コロナ禍で、自然と都市の利便性が共存する街が注目されています。なかでも人気を集めているのが、豊かな自然と高水準の住宅環境を備えた千葉ニュータウン。東京都心にダイレクトアクセスできることに加え、成田国際空港へ直結の成田スカイアクセス線が2010年に開業し、交通ネットワークが強化されました。今回は、千葉ニュータウンの住宅事情について紹介します。
6駅を中心に開発された豊かな自然が魅力のベッドタウン
千葉ニュータウンは、東京都心から東北東へ約25~45キロメートル、船橋市、印西市、白井市の3市にまたがる広大なベッドタウンです。千葉県北総地域の標高20~30メートルの北総台地に位置し、開発面積は約1930ヘクタール。1979年に開業した北総線の西白井駅~印旛日本医大駅の6駅を中心に開発が進められ、1967年から始まった市街地の整備事業は2014年に完了しています。
千葉ニュータウンは、人口規模4,000人から1万5,000人程度とした17街区で構成。1街区に1つの小学校、2街区に1つの中学校の配置を基本とし、公園や幼稚園、保育園を整備した子育て層に配慮したまちづくりが行われました。駅ごとに街区数が異なり、最も多いのが千葉ニュータウン中央駅の6街区。次いで印西牧の原駅の4街区。小室駅と印旛日本医大駅は1街区とコンパクトになっており、6つの駅で街の印象は異なります。
東西に広がる街を結ぶのが北総線と北千葉道路(国道464号線)。北総線は、京成線や都営地下鉄浅草線、京浜急行線と相互乗り入れで東京都心へ直結。日本橋駅、新橋駅、品川駅といった東京都心のビジネスエリアへダイレクトに移動できます。2010年の成田スカイアクセス線開業によって、世界への玄関口である成田国際空港にも行きやすくなりました。通称100メートル道路と呼ばれるほど幅員がある北千葉道路は、この北総線と並行して造られており北総地域の大動脈である国道16号線などにつながっています。
千葉ニュータウンの魅力は、田園と都市の融合を地域づくりの指針とした自然豊かな街づくりです。地域にある豊かな水系や自然を活用し、千葉ニュータウン全体の約10%を公園・緑地として整備しています。千葉ニュータウン中央駅そばの「千葉県立北総花の丘公園」は約50ヘクタールもの広さがあります。
また、北千葉道路沿いに大規模な生活関連施設がそろっているのも千葉ニュータウンの特徴。千葉ニュータウン中央駅前には約180もの専門店のある「イオンモール千葉ニュータウン」、印西牧の原駅周辺には「ジョイフル本田 千葉ニュータウン店」や「ビッグホップガーデンモール印西」など、商業施設が多数あります。自然豊かな環境で便利な暮らしができるのは、千葉ニュータウンで暮らす大きなメリットです。
千葉ニュータウンの街びらきは1979年の北総線西白井駅、白井駅、小室駅の開業に始まり、千葉ニュータウン中央駅開業が1984年。その後、印西牧の原駅が1994年、印旛日本医大駅が2000年に開業し、全駅の街びらきが完了しました。
小室駅以東は街びらきから40年以上経過しており、新築住宅の供給は千葉ニュータウン中央駅などが位置する印西市が中心です。印西市は千葉ニュータウン内への移住もあり、人口がこの10年間で約17%増加。2021年7月末時点の印西市の人口は10万6,716、世帯数は4万3,045です。
【印西市のデータ】
市制施行日…1996年4月1日
総面積…123.79平方キロメートル
人口…10万6,716(2021年7月31日)
世帯数…4万3,045(2021年7月31日)
住宅価格がリーズナブルな点は、千葉ニュータウンの魅力です。マンション、戸建てともに駅徒歩圏で3,000万円台から供給されており、子育てファミリーでも手が届きやすい価格帯です。また、戸建て街区は敷地が50坪以上のゆとりある住宅が中心。マンションも専有面積80平方メートル超の間取りが目立ち、子どもが2人以上いる家族でも十分の広さです。
印西市は子育てに関する相談できる「子育てコンシェルジュ」や子ども医療費の助成制度などがあり、子育てサポートが充実。また、車道と歩道がしっかり分離されているため、ベビーカーを押しながらでも安心して歩ける環境が整っています。子育てファミリーには暮らしやすい場所と言えるでしょう。
次に、印西市に位置する印旛日本医大、印西牧の原、千葉ニュータウン中央の3つの街の魅力を紹介します。
里山や公園、小学校が駅周辺部に コンパクトでアットホームな印旛日本医大
千葉ニュータウンの中でも街がコンパクトサイズで落ち着いた暮らしが実現できるのが印旛日本医大駅。千葉ニュータウンの中でも2000年に街びらきが行われた比較的新しい街です。印西市の住民基本台帳によれば、2021年1月31日時点の印旛地区の世帯数は1,860で人口は5,155です。駅を出るとすぐに戸建ての住宅街が広がります。
