「将来、移住をする際にどんな街を選ぶか」。コロナ禍の中で、ライフスタイルを見直し移住を考えた人も多いのではないでしょうか。
都市住⺠への移住⽀援・情報提供を⾏っている認定NPO法⼈ふるさと回帰⽀援センターによれば、ふるさと回帰支援センターへの2020年の相談件数は、セミナーや面談相談が新型コロナウイルス感染症の拡大を受け減少した影響により、前年比で約22パーセント減の3万8,320件。しかし、電話・ メールの相談は前年より約25パーセント増加し、前年比約105パーセント(セミナー・見学を除く)となっており、移住への関心は高い水準が続いています。
なかでも東京における相談・問い合わせ数の推移のデータを見ると、移住ニーズは高まってきており、特に10年前に比べ30代が19パーセントから30.5パーセントへ、40代が19パーセントから23.7パーセントへと子育て世代の比率が強くなっています。
また、移住のタイミングとして「今すぐ(1年未満)」とした人が33.2パーセントと最も多くなっており、2017年から2019年と比較しても増えています。コロナ禍の影響を受けてのものだと思われます。
ふるさと回帰⽀援センター(東京)では相談者・セミナー参加者を対象に、地⽅移住に関するアンケートを毎年実施しています。2020年(1⽉〜12⽉)の調査結果によれば、窓口相談者が選んだ移住希望地の1位に静岡県が選ばれています。
また、窓口相談者の年代別の移住地ランキングでは、20代以下から60代まで幅広い年代で静岡県が1位に。多世代から移住地として魅力があることを示しています。
では、東京の多くの人が静岡県を移住地として選ぶ魅力は何でしょうか。
先日、筆者が静岡市を訪ねた際に利用したタクシーの運転手さんが「静岡は魅力がある場所があまりない」と言っていましたが、果たして本当にそうでしょうか。少なくとも東京の人から見て住みやすく感じなければ、移住希望地(窓口相談者)で1位にならないでしょう。
2021年3月23日に住宅ローン専門金融機関のアルヒ株式会社が主催する「ARUHI presents 本当に住みやすい街大賞2021 in 静岡」が発表されました。ランキングのトップ10は、以下の通りです。
1位:三島広小路(伊豆箱根鉄道駿豆線)
2位:天竜川(JR東海道本線)
3位:東静岡(JR東海道本線)
4位:磐田(JR東海道本線)
5位:菊川(JR東海道本線)
6位:鷲津(JR東海道本線)
7位:草薙(JR東海道本線)
8位:浜北(遠州鉄道鉄道線)
9位:御殿場(JR御殿場線)
10位:熱海(JR東海道本線)
授賞式典レポートはこちら:アルヒ株式会社主催「本当に住みやすい街大賞2021 in 静岡」授賞式典レポート/柴田英嗣さん、竹内由恵さんが登壇
審査委員の一人としてじっくりと静岡県内の街を見渡すと、東京在住の筆者から見て暮らしやすそうな街が多いことに気づきました。今回は住むという視点で、静岡県の魅力について紹介したいと思います。
静岡県の魅力1:海・山・川・湖、自然が身近に
静岡県の街の多くには、共通点があります。それは、海、山、川、湖といった自然環境が身近にあることです。太平洋に面した静岡県は東西が150キロメートル超もあり南側に太平洋、北側に南アルプスと富士山が位置します。江戸時代の絵師である歌川広重の「東海道五十三次」のなかに静岡県の景色が22回も登場しますが、そこには海・山・川の今と変わらぬ自然が描かれています。
「ARUHI presents本当に住みやすい街大賞2021 in 静岡」のランキングを見ても、自然が身近にある街が多くランクインしています。例えば、熱海は海・山が近く、梅や桜など四季を楽しめる自然があります。富士山が身近な御殿場、浜名湖のほとりの鷲津、茶畑が広がる菊川。そして人口が多い東静岡や天竜川にも生活圏に自然が広がります。世界遺産の構成資産に登録されている「三保の松原」は、草薙駅のある静岡市清水区に位置します。
東京湾に面している東京にも水辺や自然はありますが、静岡県のように海・山どちらにも気軽にアクセスできるような場所は限られます。子どもの健康を考えて自然豊かな街に住みたいと考えるなら、静岡県なら好適な街が見つかるかもしれません。家族で過ごす休日も充実するでしょう。
静岡県の魅力2:街のサイズが程よい
田舎でもなく、大都会でもないところも東京から見た静岡県の魅力です。オフィスが東京都心に集積する首都圏では、電車で職場に通う人が相当数います。例えば、東京駅のある千代田区の居住人口を示す夜間人口は、平成27年の国勢調査のデータで5万8,406人。一方、通勤・通学者を含めた昼間人口は85万3,068人。14倍超に膨れ上がっています。
