どこから侵入したのか、家の中で突然遭遇してしまうヤモリ。よく見るとかわいらしい顔をしていますが、爬虫類全般が苦手という人も多いでしょう。ヤモリを見かけたときは手で掴んで外に逃がすのが手っ取り早いのですが、ヤモリが苦手だとそうはいきません。
そこで、ヤモリが家に入ってしまったときの4つの対処法と、今後ヤモリを寄せつけないための3つの対策を紹介します。
ヤモリってどんな動物?
室内に入ってきたヤモリを追い出すのに精一杯で、どんな生き物かよく知らないという人も多いのではないでしょうか。ヤモリを適切に追い出すためにも、ヤモリの特性や行動パターンを知っておくことが大切です。
日本でもっとも一般的なヤモリが「ニホンヤモリ」です。トカゲの一種で爬虫網有鱗目ヤモリ科ヤモリ属に分類されます。見た目もトカゲに似ていて、トカゲのように尻尾を切って逃げることもあります。そんなトカゲと同じような特性を持つヤモリですが、漢字で書くと「家守」もしくは「守宮」と書きます。苦手な人にとっては厄介者のヤモリですが、家の守り神としても知られています。
生息場所は本州・四国・九州であまり寒い地域では見られません。森などの自然が豊かな場所よりも人が生活する側に棲むことが多く、夜行性です。夜になるとペタッと窓に張り付いているヤモリを見かけることも多いでしょう。窓や壁など垂直な場所でも落ちずに張り付いていられるのは、足の裏が特殊な形状をしているためです。
ヤモリの足の裏には100万分の1ミリの細かい剛毛が生えていて、それが壁や窓の凹凸と噛み合わさり張り付きます。特別な粘液を出しているわけではないので、ヤモリが通ったあとの汚れについて心配する必要はないでしょう。
イモリとの違い
見た目が似ていいるため、イモリとよく見間違いをされるヤモリですが、両者には下記のような違いがあります。
- ・ヤモリ:爬虫類・爪がある・鱗がある
- ・イモリ:両生類・爪がない・お腹が赤い
家にいると縁起が良いとされるのは、ヤモリの方なので間違えないように注意しましょう。
ヤモリは縁起の良い生き物
ヤモリは益獣
ヤモリが縁起のいい生き物だといわれる理由には、ヤモリの食べる物や性格が関係しています。ヤモリが食べるのはクモやワラジムシ、ゴキブリ、シロアリなどの害虫です。どの虫も家の嫌われ者で、穏やかな暮らしを脅かすものばかり。ヤモリは昔から家の近くに棲み、家や住人にとって害のある虫を捕食してくれます。それが、ヤモリが守り神と呼ばれる由縁です。
また、ヤモリの性格は臆病で毒性もありません。人に危害を加えることがないため、益獣として扱われています。ヤモリは爬虫類の仲間なので見た目が苦手な人も多いですが、家にとってはむしろ歓迎すべき存在なのかもしれません。
古くから縁起物として扱われる
漢字で「家守」と書くように、古くからヤモリは家の守り神とされてきました。その理由は先ほどお話した通り、害虫から家を守ってくれることにあります。ただそれだけではなく、ヤモリは縁起物として昔から親しまれてきました。家を守ってくれるヤモリは幸運や金運のシンボルで、開運のご利益があるといわれています。
さまざまな模様や色のヤモリがいますが、珍しいのが白いヤモリです。ヤモリのなかでもとくに、白いヤモリ(アルビノ)は金運の象徴として知られています。もし家の中でヤモリに出会ったら、自分や家族にとってよい知らせが届く予兆かもしれません。
ヤモリを家から追い出す方法
ヤモリはいくら縁起がよいといわれても、どうしても見た目が苦手で受け入れられない人もいるでしょう。その場合は、家から追い出すほかありません。
しかし、ヤモリは夜行性で日中は家の中に隠れている可能性があります。夜になって家中を徘徊されることがないように、まずはヤモリをおびきよせましょう。そのためには、夜間に電気をつけるのが効果的です。ヤモリは夜間に行動し、電気の周りに集まった虫を食べにやってきます。
それでは、ヤモリを追い出す、駆除する4つの方法についてみていきましょう。
1.新聞などで近くを叩いて追い出す