住宅中心の街づくりのため、街区内の交通量も少なく静かな住環境。主要道路には歩道が整備され、駅周辺に立地する小・中学校への通学もスムーズです。里山や公園も充実し、広々とした芝生が広がる「萩原公園」や自然豊かな「いにはの森公園」などもあり、子どもがのびのびと遊べる場所が身近にそろっています。
買い物施設はロードサイドにスーパーなどが点在。食料品や日用品の購入も街なかで済ませられます。また、駅のそばには駅名の通り「日本医科大学千葉北総病院」があります。2001年に全国で初めてドクターヘリを導入するなど、地域の基幹病院として高度な医療体制を整えています。住宅選びは分譲戸建ての中古流通が中心で、価格は3,000万円台から探すことが可能です。コンパクトな街だけにアットホームな雰囲気もあり、落ち着いた暮らしを求める家族におすすめです。
ロードサイドに多彩な商業施設 豊かな自然と生活利便性が魅力の印西牧の原
豊かな自然が街なかにあり、ロードサイドに商業施設が集積するスケールの大きな街が印西牧の原です。駅周辺には調整池を囲う10万平方メートル超の広さがある「牧の原公園」や「草深公園」など憩いのスポットが点在。戸建てやマンションが周囲に建てられ、潤いある住環境となっています。
また駅からも歩けるロードサイドには、「ジョイフル本田 千葉ニュータウン店」「牧の原モア」「ビッグホップガーデンモール印西」などの商業施設や商業モールが点在。「USシネマ千葉ニュータウン」などのレジャースポットもあります。
家電量販店やドラッグストア、スーパーマーケットなどもあり、遠方からの来街者も多いショッピングゾーンになっています。買い物はもちろん食事やレジャーなどさまざまな楽しみが身近にあり、充実したオフタイムが過ごせるでしょう。
印西牧の原駅周辺では過去にマンションも活発に供給されており、築10年前後で80平方メートル超の物件が3,000万円前後の価格から売り出されています。印西牧の原では、広くて価格の抑えられたマンションの購入が可能です。また、新築戸建ての供給もあり、50坪以上の敷地の戸建てが販売されています。便利でゆとりある暮らしが実現できるでしょう。
商業施設が充実したニュータウンの中心・千葉ニュータウン中央
千葉ニュータウンの中でも、商業施設と住宅、そしてオフィスなどがバランスよく整っているのが千葉ニュータウン中央駅です。駅周辺には「イオンモール千葉ニュータウン」「コストコホールセール 千葉ニュータウン倉庫店」「カインズ千葉ニュータウン店」といった商業施設が充実しています。
北総台地で地盤もしっかりしていることから、金融機関などの業務施設をはじめとするオフィスビルも多くあります。また、東京電機大学の千葉ニュータウンキャンパス、印西市の出張所などもあります。印旛日本医大をヴィレッジ、印西牧の原をタウンと表現するならば、千葉ニュータウン中央はまさにシティー。さまざまな機会が得られる豊かな暮らしがイメージできます。なお、千葉ニュータウン中央駅は、「ARUHI presents 本当に住みやすい街大賞2021 in 関東」で第9位にランクインしています。
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【本当に住みやすい街大賞2021】第9位 千葉ニュータウン中央:ファミリーにうれしい高コスパでゆとりのある街
駅周辺には低利用地が点在しており、新築マンションの供給が続いています。80平方メートル超の広々した3LDKが4,000万円前後で売り出されており、ファミリー層には手が届きやすくなっています。中古マンションストックも豊富で、ゆったりした広さの3LDKが2,000万円台後半から販売されています。
印旛日本医大、印西牧の原、千葉ニュータウン中央にはそれぞれに街の特徴があり、ライフスタイルに合った街を選ぶことをおすすめします。千葉ニュータウンの暮らしの留意点としては、北総線の電車本数が多くないことが挙げられます。利用者が住民中心になるため日中の電車本数が少なくなっています。また、印西牧の原駅と印旛日本医大駅は、千葉ニュータウン中央駅に比べて電車の本数が少なくなっています。運賃も高く、印西牧の原駅から隣の千葉ニュータウン中央駅へ移動するには310円かかります(大人/切符利用の場合)。また、街が広く施設が点在しているので、自家用車があると便利でしょう。
長い開発期間の中で社会情勢の変化を踏まえ、事業計画や都市計画の変更・見直しを経て美しい街並みを実現した千葉ニュータウン。自然豊かな郊外エリアで生活利便施設が充実し、リーズナブルに住宅を検討できる街は、そう簡単には出合えません。子どもをのびのびと育てたい家族におすすめしたい街です。