年収570万円の人の手取りと暮らし向き、「独身」と「家族持ち」のケースを紹介

年収570万円の人はどのような生活をしているのでしょうか。同じ570万円の年収でも、1人暮らしと家族がいる世帯とでは、暮らし向きが変わってきます。今回は、年収570万円の人の手取り額、理想的な支出割合や貯蓄、住宅ローンの組み方などについてくわしく解説します。

年収570万円の人はどのくらいいる?

年収570万円の人は、国民全体の中でどれくらいの割合を占めているのでしょうか。国税庁が公表している「民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の2019年分の平均給与は436万円となっています。男女別にみると男性が540万円、女性が296万円となっており、男性の給与が女性より大幅に高いことがわかります。

出典:令和元年分民間給与実態統計調査|国税庁長官官房企画課

給与所者の分布表をみると、年収570万円の人が含まれる「年収500万円超600万円以下」の割合は10.1%となっています。

また、一番多い年収区分は、男性で「年収400万円超500万円以下」の17.5%、女性では「年収100万円超200万円以下」が23.7%と最も多くなっています。

年収500万円以下の人が69.4%を占めることから、年収570万円の人は全体の半数の人より年収が高いことがわかります。そのため、「年収570万円」は、給与所得者の全体の平均年収よりも多いといえるでしょう。

年収570万円の手取りはどのくらい?

年収とは、一般的に税金や社会保険料が差し引かれる前の総収入のことをいい、雇用主が支払うお金すべてと考えることができます。この年収から税金などを引いた額が「手取り」です。それでは、年収570万円の人の手取りはどれくらいになるのかを解説します。

独身の場合の手取りは?

年収570万で独身の場合、手取り金額は住所や年齢によって変わってきます。仮に、東京都在住で40歳未満、年収576万円(月給48万円、ボーナスなし)という条件で手取りを考えた場合は、以下のようになっています。

・年間の手取り…約473万9,000円
・月間の手取り…約39万5,000円

月収から引かれるものは「健康保険料」が約2万3,000円、厚生年金保険料が約4万3,000円、雇用保険料が約1,400円、源泉所得税は約1万7,000円などとなっています。これらの控除額の合計は約8万5,000円となり、月収の約18%が引かれる形となっています。

また、40歳以上の場合は、これらに加えて介護保険料としてさらに月額4,000円、年間で約5万円が差し引かれるため、手取りがより減ることとなります。

扶養家族がいる場合の手取りは?

結婚している場合の手取り金額は、住所や年齢だけでなく、扶養家族の人数によっても変わってきます。

扶養家族である配偶者(年収103万円未満)や子ども(16歳以上)がいると、配偶者控除や扶養控除を受けられることがあります。これらの控除を受けると課税所得を減らして税金を低くすることができるため、手取りが増えることがあります。

東京都在住で40歳未満、年収576万円(月収48万円、ボーナスなし)、扶養家族1人の場合の手取りは以下のようになっています。

・年間の手取り…約477万8,000円
・月間の手取り…約39万8,000円

配偶者の所得が48万円以下(年収103万以下)の場合は配偶者控除が受けられて38万円を所得控除できるため、手取りが増えます。ただし、48万円を超えると所得控除の金額が段階的に引き下げられます。

配偶者の所得が133万円(年収201万円)を超えると配偶者特別控除を受けられず、所得控除がゼロになってしまうため注意しましょう。

年収570万円でどんな暮らしができる?

年収570万円では、どのような暮らしができるのでしょうか。一般的な家計の割合をもとに家賃や食費などを計算すると、どのような生活ができるかがわかります。それでは、年収570万円の人の家計の状況について解説します。

1人暮らしをする場合

1人暮らしをする場合は、家計の中では「家賃」が一番大きな割合を占めることになります。家賃は住むエリアによって変わるため、住む場所によって生活のゆとり具合が変化します。

年収570万円の人の手取り月収は約39万5,000円です。家賃を手取りの3分の1とすると、毎月家賃に支出できるのは11万8,500円ほどになります。また、食費は家計の2割で約7万9,000円、水道光熱費は5%で約1万9,500円、交際費は5%で約1万9,500円、貯蓄は約5万9,250円となっています。

東京23区内の家賃相場の平均は、1LDKで約8万円から17万円です。家賃が高いエリアに住むと11万8,500円を大幅に超えるため、食費など他の費目に支出できるお金が減り、生活が苦しくなります。逆に安いエリアに住むと余裕が出て、家賃以外の費目により多くのお金を使えるため、生活にゆとりが出ます。

比較的ゆとりがある生活を送りたい場合は、家賃が安いエリアに住むことを考えましょう。食費や交際費などの他の費目にお金をまわすことができるため、家計のやりくりをスムーズに行うことができます。

結婚して家族で暮らす場合

年収570万円の人が結婚して家族で暮らす場合、扶養家族の人数によって家計の状況が変わってきます。妻が配偶者控除を受けられると仮定した場合、38万円の所得控除を受けることができるため、手取りの月収は39万8,000円となります。

家賃を家計のおよそ3割までに抑えたい場合、約11万9,400円まで支出することができます。ただ、東京23区内の2LDKの家賃相場は10~24万円となっており、住むエリアによっては2LDKに住むことが難しくなります。家賃を家計の3割に抑えるためには、23区内でも特に家賃が安いエリアか、郊外に住むことが必要です。

他の出費を抑えて家賃を支出する方法もありますが、将来子どもが生まれた場合は養育費もかかります。家計は固定費で節約できない費目のため、将来の出費のことを考えると、家賃の比率は家計の3割に収めておくことをおすすめします。

年収570万で結婚している場合は、住むエリアによって生活が大きく変わってくるということを覚えておきましょう。

参考:東京都の家賃相場情報|スーモ

年収570万円の人が住宅ローンを組むなら?

年収570万円の人が住宅ローンを組む場合、固定金利が1.37%の【フラット35】であれば最大5,500万円くらいまでお金を借りることが可能です。

ただし、最大借入額までローンを組むと、毎月の返済額が約16万5,000円となり、家計における返済割合が大きくなってしまいます。毎月の生活を無理なく送ることを考えると、結婚している場合に家賃として支出できる「約11万円」を目安にして住宅ローンを検討しましょう。

毎月の返済が約11万円、固定金利1.37%、返済期間35年の場合は、約3,600万円までローンを組むことができます。

ただ、固定費である家賃を少しでも低く抑えたほうが生活にゆとりが出ますし、将来の収入の変化や子どもの進学などにも対応できます。

住宅ローンを組む際は、毎月の返済額や返済年数などを考えて、慎重に検討するようにしましょう。

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まとめ

年収570万円の人は、全国平均よりも収入が多くなっています。1人暮らしの場合は比較的余裕がある生活が可能ですが、家族がいる場合は家賃が高くなることから、住む場所によっては生活に余裕がなくなってしまうこともあります。家族がいる場合は住む場所を考え、家賃を抑えるなどして、しっかりと家計管理をすることが大切です。

住宅ローンを組む場合も、将来のライフプランをよく考え、無理なく返済できる範囲で借入額を決めるようにしましょう。

(最終更新日:2024.04.19)
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