新型コロナウイルス感染症拡大の中、首都圏をはじめ各地で緊急事態宣言が発令されています。酒類やカラオケを提供する飲食店や商業施設などに休業要請が出るなど、さらなる経済的な影響が予想される中、収入が減少して不安になっている人も多いのではないでしょうか。コロナ関連給付などについて2021年4月時点での主な制度の最新状況を確認します。
新型コロナウイルス関連の制度では、給付が受けられるもの、資金の貸付が受けられるものなどがありますが、まずは給付が受けられる主なものから見ていきましょう。
【給付制度】低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金
これは、児童扶養手当受給者等(低所得のひとり親世帯)と住民税非課税の子育て世帯(その他低所得の子育て世帯)に対して、児童1人当たり5万円給付が受けられる制度です。
対象となる児童とは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童(障害児の場合は20歳未満)、つまり高校卒業までの児童となっています。
なお低所得者のひとり親世帯の場合には、2021年4月分の児童扶養手当受給対象者は申請をしなくても5月まで(予定)には給付が受けられますが、直近で減少が収入して「低所得者のひとり親世帯」に該当した世帯は申請をすれば受給できます。一方で、その他低所得の子育て世帯については、これから政府が各自治体と対象世帯の把握や実施方法を調整するとのことなので、もう少し、時間がかかるようです。
児童扶養手当受給者等(低所得のひとり親世帯)について)の問い合わせ先
一般的な問い合わせはコールセンター 0120-400-903 (受付時間 平日9:00~18:00)
【申請先】住所地の市区町村「子育て世帯生活支援特別給付金(ひとり親世帯分) 」窓口
【給付制度】住居確保給付金(家賃)
新型コロナウイルス感染症の影響による休業などに伴う収入減少などで住まいを失う恐れがある場合に家賃相当額を支援する制度で、対象者は離職・廃業から2年以内の人かつ収入が減少して住居を失う恐れがある人です。
「離職・廃業から2年以内」というのは、離職または事業を廃⽌した場合と同等程度の場合も含まれ、具体的には、「スポーツジムが⼀部休業することとなり、週4、5⽇活動していたところ週2、3⽇程度以下となったスポーツジムインストラクター」「アルバイトを2つ掛け持ちしていたが、景気の悪化により1つの事業所が休業となり、シフトがなくなった者」「⾃粛により宿泊のキャンセルが相次いだ旅館業を営む者」など企業で雇用されている人にかかわらず自営業者、アルバイト、経営者などでも対象となります。
対象者は各自治体で柔軟に設定しているので、自分が対象となるかは、各自治体で確認してみましょう。
支給額は家賃相当額ですが、市区町村および世帯の人数によって異なります。(東京都特別区の上限額の例:単身世帯:53,700円、2人世帯:64,000円、3人世帯:69,800円、ただし住宅扶助特別基準額が上限)
支給期間は 原則3ヶ月、2回まで延長ができ、最大9ヶ月の支給が可能です。なお、2020年度中に申請してすでに受給を受けている人でも一定の要件を満たす場合、2021年6月末までの間であれば、最長3ヶ月間、再支給できます。
非常に手厚い給付となっていますが、一定の貯蓄がある人は受けられないなど、資産要件や所得要件がやや厳しくなっています。
休業などの要件の確認は、雇用されている人については、労働条件が確認できる労働契約書類と勤務日数や勤務時間の減少が確認できるシフト表など、個人事業主では、店舗の営業日や営業時間の減少が確認できる書類、あるいは請負契約により収入を得ている場合は、発注の取り消しや減少が確認できる書類等です。
今は必要ない、という方でもいざというときにすぐに提出できるよう、普段から準備しておくことをお勧めします。
一般的な問い合わせは相談コールセンターへ 0120-23-5572
(受付時間 平日 9:00~17:00)
申し込みは住所地の市町村の自立相談支援機関
【給付制度】新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
新型コロナウイルス感染症およびそのまん延防止措置の影響で休業した人で、企業から休業手当の支払いを受けることができなかった場合に支払われる給付金です。
対象者は、下記の期間に、新型コロナウイルス感染症およびそのまん延防止措置の影響を受けた事業主から指示を受けて休業し、休業手当の支払いを受けられなかった日がある人です。
・中小企業に雇用されている人
