厚生労働省が発表した「2019 年 国民生活基礎調査」によると、日本の平均世帯年収は552.3万円です。1,000万円以上の世帯年収があれば「高収入」と言えそうですが、世帯年収が1,000万円を超える家庭ではどの程度の頭金を準備しているのでしょうか。購入した住宅の金額や借入金額についても調査をしました。
世帯年収1,000万円以上でも、約2割の人が「頭金なし」
世帯年収1,000万円以上の住宅購入者と住宅購入を予定している人に、「頭金」をどのくらい用意したか(用意しているか)調査をしたところ、「頭金なし」の人が17.9%と2割近い一方、「2,000万円以上」もの頭金を用意した人が38.7%と4割近くを占める結果に。
預貯金に関する項目では、世帯年収1,000万円以上の家庭の11.3%が1,000万円以上2,000万円未満、61.3%が2,000万円以上の預貯金があると回答していることからも分かる通り、世帯年収1,000万円以上の家庭の多くで現金の蓄えがありますが、潤沢な資金があっても敢えて頭金を入れず、できるだけ多くの金額を借り入れ、手元に資金を残している人が一定数いると考えられます。
ちなみに、親からの資金援助に関しては、75.9%の家庭で「資金援助はない」と回答。親には頼らず住宅を購入する家庭が主流のようです。
住宅購入金額に比べて借入金額が少なく、約20年で完済の傾向
世帯年収1,000万円以上の住宅購入者の平均額と中央値
世帯年収1,000万円以上の家庭では、どのような条件で家を購入しているのでしょうか。購入した住宅にかかった金額の総額、もしくは購入予定の住宅の予算を調査したところ、平均5,069.39万円(中央値5,000万円)でした。
そのうち、住宅ローンの借入金額は、平均2,563.77万円(中央値2,500万円)、毎月の住宅ローン返済額は平均12万8,008円(中央値12万円)。住宅ローンの借り入れ期間は平均26.18年(中央値28年)で、完済予定期間は平均21.04年(中央値20年)でした。住宅購入金額に対して借入金額が少なめのため、完済期間も約20年と短め。資金的に余裕のある住宅購入を実現している人が多いようです。
世帯年収1,000万円以上で住宅を購入した人はどんな人?
世帯年収1,000万円以上の住宅購入者は、どのような住宅を購入し、住宅ローンを借り入れているのでしょうか。
子育てしやすい環境を求め、土地を購入して注文住宅を建てました。土地価格は4,100万円、新築費用は1,700万円です。借入金額は6,000万円で、住宅ローンは金利の安さに惹かれたネット銀行を選択。変動金利型の35年ローンで、毎月の返済額は10万円。計画的に返済していきたいです。(兵庫県/31歳/女性)
在宅勤務となり、都心にある会社の近くに住む必要がなくなりました。ルーフバルコニー付きの広いマンションに住み、犬を飼いたいという希望もあり、家賃の高い賃貸マンションから引っ越したいと思い、新築マンションを購入しました。マンション価格が4,800万円で、別途オプション費用が200万円ほどかかっています。住宅ローンは、近隣の地方銀行で勧められた変動金利タイプに。月々の返済額は12万円で、返済期間はできるだけ長く設定したかったため、30年としていますが、余裕が出来る度に繰り上げ返済をして、15年程度で完済予定です。(千葉県/45歳/女性)
これまでに2度住宅を購入していますが、3人の子供を育てるには手狭なため、より広い家に住みたいと思って買い替えを決意。当初は広い土地を購入し、注文住宅を建てようと考えていましたが「予算的に厳しいかもしれない」と感じていたところ、ちょうど手頃な広さと価格の物件があったことから、中古住宅を購入することに。コロナの影響で物件価格が下がり気味と判断したことも購入を後押ししました。物件購入価格は9,500万円。頭金はゼロで、住宅ローンは低金利が魅力のネット銀行を選択。変動金利型の35年ローンで、月々の返済額は23万円です。35年ローンですが、20年ほど経ったら売却し、ローンも完済予定です。(東京都/40歳/男性)
まとめ
今回の調査結果により、世帯年収が1,000万円以上ある家庭の住宅購入は、住宅ローンの借り入れ金額や返済期間に比較的余裕のある傾向がうかがえました。
収入を増やすことは簡単ではありませんが「片働きから共働きにする」「副業を始める」など、将来設計に応じて検討してもよいでしょう。目標とする住宅の購入に手が届くか不安な人は、収入を増やすことも検討してみてはいかがでしょうか。
【調査概要】
調査地域:全国
調査対象:住宅購入経験者(直近1年以内)・検討者(直近3年以内)の25~69歳の男女
調査期間:2021年3月17日~19日
有効回答数:800サンプル