通勤時の電車の混雑率も高く、国土交通省発表の都市鉄道の混雑率調査結果(2019年度実績)によれば、首都圏1位の東京メトロ東西線(木場-門前仲町)の混雑率は199%に及びます。通勤電車を避けて、オフィスまで車通勤する人もいるようです。
ちなみに、東海地区26位の静岡鉄道(県立美術館前-県総合運動場)の混雑率は69%。車通勤が多いだけでなく、電車通勤で大きなストレスを感じないのは、東京から見ると魅力的に映ります。
とはいえ、浜松市、静岡市ともに70万人を超える大きな都市であり、大型商業施設などの生活関連施設も身近に整っています。例えば、「ARUHI presents本当に住みやすい街大賞2021 in 静岡」の3位にランクインした「東静岡」には、駅前に大型ショッピングセンター「マークイズ静岡」が立地。2位の「天竜川」には、コストコなどの大型商業施設が集積。しかも「東静岡」駅から「静岡」駅まで1駅、「天竜川」駅から「浜松」駅まで1駅と、ビジネスエリアにも近接しています。
東海道が通る静岡県は、浜松城のある浜松、駿府城のある静岡など歴史とともに発展した城下町も多くあります。東京23区の総人口のトップ3は、世田谷区の93万人、練馬区74万人、大田区73万人(出典:東京都の統計 2020年1月1日時点 1千人以下切捨て表示)。東京23区の人口数上位と遜色ない都市のスケールがあります。
以前、東京から浜松に転勤した金融機関勤務の知人が、「街が程よい大きさで、暮らしやすい」と話していました。通勤利便性が高く、買い物やレジャーに気軽に出掛けられる生活利便性の高さは、東京都では得難い静岡県ならではの魅力です。
静岡県の魅力3:コストパフォーマンスが高い暮らしが実現
東京に比べて物件価格がリーズナブルなことも静岡県の魅力です。不動産経済研究所発表の「全国マンション市場動向 2020年のまとめ」によれば、首都圏の2020年に分譲された新築マンションの戸当たり平均価格は6,083万円で、2019年の5,980万円に比べて103万円、1.7パーセントの上昇。東京都区部に限れば平均価格は7,712万円となっており、共働き層でも手が届きにくい価格になりつつあります。
首都圏では、新築マンション価格の上昇に伴い、中古マンション価格も大きく上昇。公益財団法人東日本不動産流通機構発表の首都圏不動産流通市場の動向2020年によれば、2020年の東京都区部の中古マンション平均成約価格は前年比5.3パーセント上昇の4,889万円。中古マンションの購入予算も上昇しています。
一方、静岡県では住宅地の上昇傾向は見られず、東京都の住宅事情から考えると価格はとてもリーズナブル。70平方メートル台の中古マンションであれば、前出の「東静岡」でも3,000万円台前半で購入可能です。
また、車で買い物をする人が多く、商圏が広いため商業施設の品揃えも豊富。消費者物価地域差指数で東京都と静岡県を比較すると、総合で東京都が105.2に対し静岡県は97.9(出典:ゆとりすと静岡)。静岡県の物価のほうが安くなっています。
コロナ禍を受けて全国的に求人倍率が低下していますが、2021年2月度の求人倍率は、東京都が1.19に対し静岡県は1.00。これは、1倍を割っている埼玉県、千葉県、神奈川県を上回ります。暮らしのコスパが高いので、職が確保できるのであれば静岡県に移住したいという家族がいても当然かもしれません。
静岡県の魅力4:東京が近い!
ほかにもお茶や果物、野菜、海産物などが新鮮でおいしいのも静岡県の魅力です。とくに、人生100年時代で健康寿命が重視されるなか、食生活は大切です。気候が温暖な静岡県なら、新鮮な食材が身近な場所で手に入ります。
また、サッカーやラグビー、卓球などが盛んで、スポーツに親しめる環境が身近にあるのも静岡県の魅力でしょう。「磐田」駅のように駅前街区が整備され、歩行者の安全面にも配慮した街も目立ちます。城下町ならではのコンパクトで暮らしやすい街が多いことも静岡県の魅力だと感じます。
最後に、東京在住の人から見た静岡県の魅力は、東京にすぐ行ける近さにあることです。多くのスポーツ施設やイベント会場、美術館、教育施設などが集積する東京は、世界的に見てもモノ・コト・文化が集積する場所です。かつて筆者は、リタイア後に熱海に移住した人にインタビューをする機会を得ましたが、『熱海に住む人にとってのリゾートは東京である』と話っていたのが印象に残っています。
東京へのアクセス利便性やコスパが高く、充実した暮らしのできる静岡県。ますます移住先として人気になるかもしれませんね。
【参考リンク】
静岡県公式ホームページ Myしずおか日本一一覧表
静岡市東海道広重美術館 ホームページ
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(最終更新日:2022.05.18)