2021年は3年に1度の固定資産税の評価替えの年です。評価額は固定資産税と都市計画税を算出する基になる価額です。評価替えで自宅の土地の評価額が上がれば、多くの場合は税額も上がります。しかし、2021年度は新型コロナウイルスの影響下で、評価額が上がった人も固定資産税の納付額は据え置きとなりました。では来年以降はどうなるのでしょう。この機会に固定資産税の評価替えや納税のしくみについて知っておきましょう。
納税通知書のスケジュール
固定資産税と都市計画税は、その年の1月1日に土地や建物など固定資産を所有している人にかかる市町村税です。東京都の23区にある固定資産については、都税として都が課税します。住宅を購入または売却した年は、売買の取引日までの日数で固定資産税を売り主と買い主で精算します。
固定資産税を納めるための納税通知書は、自治体で時期は多少異なりますが、毎年5月から6月上旬に送られてきます。納税通知書には固定資産税と都市計画税の納める税額と納付期限、税金を算出するための課税標準額や税率(固定資産税1.4%、都市計画税0.3%)、減税額などが記載されています。
また、その後ろには課税明細が付いていて、税額を計算する基になる土地や建物の面積や価格(評価額)、価格を基に特例や減税等を加えて計算した課税標準額などが記載されています。
ここからは、話をわかりやすくするために、評価替えに関わる住宅の敷地の固定資産税についてお伝えします。
住宅の敷地の固定資産税は、原則としては200平方メートルまでは評価額の6分の1、200平方メートルを越えた部分については3分の1に1.4%を掛けた額が課税されます。たとえば、敷地が100平方メートルで評価額が3,000万円だった場合、3,000万円の6分の1の500万円に1.4%を掛けて、固定資産税の納付額は7万円となります。
固定資産税は納税通知書が送られてから、5月末、または6月末をスタートに、年4回に分けて納めます。一括払いもできますが割引はありません。
評価替えはなぜ行われる?
固定資産税は価格(評価額)を基に計算された課税標準額に税率を掛けて計算します。したがって原則として評価額が上がれば税額も上がります。公平に課税するには適正な評価が欠かせません。
そのため評価額は総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて計算された価格を、知事や市町村長が決定して固定資産課税台帳に登録します。
具体的には急いで売った場合などの特別な事情を除いた正常な条件の下での適正な時価(取引価格)とされています。その計算方法は難しく、不動産鑑定士などの専門家が調査し、国土交通省が毎年1月1日時点の正常な土地価格を発表する公示価格や、路線価等も参考にしながら決定します。
土地という不動産は、同じものが二つとない固有の財産であるうえに価格も変動するため、本来であれば課税の基礎となる評価額は毎年の見直しが望ましいところです。
しかし、住民全員が所有する膨大な数の土地や建物を毎年評価するのは時間やコストがかかり過ぎます。実質不可能であるため、固定資産税の評価額は3年ごとに見直すことになっています。
2021年はその評価替えの年です。前回の評価替えは18年でした。評価額は3年間変わりませんので、19年と20年は18年の評価額を基に税額が計算されました。21年に決定された評価額は、2021〜23年の3年にわたって税額の計算に使われます。
年度の途中に新築や増築した建物や、土地を分けたり合わせたりした場合(分筆や合筆)は、その都度新たに評価した価格を決定します。
評価替えで「上がる」人と「下がる」人
3年ごとの評価替えで土地の評価額が上がれば税額が上がり、下がれば税額も下がります。
しかし、例外もあります。固定資産税の評価については、以前は全国共通の基準がなく、地域による格差が非常に大きくなっていました。こうした不公平をなくすために、1994年の税制改正で、評価額は公示価格の7割程度を目安とするように定められました。これにより、不公平はなくなりましたが、改正前と比べて宅地の評価額が大幅に上昇した地域が多数出ました。
一挙に上昇した固定資産税をいきなり納税者に負担してもらうことは難しいため、段階的に税額を上げていく方法が取られています。この方法を負担調整措置と言います。
この仕組みによって税負担が重くなり過ぎた土地は評価替えで評価額が上がっても税金が引き下げられたり、逆に地価が下落して評価額が下がっても、それまでの税金が安かった土地は固定資産税が引き上げられたりします。
また、他にも測量をし直して土地の面積が増えた場合や土地の利用状況が変わったとき、たとえば畑から住宅に土地の利用が変更された場合などは、評価額が上がり固定資産税も上がる場合があります。
2021年度の固定資産税の特例
最後に2021年度の固定資産税の評価額の特例について見ておきましょう。
21年度の評価替えでは、評価額が変わらなかった19年、20年に土地価格が上昇していたことから、多くの地域で評価額が上昇する可能性がありました。これでは大多数の人の固定資産税が上昇してしまいます。
2021年度は新型コロナウイルスの影響で、雇用が不安定になったり、大きく収入が減少したりする人もいるという状況です。こういった状況の中、固定資産税の評価替えで持ち家の税金が増えては、住宅ローンの返済や家計に大きな影響を与えかねません。
こうした税の負担感を軽減するために21年度に限り、今回の評価替えで評価額が上がっても、固定資産税と都市計画税の税額は据え置かれることになりました。
しかし、22年と23年は今回の評価替えで評価額が上がっていれば、固定資産税と都市計画税も上がります。20年と21年の課税明細書を並べてみて、課税明細書の価格欄の数字が増えているのか、減っているのかが確認しておきましょう。
そして、もし価格が上がっていたら、2022年と2023年の固定資産税は上昇するものとして、年間の家計の予算に入れておきましょう。
参考サイト
総務省 固定資産税評価基準
東京都 固定資産税明細書の見方
東京都 令和3年度における土地の固定資産税・都市計画税の据え置き措置について