→2020年4月1日から2021年6月30日までの間
・大企業にシフト制で雇用されている人
→2020年4月1日から6月30日および2021年1月8日から6月30日までの間
(2020年11月7日以降に時短要請が発令された都道府県ではその期間も対象)
対象者には休業前賃金の 80%(支給上限日額は最大11,000円)が休業実績に応じて給付されます。
1日8時間から3時間の勤務になる、週5回から週3回の勤務になるなど、時短営業などで勤務時間が短くなった人(1日4時間未満の就労であれば、半日休業したものとして対象)や、シフトの日数が減少した方も申請できます。あくまでも事業主の要請で休業し、休業手当を受けられなかった場合というケースですので、個人の都合で休んだ場合は含まれません。
また、事業主の協力を得て書類の作成をすれば、審査が早く進みますが、なかには事業主の協力が得られない、という人もいるかもしれません。その場合には、申請書にその旨の記載をすれば自分で申請が可能です。対象に該当する場合には遠慮なく申請してみましょう。ちなみに、申請は郵送・オンラインで可能ですが、申請期限があるので注意が必要です。
詳細な支給要件や手続きは厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の対象期間の延長 及び「緊急事態宣言の発令等に伴う地域特例のお知らせ」
コールセンター 0120-221-276
(受付時間 平日 8:30~20:00/土・日曜、祝日 8:30~17:15)
貸付制度
緊急小口資金・総合支援資金(生活資金)2021年6月末まで申し込み受け付け延長
各都道府県の社会福祉協議会が実施している貸付制度で、新型コロナウイルス感染症の影響による休業や失業などによって家計の資金繰りが困難になった場合に、生活資金の特例貸し付けを実施しています。
〈緊急小口資金〉
新型コロナウイルス感染症の影響による休業などで収入が減少して、緊急かつ一時的に資金が必要な場合に最大20万円までの貸し付けを受けられます。返済期限は2年間ですが、返済開始は1年間後から、返済期限が来ても世帯主の2021年度か22年度の住民税が非課税所得の場合には返済免除の申請もできます。無利子で保証人も不要なので、緊急的に資金が必要な場合には、カードローンなどよりもまずは活用したい制度です。
〈総合支援資金〉 一度貸し付けを受けた方でも再貸し付け可能!
新型コロナウイルス感染症の影響で、収入の減少や失業等により日常生活の維持が困難となっている世帯は、生活の立て直しまでに必要な期間、2人以上の世帯で最大月20万円、単身世帯は最大月15万円の貸し付けを受けられます。貸付期間は原則3ヶ月以内ですが、自立相談支援機関による支援を受ける場合には3ヶ月の延長が可能です。返済期間は10年で、返済開始は1年後から、もちろん無利子で保証人も不要です。ただし、この制度は申し込みが混雑していて、1ヶ月ほどかかるケースもあるようですので、活用したい場合には早めに申し込みすることをお勧めします。
ちなみに、緊急小口資金と総合支援資金は両方、活用することが可能です。つまり、まず、緊急小口資金で最大20万円の貸し付けを受け、その後も収入の減少が続く場合等には、さらに総合支援資金で最大20万円(2人以上世帯)の貸付を3ヶ月間受けることが可能というわけです(つまり最大80万円、自立相談支援を受ければ3ヶ月延長で最大140万円、再貸し付けの場合にはトータルで9か月間の貸し付けになるので最大200万円)。もちろん、貸し付けなので返済は必要ですが、無利子かつ10年返済なので、貸し付けを受けるのであれば優先的に活用したい制度ですね。
一般的な問い合わせは相談コールセンターへ 0120-46-1999
(受付:平日9:00~17:00)
申し込みは住所地の市区町村社会福祉協議会
このほか新型コロナウイルス感染症の影響で一定程度収入が下がった場合には、国民 健康保険、国民年金、後期高齢者医療制度および介護保険の保険料の減免や徴収猶予等が認められるケースもあります。社会保険料や税の延滞・滞納は将来の年金が減ってしまう、保険証の交付が受けられなくなる等、深刻な事態につながる可能性もあります。社会保険料等の支払いが難しい場合には、まずはお住まいの市区町村、年金事務所又は国民健康保険組合に相談しましょう。
今回ご紹介した制度は一部のものです。このほかにも資金面、精神面などさまざまな観点から生活を支える支援制度が用意されています。困った時や、悩みがある場合には是非、積極的に制度の窓口に相談してみましょう。
参考:生活を支える支援制度の一覧と概要
厚生労働省HP