冬場、冷え込む夜に活躍したフカフカの羽毛布団ですが、暖かくなってくると少し寝苦しく感じることも…。そこで迷いがちなのが、冬用の羽毛布団をしまうタイミング。今回は、「羽毛布団って、いつ出して、いつしまうべき?」という疑問を解消するために、羽毛布団との季節ごとの適切な付き合い方を紹介します。
そもそも羽毛布団に「冬用」「夏用」の区別はある?
総務省統計局の調査によると、ルームエアコンの普及率の全国平均は90パーセント。ほとんどの世帯にエアコンやストーブなどの空調設備が備え付けられ、屋内では1年中快適に過ごせるようになりました。
夜間も快適に過ごせるようになったため、寝具の衣替えのタイミングを計りかねている人も多いのではないでしょうか。そもそも年中同じ布団を使っているという人もいると思います。まずは羽毛布団の種類による違いを確認しておきましょう。
【羽毛布団の種類】
・冬本番用の「本掛け」
冬本番に活躍する羽毛布団で、店舗では「本掛け」や「厚め」などと呼ばれて販売されています。
・春秋用の「合掛け」
春秋用の羽毛布団は「合掛け」と呼ばれ、「本掛け」よりもやや薄く、「少し肌寒いけれど、本掛けでは寝苦しい季節」に活躍します。
・夏用の「肌掛け」
合掛けよりもさらに薄く、軽やかな使い心地です。厚さも本掛けよりは明らかに薄いため、一瞥して冬用の布団ではないとわかります。「ダウンケット」と呼ばれることも。
自宅の羽毛布団がどのタイプがわからなければ、重さで判断
自宅の布団の重さがわからないときは、布団を抱えたまま体重計に乗って重さを確認してみましょう。羽毛布団を持って計った体重から、羽毛布団を持たずに計測した体重を差し引くと、羽毛布団の重さがわかります。
それぞれの羽毛布団の羽毛充填量はこちらです。実際には「羽毛布団全体の重さ」=「羽毛充填量」ではないため、羽毛ふとん側分として800〜1,000グラム程度を差し引くとよいでしょう。
いつ、どの羽毛布団を用意する? 温度別最適羽毛布団
羽毛布団の違いがわかったら、それぞれの羽毛布団を出す室温の目安をチェックしておきましょう。寝室に温度計がない場合は、快適な睡眠のために設置すると良いでしょう。
・室温15度以下:本掛け
一般的に室温が15度を下回ったら本掛けを用意します。本掛け1枚でも寒いときは合掛けも併用しましょう。室温が10度を下回ったら、毛布や合掛けをプラスするとよいとされています。ただ絶対的な基準ではないので、自身の感じ方も大事にしてください。関東圏ではおよそ11月頃から本掛け布団を準備しておくとよいでしょう。
・室温15度から25度:合掛け
室温15度から25度の間は、合掛け1枚で快適に眠れるはずです。冬から春に移り変わる季節に、本掛けでは寝苦しいと感じたときが合掛けへの衣替えサイン。合掛け布団に衣替えをしたタイミングで、本掛け布団はお手入れをしてしまっておきましょう。
・室温25度以上:肌掛け
室温が25度以上になったら、合掛けから肌掛けに取り替えましょう。肌掛けがない場合はタオルケットでも問題ありません。肌掛けは1年のうち使用日数が少なく、使用していない期間のほうが長いため、取り出したときは念入りにケアをしてましょう。
ここでは東京都の2020年の月別平均最低気温を参考に、最適な羽毛布団を考えてみましょう(冷暖房を利用する場合はこの限りではありません)。
上記は外気温のため、室温のほうが数度高いと考えられます。あくまで目安となりますが、11~4月頃までは本掛けが適していそうです。春先や晩秋などには本掛けまたは合掛けを、初夏や初秋には肌掛けまたは合い掛け、夏は肌掛けという具合に、季節の変わり目で気温が変化しやすい時期は、その日の気温に応じて使い分けると快適に過ごせそうです。
冷暖房を睡眠中も稼働させていて、常に24〜25度程度の快適な室温をキープしている場合は、年間を通して合掛け布団1枚を使い続けても良いかもしれませんね。
快適さは温度だけでなく、湿度も関係する
快適な睡眠のための寝床内温湿度は、温度33度・湿度50パーセントといわれています。湿度が上がると蒸れて不快感が増えます。特に汗かきや暑がりの人は、温度だけでなく湿度の状態を確認しながら、寝具の厚さを選ぶことが大切です。
湿度の調節は羽毛布団生地の通気性が大きく影響します。ポリエステルが入った生地のなかには通気性が悪く蒸れやすいものもありますので、注意してください。
羽毛布団をしまうとき、出すときの注意点
羽毛布団をしまうとき、出すときの注意点をチェックしておきましょう。まったくお手入れをせずに羽毛布団をしまったり、出したりすると羽毛布団本来の弾力性が失われたり、虫害が発生したりと、羽毛布団の寿命を縮めることになります。また羽毛布団の快適性が失われますので、お手入れを忘れないようにしましょう。
羽毛布団をしまうときのお手入れと保存方法
羽毛布団をしまうときは、布団カバーを取り外して羽毛布団をクリーニングに出したあと、羽毛布団を購入したときの収納袋にしまいます。
クリーニングに出さない場合は、布団カバーを付けたまま天気の良い日中に、裏表1時間ずつ天日干しましょう。干す理由は羽毛布団にたまった湿気を逃がすため。天日干しできない場合、あるいは大気中のPM2.5やアレルゲンなどの影響を避けるには、布団乾燥機の使用がおすすめです。日当たりの良い室内で部屋干しするのも良いでしょう。
湿気がこもったまま収納すると、羽毛が湿気を吸って弾力を失います。クリーニング後や天日干し後は、乾燥している押し入れやクローゼットに入れておきましょう。湿気が気になるようなら除湿剤を使っても良いですね。
羽毛布団を出したときのお手入れ
しまっておいた羽毛布団を取り出したときは、天日干しで湿気を逃がしましょう。しまうときと同様に片面1時間ずつ天日にさらせば、ふわっとした弾力を取り戻します。羽毛布団についた押し入れの匂いなどが気になるときは、羽毛布団の中の空気を嫌なにおいごと押し出します。できるだけ羽毛布団を小さく畳んで、上から体重をかけることで中の空気が押し出され布団の中の空気が入れ替わります。
まとめ
羽毛布団を室温に応じて使い分けることは、快適な眠りへの近道の一つです。暑いのに本掛けを使っていたり、寒いのに合掛けだけで我慢したりしている人は、ぜひ季節に応じた布団の衣替えを行いましょう。
最適な羽毛布団の種類は、住環境や体質などによっても異なりますので、室温はあくまで目安として、実際の使用感や就寝時の快適さを重視して選ぶことが重要です。また布団の衣替えのタイミングで、羽毛布団をケアしてあげることで羽毛布団本来のふわふわとした弾力感を取り戻します。気持ちのよい肌触りが楽しめますよ。
監修:沢田 昌宏さん(上級睡眠健康指導士/眠りのプロショップSawada 店主)
https://sleep-natura.jp/