漠然と「マイホームを手に入れたい」と考えている人でも、住宅購入に踏み切った人は何らかの理由をもとに決断していることでしょう。非常に高額な買い物だからこそ慎重を期したいところですが、住宅を既に購入した人や近々購入を予定している人は、どのような理由で家を買うことに決めたのでしょうか。
約半数が「子供や家族のため」住宅購入を決意
まずは、ライフステージの観点から住宅購入の理由を見ていきましょう。「子ども、家族のため」が47.0%と半数近くを占め、次いで「老後のため」が31.0%という結果に。以下「結婚したため」が6.8%、「仕事の都合のため」が4.8%と続きます。
【年代別】若い世代は「子どもや家族」、50代以降は「老後」のために購入
年代別に住宅購入の理由を見ていきますと、「子どもや家族のため」に住宅購入を決めた人の割合は、20代が49.0%、30代が64.2%、40代が52.9%、50代が30.7%、60代が20.5%と、若い世代にとっては主な住宅購入理由となっています。
一方、「老後のため」に住宅購入を決めた人の割合は、20代が15.7%、30代が13.0%と少数派なのに対し、40代が25.7%、50代が51.2%、60代が60.3%と、年齢を重ねるごとに老後を意識していることが分かります。
【未既婚別】単身者は老後を、子どもがいる家庭は子育てを意識
未既婚別に住宅購入の理由を見ていきますと、子どものいる既婚者に関しては「子ども、家族のため」に住宅を購入した人が87.9%と、9割近くを占め、「結婚したため」が4.0%、「老後のため」「社宅・寮を出るため」がともに3.4%と続いています。
一方、独身・単身者に限定してみると「老後のため」が55.3%と過半数を超え、次いで「仕事の都合のため」が16.5%、「子ども、家族のため」が10.6%という結果に。子どものいない既婚者に関しても、「老後のため」が43.3%と最多で、将来を見越して「子ども、家族のため」に住宅を購入した人が27.5%、「結婚したため」の割合も多く15.2%を占めています
生活環境は「家の広さ」「立地」「生活の質」を重視
続いて、生活環境の観点で住宅購入理由を聞いたところ「広い家に住みたい」が最も多く24.7%、次いで「立地・アクセスの良いところに住みたい」が21.2%、「生活の質を上げたい」が20.8%、「住環境の良いところに住みたい」が15.3%でした。
【年代別】年齢が上がるごとに、広さよりも立地を重視
年代別に見てみると、「立地・アクセスの良いところに住みたい」人の割合が、20代は9.8%、30代が22.2%、40代は18.2%と少し減りますが、50代が25.2%、60代になると27.4%と増加。年齢が上がるほどに立地を優先する傾向で、60代に関しては「住環境の良いところに住みたい」の34.2%に次いで重視しています。
また、「広い家に住みたい」人は20代が25.5%、30代が30.2%、40代が27.3%、50代が22.8%、60代はわずか8.2%。若い世代の方が家の広さを重視しています。
ちなみに、未既婚別に見ても、子どものいる既婚者の中で「広い家に住みたい」人の割合は38.3%と、独身・単身者の14.1%、子どものいない既婚者の21.3%と比べて多く、子どもがいると手狭になりがちな実情が垣間見えます。
【物件種別】戸建ては広さ、マンションは立地を重視の傾向
実際に購入した、もしくは購入を予定している物件種別ごとに見ると、「広い家に住みたい」人の割合は、中古住宅が40.0%、建売住宅が38.9%と4割近くを占め、土地付き注文住宅が28.3%、注文住宅が24.5%、新築マンションが24.4%と一定の需要がある一方、中古マンションに関しては14.5%と、広さを重視していない人が多いようです。
一方、「立地・アクセスの良いところに住みたい」人は、建売住宅が18.1%、中古住宅が13.3%、土地付き注文住宅が19.6%、注文住宅が10.2%なのに対し、新築マンションは31.7%、中古マンションは32.3%と、マンションを立地重視で選ぶ人が多いことを感じさせる結果となりました。
毎月の家賃を支出するよりも、住宅を購入したい人が多数
経済的観点からも住宅購入理由を聞いたところ「家賃がもったいない」という回答が59.0%と圧倒的に多く、次いで「住宅ローン金利が低い」が11.2%、以下「不動産の資産を持ちたい」「住宅価格が買い時だから」がともに7.3%でした。
【年代別】若い世代を中心に「家賃がもったいない」と感じ、住宅を購入
年代別に見ると、「家賃がもったいない」と感じている人は20代が66.7%、30代が70.4%、40代が59.4%、50代が51.2%、60代が41.1%と、若い世代が特に家賃の支払いを気にしていることが分かりました。60代に関しては、「家賃がもったいない」に次ぎ、「住宅価格が買い時だから」が20.5%を占めていることも特徴的です。
【物件種別】注文住宅の購入者が税制優遇を意識
物件種別で見ても全体的に「家賃がもったいない」と感じている人が多く、住宅ローン金利が低い」ことも購入を後押ししています。
そうしたなかで戸建て(中古)は「家賃がもったいない」の50.0%に次ぎ、「住宅価格が買い時だから」が30.0%を占めています。近年、マンション価格の高騰により、価格変動の少ない戸建てが注目を集め始めていましたが、コロナ禍で在宅勤務など家にいる時間が増え、部屋数の多い戸建てがさらに人気に。なかでも中古住宅は、新築より価格が安く、引き渡しを受けたその日に「新築から中古へ」変わり、建物の資産価値としては下がってしまう新築と比べて、購入の値下がり幅も小さいため値ごろ感があり、買い時だと感じた人が多いのではないでしょうか。
また、注文住宅の購入者は「家賃がもったいない」の53.1%に次ぎ「税制優遇があるから」が18.4%と票を集めました。長期優良住宅やZEHといった高機能住宅を対象とした補助金制度が注文住宅を建てる際に利用しやすいことが、今回の結果に影響したのではないでしょうか。
まとめ
年代や子どもの有無などパーソナル情報によって、どのような住宅が欲しいかも、住宅を購入する理由も変わります。今回の調査結果を参考に、自身や家族が求めているのはどのような家なのか、思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
【調査概要】
調査地域:全国
調査対象:住宅購入経験者(直近1年以内)・検討者(直近3年以内)の25~69歳の男女
調査期間:2021年3月17日~19日
有効回答数:800サンプル