ヤモリは見た目こそ苦手な人も多いですが縁起物といわれているため、できれば殺すことなく逃がしてあげたいものです。オーソドックスな方法が、近くで音を立てて追い出す方法です。ヤモリは臆病な性格なので、大きな音に驚いて逃げ出す可能性があります。この習性を利用して家の中から追い出しましょう。
丸めた新聞紙などを使い、窓に誘導するようにヤモリの後方の壁を叩きます。これをヤモリが窓の外に逃げるまで続ければ、ヤモリに触れることなく逃がすことができます。
2.虫取り網を使う
新聞紙で壁を叩いても思うように窓へ誘導できない場合、手っ取り早いのが虫取り網を使う方法です。虫取り網でヤモリを捕獲し、そのまま窓の外に出してあげましょう。虫取り網は柄が長いので、ヤモリが苦手な人も近づくことなく捕まえられるのが大きなメリット。また、天井など手が届かない場所にヤモリがいるときも虫取り網の出番です。
ただ、ヤモリは臆病なので近づくときは慎重に。音に驚いて家の隅に隠れてしまわないように、そっと近づいて捕獲しましょう。
3.殺虫剤を使う
虫を駆除するアイテムとして代表的なのが殺虫剤です。あまり知られていませんが、殺虫剤は爬虫類にも効果があります。一般的な殺虫剤には「ピレスロイド」とよばれる有効成分が含まれていて、この成分が虫や爬虫類の神経を麻痺させ、やがて死に至らせます。臆病ですぐ逃げてしまうヤモリを確実に捕まえて駆除したいなら、殺虫剤は有効だといえるでしょう。
ただし、死んだヤモリを処分しなければならないので、それが苦手であれば上手に逃がすほうがよいかもしれません。
4.ネズミ捕りの粘着シートを使う
ネズミ捕り用の粘着シートでもヤモリを捕獲することができます。粘着シートのよいところは、置いておくだけで1枚で数匹を捕まえられることです。ヤモリを見つけるたびに駆除する手間を考えると、忙しい人でも効率的に駆除できる方法だといえるでしょう。
しかし、粘着シートも殺虫剤のように後処理に困ってしまうことがあります。シートにびっしりとヤモリの死骸が付いていることもあり、それを処理できる人でないとこの方法は難しいかもしれません。種類によっては死骸を見ずに捨てられるシートもあるので上手に活用しましょう。
ヤモリを寄せつけないためには
もしヤモリが家に入ったら先ほどご紹介した方法で追い出せばよいのですが、できればヤモリを寄せつけたくないものです。そもそもヤモリを家に入れないためにはどうすればよいのか、3つの対策についてご説明します。
1.侵入経路をふさぐ
ヤモリが家の中にいるということは、ヤモリが入れるほどの隙間があるということです。そのため、ヤモリの侵入経路となる隙間を徹底的にふさぐことが有効な対策になります。窓や扉などに穴や隙間があるなら丈夫なテープなどでふさぎましょう。換気口やエアコンの室外機などの隙間も見落としがちな部分です。ふさぐと支障がでる部分は目の細かい網を設置するのがおすすめです。
2.エサとなる虫を発生させない
ヤモリは虫を食べるために家に侵入してきます。その元となる虫を駆除することがヤモリを寄せつけないことにもつながります。ゴキブリやシロアリなどは家にとっても百害あって一利なし。こまめな清掃を心がけ、シロアリ予防のためのメンテナンスをしておくと安心です。家に住み着く害虫をなくし、ヤモリも寄せつけない家にしましょう。
3.蚊取り線香をたく
夏の風物詩ともいえる蚊取り線香。本来、蚊を寄せつけないためのものですが、蚊取り線香に含まれるピレスロイドはヤモリにも効果があります。そのため、ヤモリが侵入しやすい庭先などでたいておくとよいでしょう。また、人の出入りがあるため完全に隙間をふさぐことが難しい玄関先にも蚊取り線香を置いておけば、人の出入りを邪魔することなくヤモリの侵入を阻止することができるでしょう。
まとめ
ヤモリが苦手な人にとってはすぐにでも追い出したいものですが、ヤモリを駆除してしまうと害虫が増えることも考えられます。そのため、完全に駆除してしまうのは考えものかもしれません。ヤモリはなるべく家に入れない、入ったら速やかに追い出す、このぐらいの距離感がちょうどいいでしょう。
(最終更新日:2023.02.14)