新居への引っ越し当日。「新たに買い揃えた大型家電が新居に入らない」というトラブルに見舞われたら、どう対処したらよいのでしょう。そんな時の対処法や、スムーズに搬入するために知っておきたいことについて、「アート引越センター」でお馴染みのアートコーポレーション株式会社に聞いてみました。
搬入トラブルが発生しやすい場所と対処法
搬入トラブルは、設置場所までの間口や通り道に対して家電が大きい場合に起こります。
玄関や設置する部屋の間口のほか、一戸建てでは階段、集合住宅ではエレベーターなどに注意が必要です。
万が一、間口を通して運べない場合、搬入会社による人力やクレーン車による吊り上げ作業を行います。ただ、有機ELタイプのテレビやガラストップタイプの冷蔵庫などの衝撃に弱い家電の場合は、この方法が難しいこともあります。また、追加費用は立地や住居の条件により異なるので、事前に搬入会社に相談しておくとよいでしょう。
戸建てとマンションでの対処法の違い
一戸建ての場合、2階に搬入するのに間口を通せない大型家電はクレーン車を使って搬入します。この場合、運び入れるベランダなどの間口の近くにクレーン車の停車場所や十分な作業スペースが必要となります。また、作業する近くに電線があると対応できないこともあるため、立地条件は事前の確認が必要です。
マンションなどの集合住宅の場合は、エレベーターに入れられないケースについては非常階段を使用することがあります。高層階のマンションであれば大きなエレベーターがあるので問題ないと思いますが、玄関間口を通せない場合は搬入ができないそうです。重量物は対応できないこともあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
それでもダメなら買い換え? 家電量販店の対応
家電量販店でも、大型家電の搬入トラブルを防ぐための対策を取っています。家電・PC・ホビーの大型専門店Joshin(ジョーシン)のサービス部門であるジョーシンサービス株式会社と家電量販店のビックカメラに、どのような取り組みをしているのか聞きました。(2021年3月時点での情報)
・Joshinの場合
Joshinでは、冷蔵庫や洗濯機、テレビについては、設置寸法や最小通路幅と、搬入経路に階段がある場合は階段の幅や形状なども記す設置状況書を事前に作成し、搬入スタッフと共有しているそうです。また、440リットル以上の冷蔵庫とドラム式洗濯機については、設置スタッフが無料で下見をして「結果シート」を作り、販売店にも伝えて極力スムーズに搬入できるようにしています。
なお、通常経路での搬入が難しい場合も、クレーン車や人力で吊り上げたり、時にはドアノブを外したりして対応してくれるそう。それでも搬入が困難な場合は、手数料不要で返品交換もできます。商品の在庫があれば、繁忙期などを除けば、希望すれば翌日には配送してくれる場合が多いそうです。
・ビックカメラの場合
ビックカメラでは、冷蔵庫や洗濯機については、設置場所についての確認シートを店頭で配布しています。それでも不安が残る場合は、専門スタッフが搬入経路などを事前に下見し、希望の家電が設置できるかを確認する無料見積もりにも対応。
搬入が難しい場合、クレーン車での吊り上げなど、通常の搬入経路以外で搬入できるかを確認し、追加費用を明示した上で搬入方法を提案してくれるそうです。別商品への交換も可能で、その場合、商品手配や設置日程の再設定などで時間がかかる場合はあっても、手数料などはかからないそうです。
スムーズな引っ越しのためにやっておきたいこと
(1)事前の採寸
まずやっておきたいのは、新居の採寸です。家電の設置場所までの動線にあるドアや廊下、各部屋の間口はすべて採寸し、部屋の間口についてはいずれも、ドアを開いた状態で蝶番部分の扉の角から採寸しておきましょう。洗濯機は防水パンのサイズも確認し、ドラム式洗濯機の場合は設置場所に対して扉の開く方向も確かめておきましょう。
一軒家の場合は、設置場所によっては階段幅の確認も必要です。集合住宅の場合は、エレベーターの間口や、天井の高さなども採寸しましょう。共用廊下が絨毯敷きになっているような建物は、部屋まで台車を使って運ぶため床に保護が必要になるケースがあります。
新居の管理会社にあらかじめ確認し、共有廊下の床養生が必要な場合はエレベーターから部屋までの距離を測り、事前に引っ越し会社に養生が必要な旨を伝えておきましょう。
(2)設置に要する寸法の目安を知っておく
アート引越センターでは、大型家電はすべて布製の専用資材で保護して運びます。そのため、この布製資材分として、家電の短い方の幅に対して10㎝ほどの余裕が必要となります。階段に踊り場があり、設置するまでの間に取り回し(回転)が必要な場合、奥行き幅と横幅を結ぶ対角の長さに対して10㎝の余裕が必要です。踊り場では立てた状態で回転するため、踊り場部分の天井の高さも家電の高さにプラス20㎝は必要となります。なお、階段に手すりがある場合、階段幅は手すりから測りましょう。
テレビを搬入する場合は、専用のボックスを使用するため、テレビより広いスペースが必要になることもあるそうです。
(3)電気店と引っ越し業者との時間調整
引っ越し業者が作業している間に電気店に搬入をお願いする場合、引っ越し業者の作業を中断することにもなるため、あらかじめ両者に時間の相談をしておきましょう。なお、アート引越センターでは、引っ越し当日にスタッフが納品し、セッティングまで任せられる家電販売サービスも行っているそうです。
以上のような大型家電の搬入のポイントをしっかり押さえて、新居での生活を円滑にスタートさせてくださいね。