気温が上昇してくると、さまざまな生物が活動を始めます。コバエも例外ではなく、大量発生が問題になることも少なくありません。近年では、梅雨時の東海地方でクロバネキノコバエの一種が大量発生したという情報もあります。この記事では、コバエが大量発生する原因と時期をふまえて、効果的に駆除する7つの方法を解説します。
コバエが大量発生する原因
コバエの大量発生は、ある場所に産み付けられた卵がかえり、一斉に羽化することが原因とされています。つまり、大量発生している付近に卵を産み付けられた可能性があるということです。
たとえば、ショウジョウバエは1匹の雌が1日に80個もの卵を産むといわれています。産卵は複数回におよび、1匹の雌が1,000匹以上の子を残すことも可能です。コバエが一斉に羽化したときの不快感は極まりなく、衛生面が気になる人も多いでしょう。
卵から幼虫までの期間は、1日~1週間程度です。この間に卵ごと駆除できれば大量発生は免れますが、コバエは幼虫のエサとなるものに産卵管を刺して産卵するため、卵を見つけることは困難だと考えましょう。
これらの理由から、コバエの駆除は飛んでいる成虫を発見した後に行うのが一般的です。放っておけば爆発的に増えることはわかっていても、その前段階では手の施しようがありません。一方、ハエが卵を産み付けない環境をつくることはある程度可能です。「どうせ大量発生するものだから」と割り切らず、住環境を清潔に保つよう心がけましょう。
コバエが大量発生する時期
コバエは4~11月ぐらいの期間に多く発生します。コバエの生息に適した気温は20~30℃、湿度は70%ほどです。卵から成虫になるまでのサイクルが非常に速く、気温や湿度などの条件が整えば、長期間にわたって大量発生を繰り返します。
特に梅雨はコバエの生息に適した時期であり、大量発生の頻度も高くなりがちです。ムシムシとした天候、エサとなる生ゴミや食べ残し、腐敗した植物などがあることはコバエにとって好条件であり、動きも活発化します。
トイレの水洗化が進み、気密性の高い住宅が増えた現在でも、コバエが大量発生する原因を完全に断つことはできないのが実情です。冬の寒い時期以外は、コバエの駆除はつきものだと考えましょう。
コバエが発生してしまったら 7つの駆除方法
コバエの発生を防ぐために家庭内でできることは、発生が考えられる箇所を清潔に保つことです。排水口は常に清潔にし、キッチンの三角コーナーなど汚れが溜まりやすいところはこまめに掃除をするか、撤去しましょう。
一方、どれだけ清潔を保っていても、外から侵入したコバエが食べ残しなどに産卵し、大量発生してしまうケースは少なくありません。コバエが発生した場合には、どのような駆除方法が有効なのでしょうか。
1.殺虫スプレー
最も一般的、かつ手軽な駆除方法は殺虫スプレーの使用です。エアゾールの殺虫剤はコバエの駆除に有効であり、直接噴射することで退治できます。大量発生した場合は、ある程度広範囲に噴射するといいでしょう。
一方、通常の殺虫剤は卵には効かないとされています。そのため基本的には、コバエの駆除は孵化(ふか)して表に出てくるときを待って行います。
殺虫スプレーは「見つけたら退治する」という性質のものであり、根絶は難しいのが実情です。しかし、昨今ではワンプッシュで殺虫成分が住空間に広がるタイプの殺虫剤も開発され、効果的な駆除が可能となっています。人間やペットの健康にも考慮しながら、適切に使用しましょう。
2.熱湯をかける
台所の排水口や三角コーナー付近はコバエが好んで産卵するスポットです。卵の駆除には熱湯が有効だとされています。そのため、水回りに熱湯をかけ、排水口に流すことで卵の段階での駆除が可能になります。
一方、多くの排水管は塩化ビニール製であり、100℃の熱湯は排水管を傷める原因になる可能性があります。そのため、駆除には60℃未満のお湯を使用しましょう。また、60℃のお湯はコバエが好む油分などを溶かす作用もあるため、今後の産卵防止効果も期待できます。
3.ハエ取り紙(ハエ取りリボン)
ハエ取り紙は古典的な退治方法です。糊がついたリボン状の紙を天井などから吊るして飛び回るハエを退治します。殺虫成分が含まれていないため、空気を汚したくない、幼い子どもやペットがいるという状況でも使用可能です。
しかし、多くのハエ取り紙は匂いで誘引せずに自然にハエが付着する仕様です。設置にあたっては、ハエが多く発生している場所を選ぶ必要があります。また、日常生活に支障がないよう、設置する高さを考慮することが大切です。
4.置き型コバエ殺虫剤
置き型コバエ殺虫剤は、コバエが好む匂いで誘引します。商品名としては「コバエがホイホイ」などが有名で、そのほかにも多くの商品が販売されています。コバエが多く発生する箇所に置くだけで効果を発揮してくれる、ハエ取り紙のように誤って頭などに付着することがないなど、メリットが多い駆除方法です。
一方、便利さゆえに一度置いたら放置してしまうことも少なくありません。誘引したコバエがそのまま溜まっていくことは不衛生であり、交換の時期が約1ヶ月と短い商品もあるので、こまめな交換が必要です。
5.めんつゆトラップ(お酢トラップ)
めんつゆトラップ、お酢トラップは、一部のコバエが好むめんつゆやお酢を使用した駆除方法です。さまざまなメディアで紹介され、有名になりました。ペットボトルを1/5ほどの高さに切り、1cmほど水を入れて、水と同量のめんつゆか酢を入れます。そして、食器用洗剤を数滴垂らし、コバエが発生する箇所に置いておきます。
めんつゆトラップのメリットは、家庭にあるもので簡単に実践できることと薬剤を使用しなくて済むことです。エアゾールなどの殺虫剤に抵抗がある人にとっては有効な選択肢となります。
注意点は食器用洗剤を入れ忘れないことです。洗剤が入っていなければコバエの餌場になってしまい、さらなる大量発生を生むことにもなりかねません。また、カットしたペットボトルは軽いため、底面を固定するなどの工夫が必要です。
6.電撃殺虫器
電撃殺虫器は、光でコバエを誘引し、電流の衝撃で駆除する方法です。薬剤を使用せず、確実に駆除できることから、飲食店やホテルなどのバックヤードでは業務用の電撃殺虫器が多く採用されています。
一般家庭向けの商品名としては「ムシコロ」などが販売されています。一度購入すれば長く使用でき、ランニングコストに優れていることも電撃殺虫器のメリットです。一方、駆除された虫はそのまま下に落ちるため、こまめな掃除が大切です。
7.蛆(うじ)用殺虫剤
コバエには、羽化の前段階に幼虫である蛆虫の時期があります。先述のとおり、コバエの卵に効果がある殺虫剤はほとんど市販されていません。しかし、コバエの成長過程である蛆に効果がある殺虫剤は市販されています。
商品名としては「バルサン水性うじ殺し乳剤」などです。水洗トイレが導入されていない家庭や、コバエが発生しやすい立地にある家庭では、常備しておくといいでしょう。
まとめ
日本の住環境はかなり改善されてきているものの、どんなに気をつけていてもコバエはやってきます。特に高温多湿となる日本の夏は、コバエにとっても好条件な環境です。放置しておくと、衛生面での問題を引き起こすこともあります。上記の7つの方法を参考に、家の環境や掃除にかかる手間などを考慮して、徹底したコバエ対策を行いましょう。