たなくても扶養枠を外して働くと回答した人を合わせると、過半数の人が「1,500円以上の時給であれば扶養を外すと回答しています。時給を「2,000円以上」まで引き上げれば89%と約9割にもおよびます。

出典:しゅふJOB総合研究所「扶養枠と時給に関するアンケート」

扶養の有無を問わず働きたい人と、無理に働く必要がない人に二分

最後に、「いくらくらいの仕事であれば扶養枠を外すか」について、扶養枠を外す時給ラインの金額ごとに、その理由を聞きました。

「1,000円未満でも扶養枠を外して働く」と回答した人の理由は

・働くことが好きだから(50代:パート/アルバイト)
・やりたい仕事内容であれば(40代:今は働いていない)
・仕事内容、自分の環境に合わせられる仕事であれば扶養枠にはこだわらない(50代:今は働いていない)

と時給よりも遣り甲斐や仕事内容などを優先している人や

・働けるうちは働きたい。このあとに備えたい(60代:今は働いていない)
・収入がないと将来が不安(40代:その他の働き方)
・仕事があるだけありがたいので(50代:SOHO/在宅ワーク)

時給を問わず少しでも多く働きたい人の声が挙がりました。

「1,000~2,000円なら扶養枠を外して働く」と回答した人の、扶養枠を外す時給ラインと理由を問うと

【時給1,100円以上】
・170万円ほどの年収だとフルタイム、社保だと得をしてるように思えないが、それでも働かないと家計的に厳しいため(30代:パート/アルバイト)

【時給1,300円以上】
・5時間以上働きたいから(40代:今は働いていない)

【時給1,400円以上】
・派遣の場合は時給が高いことが多いですが、たくさん働くなら、1日に1万円以上稼げるところがよいなと思ったからです(30代:フリー/自営業)
・フルはちょっと厳しいので「時短だとこのぐらいほしい」と思う希望です(40代:派遣社員)

【時給1,500円以上】
・扶養を外すなら、ある程度の収入でないとマイナスになるので(50代:派遣社員)
・社会保険など、給料から引かれる分を差し引いてマイナスにならないようにするため(40代:派遣社員)
・1,500円以下の時給で扶養枠を外すにはかなりの労働時間が必要だから(50代:パート/アルバイト)
・安い給料で扶養枠を超えたくない(60代:パート/アルバイト)
・非正規雇用でも家賃を払える生活が出来るから(50代:契約社員)
・社会保険料などを引いた手取りで20万円は欲しいから(30代:パート/アルバイト)

【時給1,800円以上】
・週3~4のフルタイムで働きたいため(50代:パート/アルバイト)
・枠を外すと家事や子供と関わる時間が大幅に減少することが考えられるが、それでもこれだけの時給で働かせてもらえば、自分は頑張っていると思うことがきっと出来ると思うから(40代:契約社員)

【時給2,000円以上】
・それぐらい収入があれば、扶養枠から外れても、主人も納得してくれそうなので(40代:今は働いていない)
・短時間で稼げないと家事や育児の時間が取れないので時給は高いほど良い(40代:パート/アルバイト)

といった声が挙がりました。

「2,000円以上でも扶養枠内に収めて働く」と回答した人の理由は

・家計が苦しいわけではないので、時間にゆとりを持って暮らしたい(50代:パート/アルバイト)
・50代をすぎたので、趣味にも時間を使いたい。無理をする時期は過ぎたから(50代:今は働いていない)
・自分の時間が欲しいから最小限しか働きたくない(40代:パート/アルバイト)

といった、収入よりも自分の時間を大切にしている人が多く

・まずは、ブランクからの社会復帰を目指しているため。子どもをベースに働きたい。それに慣れることができたら、考えていきたいと思う(30代:今は働いていない)
・時給が高い=短時間労働でいいことに魅力を感じる。特に子育て中なので時間の融通がきくことが魅力(30代:パート/アルバイト)

短時間集中で効率よく稼ぎたいという声もありました。

・年齢が若ければ扶養を外れてもいいが、あと数年だけ社会保険を払うことにメリットを感じない(50代:派遣社員)
・夫の健保組合の制度が良いから。フルタイムで働く体力と気力がない(50代:パート/アルバイト)
・長期での採用ならともかく「今年は扶養を外れて来年は仕事が更新されなかったからまた扶養に入れてもらう」というのは配偶者や配偶者の職場にも迷惑だし自分も面倒なので(40代:今は働いていない)

など、現状を維持したいという声も多く挙がっています。

まとめ

今回の調査により、働き手に支払われる時給相場の平均が1,500円になれば過半数が、2,000円になれば9割の人が自ずと扶養枠を外すことが予測できます。しゅふJOB総研の研究顧問である川上敬太郎氏は「最低賃金を一気に引き上げてしまうと様々な負の影響も想定されるため慎重な議論が必要」としつつも、「時給1,500円や2,000円という数字は、望ましい賃金のあり方を考える上で参考となるラインなのではないか」と分析しています。賃金の在り方により、今後は扶養枠に捉われない働き方が浸透するのではないでしょうか。

【調査概要】
「扶養枠と時給に関するアンケート」
調査対象:求人サイト『しゅふJOBパート』登録者655名
調査方法:インターネットリサーチ(無記名式)
実施期間:2021年3月24日~2021年3月31日
実施機関:株式会社ビースタイル ホールディングス

ニュース提供元:PRTIMES
情報提供元:しゅふJOB総研

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